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SZ01.田村川流域

SZ01C. 田村川を遡る・C

取材:2020.12
初稿UP:2022.02.27


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地図003.田村川流域地図 3  (国土地理院Web地図に加筆)
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  土山町猪鼻である。前項で一度ここへ来た。そのときは猪鼻橋を渡って左へ折れ、田村川沿いに下流へ向かった。今回は改めて上流へ向かう。
 黒川橋で田村川の右岸へ出て、しばらく田村川沿いの谷間を抜けて、河西集落へ向かう。前方が開けてきたところでKゾーン。右折してローカルな橋を目指したが、突き当りは大宮神社だった。間違えて1本手前を曲がってしまったらしい。改めて次の道を右折して前川橋。その下流に笹路川からの合流点がある。
  そのあと青木ヶ瀬橋の手前を左折、中村橋へ。右岸を上流へ。以前、野洲川源流へ通っていたころは、左岸の県道を走るのが常だった。右岸は今回が初めてだった。



10.J点付近
写真051.黒川橋
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  前項で書いたように、旧くは山中川橋・猪鼻橋と直進し、渡り切ったところで右折して上流へ向かうところであった。いまは山中川橋を渡ったところで道なりに進むと勝手に黒川橋に至る。田村川を斜めに渡ってそのまま上流へ。橋自体がカーブしており、冬、凍結しているときは怖そうだ。それに親柱のランプ。昔大阪の中の島、淀屋橋だったか、渡辺橋だったか、しゃれたランプがついていた。それとよく似たやつが、こんな山の中にと驚く。




写真052.黒川橋から下流を見る
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  黒川橋には下流側に歩道がついていて、気楽に撮影できる。見えている橋が猪鼻橋。それを越えて突き当りの山まで直線である。さらに次に見るように上流側も直線であるから、それを含めると900m近くになる。田村川がこれだけ直線であるのは珍しい。もっとも地図で見ると黒川橋のところでほんの少し曲がっているが、これは蛇行とは言わないだろう。しかしまあ、これは人工的な直線だろう。





写真053.猪鼻橋から黒川橋を見る
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  ここから見ると何でもなく渡っているようだが、橋自体がゆるくS字型にカーブしている。特に山間の橋の上。怖いカーブだ。川の谷筋だけ空が抜けている。あとはすべて山に囲まれてダムの底を感じるところ。







写真054.黒川橋上流
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  黒川橋から上流を見たところである。狭い谷あいを遡っていく。しばらくの間直線。あちこちの淵に水がよどむ。水面が鏡のように森を映す。








11.K点付近
写真055.大宮神社
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  山峡を抜けて明るい山間平野へ出る。突き当りの橋の手前で右折した。地図で調べたローカルな橋へ寄るつもりだった。が、正面は突き当り、1本手前で曲がってしまったらしい。鳥居があって、神社の入り口らしい。そういえば何とかいう神社があった。普通は神社の名称ぐらいは案内があるものだが。折角来たのだだから、とにかくちょっと入ってみよう。後で考えて、これはどうも裏口だったらしい。もう1本手前で回っていたら、正面へ出たのだろう。




写真056.森の中に
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  森の中を進むと何か社が見えて来た。しかし、拝殿とかそういうイメージではない。不思議に思って裏へ回ってみると、何か古代の社を思わすようなた・・・。しかしいまの感覚では、それが何なのか分からない。さらに進むと、森が開けて少し明るくなってきた。あとで考えればそこでもう少し辺りに気を配れば、はっきりした大宮神社の社域へ出るところだったが、そこでそのまま引き返してしまった。帰ってインターネットで調べてみた。どうやらこの日入ったのは大宮神社の裏口だったらしい。このとき撮った建物は、山車か何かの収納庫らしかった。と書いて改めて写真を見ると、山車なら段が邪魔になるし。



写真057.改めて前川橋へ
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  間違った辻を改めて、前川橋へ向かう。川そのものは平地より下を流れており、決して天井川ではないのだが、この橋はいま走ってきた道から坂を上ったところにあり、なんとなく懐かしさを感じる橋だった。








写真058.前川橋下流
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  前川橋から下流を見たところ。浅瀬のところでは流れは見えるが、ほとんど淵で止まっているよう。右の森は大宮神社。そこを流れ下ったところで笹路川が合流してくる。左ネットの奥にササが生えたところが見える。これが笹路川。ササがなければそこが川筋だということは一切分からない。






写真059.青木ヶ瀬橋遠望
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  前川橋から上流側を見る。青いトラス橋が見える。猪鼻から来た県道507号(いま走ってきた道)が田村川を渡るところである。何度ここを渡ったか知れないが、それがトラス橋だと知ったのはまさにいまの今だった。上を走っているときはただの橋、下にこんなトラス部があるとは、考えても見なかった。こちら側から見て橋の右側(対岸)が田村川の左岸、手前が右岸(こちら岸)だが、対岸からこちらに向かって水平に渡ってきた橋が、下り坂につながる。流れはあとで見るように深いところを流れている。



写真060.青木ヶ瀬橋
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  先ほど前川橋から見ていた青木ヶ瀬橋である。対岸の県道507号(左折。右折は187号)と同じレベルでこちら岸へ。段差の分はこれから後方へ下り坂。上の写真としては、その分上り坂として見えていた。どうでもいいことだけど。







写真061.青木ヶ瀬橋下流
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  上の地図003のKゾーンで、県道507号から前川橋への曲がり角を原点とする、青木ヶ瀬橋の方向を午後3時とすると、前川橋は午後6時に当たる。いま見ている風景は午後4時ぐらいの方向である。手前の岸に低い堤防が築かれている。もう少し左へ寄ると、川の流れが見えてくる。





写真062.青木ヶ瀬橋上流側
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  大きな弧を描いて流れ下ってくる。もともとの地形はカーブの内側で高く、外側が低い。そのために外側に堤防が築かれている。








地図004.田村川流域地図 4  (国土地理院Web地図に加筆)
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  青木ヶ瀬橋から上流の上の平橋まで。左岸を県道507号が走っている。この道は何度か走ったが、今回は右岸の旧道を走る。途中、橋は中村橋と平子橋の2つである。平子橋で左岸へ渡る。













12.L点付近
写真063.中村橋入り口
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  下流側、猪鼻方面からやってきて、青木ヶ瀬橋の手前で左へ折れる。田村川からいえば、右岸を遡ることになる。少し行くと道の右側、川との間にネットが張られている。中は確かめなかったがグランドだったか。地図を見ると”中の組草の根広場”となっている。
 左の写真は、草の根広場の手前を中村橋に下る道である。妙な言葉だが、橋への「入り口」というイメージである。きつい下り勾配で、雪のときなどは下りも上りも厄介な勾配のはず。写真は妙な撮り方になったが、影の部分、グランドの裏側の一部で、小さな反射板が立っているところから奥が水平。道路は橋まで下りである。



写真064.中村橋から対岸を見る
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  やっとの思いで坂を下り切って、中村橋から対岸を見たところ。段々畑の一番上が県道507号かと思ったが、そうではなかった。右の地図で見るように、そこは旧道。県道は集落の向こう側をまいていた。





写真065.中村橋下流
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  橋から少し下流でごみを焼却していたらしい。煙が上がっていた。向こう岸まで寄って、レンズを伸ばすと、イメージが変わる。川沿いの桜の並木、春は楽しみだ。









写真066.中村橋上流
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  上流側である。久しぶりで蛇行しているのが見える。くっと左へ折れ、その奥でもう一度ぐっと右に折れている。この写真(左の写真066)を見ると、遠くの堤防からガードレールが下ってくる。河川敷へ別の道が下ってくる。何となく妙な思いである。
  もう1枚の別の写真を見てみよう。一見066と同じ写真に見えるが、レンズを長くした分細部まで見える。この部分の田村川の堤防に当たるところは、奥の紅葉が1本生えている肌色の斜面だと思っていたのだが、そうではなく、ずっと手前の流れが右へ折れるすぐ後ろのねずみ色の壁面が堤防に当たっているのだった。だから杉の木が1本生えているあたりは農地ということになる。後で分かるが段の上も農地である。ということは上の段と下の段、大げさに言えば河岸段丘が見えているのである。



13.M点付近
写真067.平子橋が見える
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  しばらくの間は、田んぼの中を走る。川の上流に向いて田んぼは高くなる。そして道が川に寄るのか、川が寄るのか、小さな集落を抜けると急な下り坂。田村川では珍しい直線の堤防の向こうに暗色の橋(平子橋)が見えた。道は勾配を下ったところで、左へ急カーブ。山際を通って平子橋に至る。
 平子橋まで堤防伝いにと考えたが、ご覧のようにネットで締め切り。やむをえず山沿いの道を迂回する。



写真068.平子橋下流
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  平子橋下流である。右岸は田村川としては珍しい堤防。その堤防の向こうに、こちらへ向かって下ってくる道(ガードレールが光っているところ)が見える。上の写真の撮影位置である。








写真069.平子橋上流
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  平子橋上流である。すぐ目の前に幅の広い砂防堰堤が見える。その手前に角砂糖のような正立方体の波消しブロックが並べられている。真正面からの光を受けて飛んでしまった。この光線はつらかった。同じことが山の上半部にも起こっている。高圧線は普通これぐらい離れてしまうと、見えなくなってしまうものだが、いまの場合は、強い光が反射して目立ってくる。





写真070.橋を渡って上流へ
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  橋を渡って道なりに行けば自然に下流の県道につながるが、意識して川沿いに上流へ向かうことも可能。その途中から見た対岸の紅葉。左端に砂防提が見える。上流から見る形になり、目立たない。もう1枚







写真071.左へカーブ
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  上の地図004で「上の平」とあるあたりか。上流へ向かって緩く左へカーブ。上に高圧線の鉄塔が見える。先ほどの平子橋からの写真で、山を横切っていた高圧線の張本人だろう。こうして見ると電線は見えない。







写真072.「左あい川」
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  道端に小さな道標が立っている。真正面からの光、これはつらい。上に大きく「左」とあって、下は2行に分かれて、「あい川」、ここまでははっきり読める。その下に「三十丁」らしい。野洲川流域との峠を越えて鮎河(あいが)という集落がある。そこまで4Km弱。30丁だとすると大体理屈は合う。
  問題は左の列。「川ら」、”川”の上に何かありそうだがはっきりしない。だとするとどこの川原か。その下は”一里”か。かもしか荘の所在地がたしか”大河原”だった。直線距離で測ってみたら5Kmだった。ちょっとサバ読んでいる感じだけど、4Kmで一里=36丁。まあそんなものか。




14.N点付近
写真073.上の平橋
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  そのあとしばらく川沿いに進み、右へ曲がったところで県道に出会う。T字路を左折で”上の平橋”。”うえのたいらばし”かと思ったら、”かみのひらはし”だという。まともに読めたのは”の”だけ。エエ加減にせい。
  県道は橋を渡って峠を越えて、鮎河、広河原へ通じている。広葉樹はほとんど散り果てている。





写真074.上の平橋下流
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  上の平橋下流。右岸は山のふち、左岸はずっと林が続く。午後3時前後なのに川は林の陰の中。橋の上から撮影して、クルマへ帰りついたとき、1匹の猿が全力で林へ駆けこんでいくところ。ヨッちゃんの話によると、20数匹が広々とした枯れ田で遊んでいたという。その中の間抜けた1匹が、いま逃げ込んだのだと。この林は猿の巣になっているらしい。






写真075.上の平橋上流
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  橋を渡ったところで右折して黒滝へ向かう道がある。左側にその道のガードレールが見える。河岸段丘(・・・といえると思うが)が2段になっている。下の方は田んぼ、上の方が黒滝へ向かう道が通っている。中央アルプスと南アルプスに挟まれた伊那谷は、天竜川の河岸段丘で有名だが、場所によっては飯田線が走っていたりして、素人の目にはスケールが大きすぎて分かりにくい。それに比べるとこちらは私のような凡人のスケールで分かりやすい。
  突き当りの稜線は三重県との県境だろうが、でかい山がないのでカシミールで作画しても、どのあたりなのかもう一つはっきりしない。次項で東海自然歩道が通っている安楽峠(右の方の一番低いところか)を尋ねる予定。現場へ行けば細部が見えてくるかもしれないが、はて、そこまで足が持つかが問題。




写真076.上の平橋右岸上流
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  撮影位置は県道から右折して黒滝へ向かう道。橋の上からガードレールが見えていたところである。右端に上の平橋の左岸側の一部が見える。上を走ればしっかりした道だが、橋の構造を見ればこんな貧弱なのでいいのかと思う。同じ県道でも、素人目には青木ヶ瀬橋のトラス橋とは大きな違いだ。






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