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S06.滝川流域

S0602. 滝川をさかのぼる

取材:2018.02
初稿UP:2018.03.08


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 源流域の分水嶺探しに手間取った。改めて裸気が輪をさかのぼる。


地図000.滝川下流域地図  (国土地理院Web地図に加筆)
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 県道4号が信楽高原鉄道と立体交差する。そこから約1Km弱南方に”瀧川”という橋を渡る。クルマで走っていると気がつかないぐらいの小さな橋である。そこが瀧川と杣川の合流点である。橋のそばに杣中集落の”浅間さん”の地蔵さんが祀られている。川はほぼまっすぐ杣中集落の方へ遡っていくが、集落を過ぎるあたりから小さく蛇行を繰り返すようになる。改修工事がところどころで行われている。








1.滝川河口
写真001.杣川大橋下流
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  国道307号の約1Km上流に架かる橋・杣川大橋から下流を見たところ。両側に白い構造物がある。名称は分からない。左側の影が河原に伸びている。その向こう、河原に枯草が突き出ている(流れがぐっと右に寄っている)ところ、それが滝川の合流点である。

  写真002.合流点
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 滝川の河口から見たところ。手前からぐーっと左へカーブして合流する。杣川本流は右が上流である。








写真003.対岸から
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  対岸へ回って合流点を見たところ。黒く洞穴のようなところが流れ込み口。下にちょっと流れは見えるが、本流は見えない。何でかなともう一度上の写真を見直してみると、流れが深くえぐられて、その向こうの河床が2m近い崖になっている。これでは見えないはずだ。立つ位置を変えると橋の下が透けて見えるが本流が見えないことは同じ。
  同じ場所をGoogleMapのストリートビューで見ていたら、浅間さんのところにあった大木が写っていた。データを見ると撮影は2012年2月とある。白いクルマの上、電柱とヤブとの間にある枯れた木。なお、このときは本流が見える。2014年9月の台風で、すぐ下流の信楽高原鉄道の鉄橋が流失した。おそらくこの洪水でこのあたりも流路が大きく変化したのだろう。




写真004.滝川橋
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  クルマが走っているところが、県道4号の滝川橋である。といっても、どこにあるのといぶかるぐらい。よく見ると両岸には親柱も見える。花崗岩製で”瀧川橋”とある。何と旧漢字。反対側には昭和八年の文字。何となんとワシと同級生か。いやいや細かく言うと1つ歳年上だけど昭和8年生まれは学年では同級生だった。






写真005.浅間さん
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  杣街道の項で触れた浅間さんである。滝川からヤブを挟んで反対側に座している。写真004でその関係が見える。川向うから見たストリートビューにも写っていたが、県道4号からのにも写っていた。杣街道の項で見た切株からも、高田さんから頂いた写真を見ても、もっと大きな木だったと思われる。この時点(ストリートビュー撮影の時点・2012年2月)ですでに枯れて小さくなっているようだ。県道から見て後ろ向きなのは、杣中集落を向いているためだろう。




2.杣中集落へ
写真006.杣中集落へ
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 滝川左岸竹藪を挟んで杣中集落へ向かう道である。

  写真007.上流へ
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  瀧川橋から右岸堤防をまっすぐ上流へ向かう道。ヤブの陰になって見えにくいが、すぐに農道の橋が見える。








写真008.新開橋
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 次の橋に着く。滝川・新開橋とある。下流・県道4号滝川橋を見る

写真拡大   写真009.川沿いの道

 さらに上流へ。→








写真010.浦島橋
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  浦島橋に着く。すぐ下流に先ほどの新開橋が見える。下流側はいま見たように普通であるが、上流側が変則的である。向かって右の岸(河川のルールでいうと左岸)が大きく膨らんでいる。この事情が分からない。







地図001.浦島橋付近地図   (マピオン地図に加筆)
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  ただ、分からないでは面白くない。自分なりの仮説を立てるならば、前項で見てきたように、この滝川は平野へ出てからは何度も細かく蛇行している。その細かい蛇行がすなわち水口町と甲南町の町境をなしている(右岸が甲南町)。しかし、下流のわずかな距離は水口町域を一気に直線で流れ下り、この間だけは右岸も水口町になっている。その変化する地点がここのように読み取れる。すなわちその昔の滝川はここで大きく右へ曲がっていた。そしていまの町境に沿って、杣川の杣川大橋の少し上流(現在の超境界の位置)へ流れ出ていた。川は急に折れ曲がるには土地面積が必要になる。川幅はそれな入りに広くとらなければならないし、堤防も厚くなる。今の右側(川の流れでは左岸)の膨らみはその跡ではないか。今は直線化されて安全度は増した。しかしいかなるときも”もしも”はある。そのもしもの場合の安全プール。それがこの膨らみではないか。
  と考えて、町境界線がはっきりしているマピオン地図を見てみたが、上流から丹念に川をトレースしてきた町境界線は、久保出橋あたりからずれが目立ち始める。これは言い換えたらこの川の改修作業の進捗状況を表しているわけだが、例のふくらみにに関しては境界線があえて避けているようにも見てとれる。やっぱり事情は分からないというしかない。



写真011.熊野神社
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  杣中集落内の熊野神社。もう1枚

  写真012.上流へ
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  さらに上流へ。

  写真013.西願寺
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  甲南町市原の西願寺である。







3.久保出橋
写真014.久保出橋
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  工事が終わって出来上がったばかりの橋。

  写真015.上流を見る
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  久保出橋から上流を見たところ。下流側から順次工事を進めてきて、工事が終わったばかりの様子。

  写真016.工事中
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 ここから工事中。








地図002.甲南町塩野付近地図   (マピオン地図に加筆)
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  このときは久保出橋上流から工事区間になっていた。里道を歩いて浄正寺・美須美神社へ出る。













写真017.浄正寺
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  久保出橋から里道を歩いて浄正寺の前へ出る。扁額には「照命山」とある。

  写真018.美須美神社
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  右となりに美須美神社。もう1枚
  地図によると神社の右外から裏手を回って堤防へ出る道が記されていたが工事中。やむを得ず計画変更。






写真019.童話のような
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  本通へ出るまでに出会った童話のような風景。

  写真020.本通
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  突き当りが本通り。左へ行けば矢川橋を経て矢川神社へ。今回は右へ折れて塩野温泉の方へ。








写真021.三ツ頭?
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  左の方の風景が開けて面白いものが見えた。遠くの山の稜線付近に白い三角形。両側が膨れている。あれ?、三ツ頭じゃないのか。でもちょっとおかしい。油日あたりから見たときには真ん中の三角形が上へ飛び出ていたはずだ。今のは何となく猫背に見える。真ん中が高いものと思い込んで”三ツ頭”などと名前をつけていたのだが。・・・・
  帰り、田堵野まで走って撮ってきた写真がこれ。白い三角形がうんと手前に飛び出しているようである。




写真022.塩野温泉
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  塩野温泉。なかなかしゃれた字である。
  後で分かったことだが、ここが甲南町塩野の東端。西端はというと、信楽町との境、新名神と高原鉄道が交差しているところ。それまでの距離が5Kmもあるというから驚く。
  もう1枚。本通りに沿って進む。





4.宮川分岐へ
写真023.十字路
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  次の十字路。田んぼの中だけど、左向こうの角に「左 滝坂不動道」との石標が建っている。さして古いものでもない。どこかに不動さんがあるのかと検索してみたが、地図にはなし。
  さて肝心の滝川、まっすぐ行っても出合うのだが、宮川との分岐(地図002)を確かめたい。ここで右折する。





写真024.綿向山
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  右前方に雪の山。右の方に白く立つのが鎌ヶ岳のはずだ。それから逆算して、左に一番高く見えるのが綿向山、雲をかぶった雨乞山、御在所岳のはず。

  写真025.滝川にぶつかる
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 直進して右からやってくる滝川にぶつかる。ネットの向こうにかろうじて流れが見える。








写真026.左へ
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  左へ左へと曲がる。目的は宮川分岐の確認である。地図002を見て分かるように、途中農道を左へ折れて、田んぼを横切ることも考えられたが、全体を見渡して、赤い矢印のルートが一番安定しているように見受けられた。その判断は正しかった。帰り逆回りで本通りに出ようとしたが駄目だった。

  写真027.竹藪の切れ目
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  竹藪の切れ目が分岐点らしい。いいバランスで庚申山が見える。さらに近づく。もう間違いはない。







5.宮川分岐
写真028.宮川分岐
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 宮川分岐(川の流れでは宮川が滝川に合流)。正面から下ってくるのが宮川。画面左外から滝川。竹が生えていたりして荒れている。堤防の道もこのまま本通りへはつながっていなかった。堤防上の道も途切れる。暗くて分かりにくいがネットの奥が流れのはず。手前の水は意味不明。もと来た道を引き返す。
  *宮川は、旧信楽道の小野峠付近を水源として、水口町山上集落を経由してここへ流れ下ってくる。




地図003.甲南町塩野付近地図   (マピオン地図に加筆)
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  先ほどまで本通りと呼んでいた塩野温泉の前の通りはそのまま進むと広域農道に合流してしまう。土地不安内な人間にはわかりにくい。滝川の流れにそってA→Eの順序に進んだが、現実問題としては現場で滝川は森に覆われ流れを見ることはほとんど不可能に近い。









写真029.庚申山
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  上に書いた通り、塩野温泉の前の通りはそのまま進むと広域農道に合流してしまう。ここは1本南へ下がったA点のところ。行く手真正面に庚申山が見えてくる。先ほど写真027で竹藪の切れ目に見えていた山である。国道307号や高原鉄道がぐるりと半周する山でこのあたりのシンボル的な山である。





写真030.天満宮
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  先ほど十字路で見た滝坂不動が気になる。何かありそうなので寄ってみた。天満宮。階段の右の斜面がやけに光っている。気がつかなかった。不覚。

  写真031.長楽寺
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  天満宮の右隣。長楽寺。滝坂不動は不明。









5.上流へ
写真032.右カーブ
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 庚申山を正面に見ながら右カーブ。右端に細くガードレールが見える(地図003のB点)。そこでもう1度左カーブ。変則的なS字カーブだけど、高架の広域農道と組み合わせてみると、山上の展望台から見ても風景のポイントになる場所だった。地図によると右手のヤブが滝川のはずだが到底川には見えず。 





写真033.左カーブ
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  地図のB点のところ。広域農道が近づいて見える。右端のトラックの下が滝川のはず。手の打ちようなし。

  写真034.ネット越し
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  やっと見えた。ただしネット越し。地図のC点もう1枚。このあと滝川の流れを見るのは、小野谷越えである。







写真035.振り返る
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 広域農道を振り返る。急に空が曇ってくる。

  写真036.新名神
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  林の間に新名神の高架が見える。









写真037.近づく
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  新名神が近づく。その下、軽トラが走るのが県道337号。実はいま写真を撮っている道も県道337号、というと立派な道でと思われるが、こちらは未改良の細い道(地図のE点)。前からトラックが下りてきたりするとどうしようと思う。
  このあとは国道307号。うっかり歩こうものなら新聞ダネになる。





写真038.古野踏切
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 307号に入ってからは登り一方である。滝川は一切姿を見せない。勾配を上り切ったところに”庚申山広徳寺”の標識が立つ。そこを右折してすぐ踏切。それを渡れば旧信楽道。水口と信楽を結ぶ街道だったというが、いまは山中で分断され広徳寺への参道としての役割を果たしているだけである。






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