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付録:分水嶺総集編

南周りF・杉谷川流域/磯尾川流域/浅野川流域

初稿UP:2022.02.25

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地図S06.杉谷川・磯尾川・浅野川流域分水嶺地図
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甲南町杉谷新田(写真・左)
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 杉谷川の上流、三重県に近い集落である。周囲を山に囲まれたのどかな集落である。----この「新田(しんでん)」は、江戸末期から明治にかけて開拓された地域で自然豊かな情景が残されていることから、朝日新聞創刊130年・森林文化協会30周年記念「にほんの里100選」に選ばれています。----という。上の地図S05に見るように、”小野谷越え”を越えてから、三重県境までの分水嶺は、顕著な稜線もなく、分かりにくいルートをたどるが、三重県との県境をたどるようになると、岩尾山を中心とした、明確な稜線を示すようになる。

岩尾山騒動(写真・右)
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    写真右が岩尾山というと、ああこの一番高いピーク・・・・と早合点されるはず。しかし考えていただきたい。杉谷盆地から岩尾山を見れば、こんな近くには見えないはず。岩尾山であるが、地図の上では、三重・滋賀県境上にはっきりとその位置を示しているが、生きた風景の中でその姿を見出すのは意外と難しい。この写真は、杉谷盆地から見た風景だが、岩尾山の名つられて、左の端、桜の花の奥に見えるシャープな峰かと思ったが、方向が合わない。右の大きなピークとも考えたが、これが近すぎる。カシミールで作画させて見ると、なんと右の大きなピークの左奥に山頂部だけがわずかに見える山がそれだという。それを見分けろというのが無理だ。太陽に照らされたところを望遠でやっとというところだった。分かってもらえただろうか。

岩尾越え(写真・下)
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  滋賀・三重県境である。いままでの慣例上「岩尾越え」としたが、まったく峠越えを感じさせない場所である。国土地理院Web地図によると標高290m、野洲川流域分水嶺で山中の峠としては異例の低い峠であろう。「この先路肩欠損のため4t車以上通行不可」という。
  手前に石標があって、「県道甲南上野線」とある。いずれにしてもこの細い道ではね。





磯尾越え(写真・右)
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   甲南町杉谷の集落から谷間の道を東へトラバースすると、下磯尾の集落へ出る。そこからさらに南へ下がると上磯尾。そこはもう三重県との県境に近いところである。県道49号が三重県へ抜ける”磯尾越え”(写真右)は、上磯尾集落の裏山というイメージである。峠には違いはないのだろうが標高257m、上の岩尾越え(290m)よりもさらに低い。その上に、峠といえば、山の鞍部を直角に越えるのが常識だが、ここは斜めに越えて、その先はさらに道は県境に沿って210m余りも走った後、県境から離れていく。三重県側から振り返ったところ。

内保越え(写真・左)
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    旧伊賀街道が県境を越えるところである。野洲川沿いの杣街道、甲南町深川で分かれて約10Km、地図の上では県道133号となっているが、大部分は旧街道の細い道である。その分、昔の面影が残っているところも多く結構楽しいコースだった。左の写真は、峠で旧伊賀街道(県道133号)が自動車道(2車線のしっかりした道だが、県道ではないらしい)へ合流していくところである。左の写真の数10m手前ではこんな様子で、旧伊賀街道が自動車道を見下ろす位置関係にある。画面左の斜面を見ても分かるように、自動車道は切通しで標高を下げている。合流位置に「従是南三重縣管轄 阿山郡玉・・・」の石標が建っている。最後にもう1枚。自動車道側から見た旧伊賀道の合流点。
  なお、分水嶺は、内保越えの少し手前で”浅野川源流域”に入る。県道133号の細い道は、新名神を過ぎたあたりからかなり高いところを通っている。これが磯尾川流域と浅野川流域の分水嶺になっているようだ。新名神以北では平地歩きで、はっきりしたことはわからないが。



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