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S15.大原川流域

S1500. 大原川概観

取材:20**。**
初稿UP:2022.01.30


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地図001.野洲川流域地図  建設省近畿地方建設局琵琶湖工事事務所編 『野洲川改修計画概要』(S58.5)より
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  滋賀・三重県境の那須ガ原山から北東へ滋賀・三重県境の稜線をたどる。高畑山の少し手前に標高770mの峰がある。那須ヶ原山と770峰に囲まれた斜面を源流として、いったん大原ダムへ。櫟野川とよく似た形をとるが、櫟野ダムと大原ダム、前者が那須ヶ原山の中腹に位置するのに対して、大原ダムがほとんど里に近いところに位置する。念のため、国土地理院Web地図から両者の水面標高をとってみた。櫟野ダムが314m、大原ダムが302mだった。もっと大きな差を予測したが。
  平野に出てからは、鹿深の森丘陵の北側の山間平野を西へ流れる。大きく蛇行するさまは櫟野川(いちのがわ)と酷似している。ただ一か所大きな違いがある。それは櫟野川が南北両側を森に挟まれた山間平野を流れるのに対して、この大原川は終始北側に集落を見ながら流れることである。それにより必然的に橋が多くなる。杣川に合流するのは、JR草津線甲賀駅の西方800m弱の位置である。  



地図001A.田村川・杣川分水嶺/770峰のこと
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 左の地図の赤い稜線のことである。小さく見れば”唐戸川・大原川の分水嶺”である。大原川は本項であり、唐戸川は、別項”鈴鹿県境稜線”の最終稿に当たる。実は「北周り」が鈴鹿稜線に出たところでいったん打ち切りとし、改めて「南周り」を始めた時点で、必然的に、その「南周り」をどこで打ち切るかという問題が生じていた。
 「南回り」の最初の”宮川・落合川・荒川”の3河川が野洲川左岸流域であること、これはまあ一種の宿命のようなものである。これは仕方がないとして、そのあとはずっと”杣川左岸”としてレポートを続けてきた。その条件が変化しだすところ。山の名でいえば”油日岳”、川でいえば、青野川と杣川の境。大きく見れば杣川左岸ということになる。”油日岳”は山のネームバリューとしては文句なしだが、川の区分がもう一つ。
 そういうことで、1つ伸ばし、2つのはし伸ばしでこの赤い線までやって来た。最初に述べた”唐戸川・大原川の分水嶺”である。これは前述のように、唐戸川が”鈴鹿県境稜線”の最終稿に当たり、田村川流域の最南端に当たる。一方、大原川も杣川流域のアンカーというころになる。すなわちこの線を境とすることにより、野洲川流域が、主流の野洲川と、支流の田村川・杣川の3つの流域に整理することができる。だとすれだ稜線上の目印としては、”770峰”、いわゆる三角点ではあるが、この点を「南回り」と「鈴鹿県境稜線」の接点とすることで全体がまとまることになる。



地図002.大原川流域地図1  (国土地理院Web地図に加筆)
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  ほぼ東西方向の流れが4本見える。いちばん北が”大橋川”、これは大鳥神社の少し西で大原川に合流する。次がその大原川。これが本編の主役である。3番目櫟野川。前項で取り上げた川である。一番南を流れるのが中川。このうち大橋川と、中川は流域が県境の稜線に届かなため、対象から除外している。
  さてその大原川だが、流れに沿って集落が続く。その点、櫟野の集落以外ほとんど集落がなかった櫟野川と対照的である。そのため流域の西半分ではとにかく橋が多い。左の地図の範囲だけでも13橋を数える。いわば本稿は、”大原川橋巡り”と言ったところである。




地図003.大原川流域地図2  (国土地理院Web地図に加筆)
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  大原川は、鳥居野交差点のすぐ南で不明橋をくぐった後、南南東へ向きを変え杉ノ尾橋、山王橋をくぐりながら、櫟野川との境の丘陵沿いを流れるようになる。それに準ずるように県道129号もその分南へ寄ってくる。JR油日駅近くの踏切を越えてやってくる幹線道路が県道129号にぶつかるところ、甲賀町大久保の三叉路に建つ林照寺が、このあたりの風景の中心をなす。








地図004.大原川流域地図3  (国土地理院Web地図に加筆)
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  ここからは県道の南側にはほとんど集落はなくなり、東側、三重県境の視界が広がる。大原川は県道の南側の農地を蛇行しながら東へ遡っていく。グループGに始まる△1〜△4のマークは、油日岳、那須ヶ原山など、三重県境の山々の撮影地点である。









地図005.大原川流域地図4  (国土地理院Web地図に加筆)
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  大原川上流部である。前項・信号のある交差点を過ぎると、川は県道129号から遠く離れ、見た目にはほとんど変化はない。地図に”深山口”とあるあたりへくると、川は近くへ戻ってくるが、これも地図の上だけで、肉眼でそれを確かめることはできない。
  県道131号を右に分けたあと、同129号はY字型分岐で左へ別れ国道1号”蟹ガ坂”へと向かう。分岐点には”右山、左伊X”との道標が立っている。X印のところは”伊勢”ではないかとたしかめてみたが、はっきりしなかった。道は県道をとっても山道をとっても大原貯水池の畔へ出る。





地図007.大原川源流部
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  三上山が見える場所は自分で探したが、一番つらいのは、多分見えるであろうと思って登った場所から三上山が見えないことだった。重い撮影道具を担いで元の道を下るときは疲れが倍になった。滋賀県近辺の目ぼしい登山の案内書を買ってきて、山頂からの展望の欄に、三上山が見えると書かれた山を探した。どのガイドブックか忘れたが、那須ヶ原山から「三上山が見える」とあった。ダムのふちから大原川渓谷沿いに上り、”Y”字分岐で右へとれば勝手に頂上へ達したはず。




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