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SZ00.鈴鹿県境稜線

SZ00C. 分水嶺・武平峠

取材:2016.10〜11.21
初稿UP:2016.11.25


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5. 武平トンネル付近
写真784.武平トンネル
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 武平トンネルが見えてくる。トンネルの前におっちゃんが立っている。駐車場の係りかと思ったら、トンネル内工事の片側規制の整理員だった。三重県側がスポンと抜けて見える。ここを初めて抜けた日、ほんまに向こうに道があるのだろうかとブレーキを踏んだのを思いだす。右側のガードレールの奥の隙間が駐車場広場入り口。





写真785.滋賀県側を見る
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 トンネルに向かって右側に10台ぐらい置ける広場があって、そこが駐車場になっている。そこからいよいよ峠道だが、その前に周辺の状況確認。
 写真は駐車場広場の前から滋賀県側を見たところ(この写真では左が駐車場)。「滋賀県・甲賀市」の標識があって、すぐに「第0橋・清山橋」である。




写真786.清山橋
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 第0橋というのは私が勝手につけたナンバーで、橋の親柱にある川の名称が「峠の谷」とあることから、野洲川以前(下を流れる川が国土地理院Web地図には野洲川の流れとして記載されていない)という意味でゼロ番とした。なお、「清山橋」はせいざんばしと読むとか。”人生いたるところセイザンあり”、あれは青山だったか。




写真787.峠の谷
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 清山橋の上から、真下を向いて峠の谷の下流側(トンネルに向かって右側)を見たところ。御在所岳直下から流れ下った流れが、清山橋の下をくぐったところ。水は画面でいえば下から上、空間的にいえば手前から奥へ流れている。もう1枚。このあと鎌ヶ岳付近から流れてきた流れと合し、右へ折れスカイラインに沿って下る。





地図726.野洲川源流付近地図(国土地理院Web地図に加筆)
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 私は清山橋の下の流れも「野洲川」だと思っていた。ところが、その橋には野洲川の名はなく、「峠の谷」となっていた。そういえば左の地図では野洲川の流れは峠の手前で忽然と消える。そして川がないのだから橋がなくて当然といえば当然、しかし現実には水も流れており、れっきとした橋がかかっているのだから不思議といえば不思議、ここにも「橋マーク」がないのである。
 地図には源流部の記載はなく、野洲川の実線は、第0橋と第1橋の中間点あたりで突然現れる(ブルーの実線)。もちろんそこで水の色が突然変わるわけでもなく、何もないところから水が噴き出すわけでもない。野洲川の源流は、御在所岳近くからと、鎌ヶ岳近くからとの南北2方向からの流れが、互いに逆向きに流れ下ってきて、鈴鹿スカイライン第0橋の南で合流してスカイライン沿いに流れ下る。その流れが下で見た第1橋(神渓橋)へ下っていくのである。地図の源流部分の流れ(スカイブルーの破線)は地形を見ながら私が書き込んだものだが、多分間違いはないと思う。
 いわゆる源流をどこまで書き込むか(どこで止めるか)、これは地図作成上のルールがあるのだろう。そのルールに従うと武平峠の橋(第0橋・清山橋)辺りでは、流れはすでに”川としての条件”を失っていたのだろう。そこへ橋を架ける段になって、川の名称をどうするか。「野洲川」はルール上使えない。ロマンチストの工事関係者が思いついたのが「峠の谷」だったのではないか。
 下の神渓橋を「第1橋」としたのは、「峠の谷」のあと「野洲川」となって最初の橋という意味である。



写真788.雨乞山登山口
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 清山橋を渡った右側に車が2,3台置ける広場があり、そこが雨乞山登山道。下の遭難碑があった登山口は576m、ここが816m。その差240m、もっと差があるかと思ったが、距離もこちらからの方が長い。ほとんどが稜線伝い。こちらの方が楽だ。ただし本稿は、雨乞山登山とは何の関係もなし。





写真789.ガレ場が見える
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 トンネルの左上に新しいガレ場が見える。クルマから見えるかどうか確かめてはいないが、実際にこの目で見たのは初めてだった。大雨のたびに崩れ続けているのだろう。と、よそ事のように思っていたが、武平峠はこのガレ場の直下だった。






6. 峠へ
写真790.いざ、峠へ
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 峠へ向かう。出発点点に御在所岳 1:20hと、峠を通り越した標識が立っている。次の写真に見るように、トンネルへ向かって右側の斜面を登る。初めから大きな岩がごろごろしていて、これは思ったよりきついぞ。







写真791.トンネル入り口の上段を
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 トンネル入り口面の上を横断。トンネル入り口を見下ろす。走っているクルマは三重県から滋賀県へ。トンネル内の一車線規制から元へ戻るところ。2本目の照明灯の向こうに清山橋が見える。

  写真792.山へ
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 トンネル入り口面の上段を渡って国道をまたいだことになる。「武平峠」の標識をみて右折。そこから山へ入る。








写真793.ガレ場
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 すぐにガレ場が近寄ってくる。ここも谷筋の一つらしい。チョロチョロと水が流れる音がする。もう1枚。水は写真に写っていないが、砂がじかに見えているようなところは流れる水である。








写真794.ガレ場
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 ガレ場が大きくカーブを描いて下ってくる。歩いている道はガレ場の左岸ということになる。根本が侵食され浮き上がった杉の木が倒れている。奥にも何本か。右に「武平峠」の標識。左上に下ってくる登山者2人







写真795.ガレ場横断
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 ガレ場の勾配が右下がりになった。いままでの逆である。左岸から見たとき、ガレ場は左下がりに見えた。先ほどの2人の登山者は、ガレ場の右岸にいた。いま、カメラはそのあたり(右岸)に立って、改めてガレ場を元いたほうへ横切い直そうとしている。こうして行ったり来たりしながら高度を稼いでいく。この写真は撮影時点の記憶が怪しいが、ガレ場を下から見上げたところではなかったか。同じところを望遠でもう1枚。どちらも横向きの木とガレ場のてっぺんとが重なった。まずかった。




写真796.ガレ場左下がり
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 ガレ場が左下がり、左岸へ戻ったことになる。この勾配、ざっと見たところ30度はある。結構きつい勾配である。同じような写真だけど、もう1枚









写真797.山道の雰囲気に
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 いつの間にか普通の山道の雰囲気になってきた。
 この峠道歩きについて、上りは約15分。往復ざっと30分ちょっとか。片道15分のところを往復して30分ちょっとというのは、最近上りより下りに時間がかかるようになっているからである。昔はトントントンとリズムよく下れたところが、最近はそうはいかない。妙に時間がかかるのである。トンネル横の駐車場から峠までの水平直線距離は230mほど。実際は屈曲があるからざっと300m。標高差は70mほど。きっちりした計算式を作っているわけではないが、片道15分ぐらいかと予測した。データのプロパティを読むと、ここで13分。まあそんなもんやろうというところ。




写真798.誰かが整備を
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 ガレ場、ガレ場といっているけれど、ガレ場を横切る道など、勝手にできるはずはない。誰かが整備をしてくれているはずだ。この道もそうだ。ガレ場の石ころが敷き詰めてある。石が勝手に転がってきてこんなに都合よく並ぶはずはない。

  写真799.峠に着く
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 と考えながら歩くまでもなく、目の前が峠だった。上りの山道がすっと水平になる雰囲気。シルエットの矢印。いい雰囲気だった。






6. 武平峠
写真800.峠の道しるべ
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 武平峠、左鎌ヶ岳・右御在所岳。これだけで十分である。上のけったいな案内図はどこか横の方へ立ててもらえるとあり難いのだが。
 「菰野町観光協会」の名がある。当然三重県側からやってくることを前提としている。いま私は左側の奥のほうから上ってきたことになる。すなわち、登ってきて回れ右をしてこの標識を見ているわけ。




写真801.県境稜線縦走路
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 左の小さな標識に、「県境稜線縦走路」の字が見える。三重県から滋賀県の方を向いて、左が鎌ヶ岳、右が御在所岳である。
 県境を横断するものにはどちらから来ても上り(最高部)、縦走すものに撮っては、どちらから来ても下りの最低部(鞍部)。峠の地形がよくわかる。





写真802.至る雨乞岳
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 「至る雨乞岳」は、峠を下って清山橋を渡った登山口を指しているのだろう。見えている道が県境縦走路。御在所岳への上りである。
 この場所からは三重県側が見えない。地形的に見えないのか、木が邪魔をしているのか。とにかく稜線をを登れば見える地点があるだろう。ということで御在所へ向かうガレ道を登る。





写真803.御在所岳への稜線
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 峠から数mは木があるが、すぐにガレ場の稜線へ出る。三重県側の木が切れたところで眺望が広がる。








地図726.武平峠付近航空写真(GoogleMap航空写真)
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 武平峠付近のガレ場の航空写真である。現場の感覚では武平峠は木に覆われている。三重県側の視界はない。御在所側へ稜線を登りだすとすぐに木がなくなり天井が開く。航空写真はいつの撮影かわからない。ガレ場の東端を県境界線が上っていく。撮影場所はいったん木の下へ入って、そこを越えて少し登ったあたりである。









写真804.三重県側平野部
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 谷あいを通してみる三重県側の平野部。かなりかすんでいる。実はこの日、山の中の撮影になるので、光が強いとコントラストが強くなり苦しいだろう。と、うす曇りの日を選んだ。ここへきてそれが災いした。望遠レンズでもう1枚。







写真805.御在所岳への上り
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 さらに続く御在所岳への上り。単純計算すれば、標高差332m、直線水平距離1.1Kmである。

  写真806.トンネル入り口上
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 トンネル入り口の上まで帰ってきた。赤いジャンパーの左が駐車場広場入り口。







写真807.駐車場広場入り口
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 出発点である。データプロパティによる所要時間。
 出発13:16 帰着13:47 所用時間31分。
 こんなしょうもないことを書こうとしたのは、これで山歩きも最後だろうと思うからである。この峠道探訪を始めたのは2012年12月だった。始めたときから、どこまでやれるか命との競争だと思っていた。北周りで始めたが、最終的にはこの武平峠がポイントになるはずだった。以来3年と10か月。とにもかくにも武平峠までたどり着いた。
 次は順番から行くと鈴鹿峠ということになるが、今ふと別のことを思いついた。鈴鹿峠はいったん後回しとし、出発点の国道8号・野洲川大橋に戻り、南回りに進む。鈴鹿峠は最後の目的地とする。そこまでたどり着けば万々歳。
 体の自由がきく間に取材だけやってしまうという手もあるが、それをやるとアタマがいうことをきかない。時間が経てば撮影時の状況を忘れてしまうのである。やっぱり記憶が新鮮なうちにまとめたい。こまめにちょっとずつ進むしか方法はない。完結するかしないかは別の問題である。




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