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S03.独立小河川

S0300. 独立小河川概観
家棟川・由良谷川・大沙川

初稿UP:2017.09.01

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地図001. 野洲川流域南回り図  建設省近畿地方建設局琵琶湖工事事務所編 『野洲川改修計画概要』(S58.5)より
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家棟川・由良谷川・大沙川流域で野洲川流域分水嶺に該当する部分はなし。野洲川と田村川に挟まれて、流域が分水嶺に達しない”うぐい川”---[甲賀市土山町]---の例と同じである。

 南回り、上の地図でいえば宮川・落合川とたどってきた。次は家棟川である。この川の名前を見ると野洲市住民の私などは、日野川のすぐ南で琵琶湖にそそぐ川を想像するが、ここで取り上げる家棟川は全く別の川であることは言うまでもない。
 それはいいとして、この「独立小河川」という言葉、私が勝手に作った言葉である。北回りの「大谷川・高田砂川・大砂川・小砂川」のグループに用いた名称である。川の流域は湖南市の野洲川右岸、これから取上げようとする南回りの独立小河川は湖南市左岸。偶然の一致とは言え面白い。そしてさらに、北回りにおいて背後を十二坊の尾根に遮られて峠越えのルートを持たないこと、片や南回りにおいても下の地図が示すように、阿星山、飯道山に立ちはだかれ、流域が野洲川流域の分水嶺にまで達しない。これまた偶然の一致である。
 ところで、上の地図に付した文章が分かりにくい。たとえば先に述べた宮川や落合川はそれぞれの流域が、野洲川流域以外の他の流域と接している。そのため今までの川に関してはその部分を赤線で表示していたわけだが、今回の独立小河川(家棟川・由良谷川・大沙川)流域に関してはその分水嶺がないのである。もちろんそれぞれの流域はある。しかし、それが野洲川流域の中にすぽんと納まってしまい、それぞれの流域が野洲川流域の分水嶺に達しない。そのため、分水嶺の峠越えということでは対象外ということになる。
 しかし、近くを流れる由良谷川・大沙川(おおすながわ・この川をくぐるJR草津線のトンネルには「大砂川」との表記あり)など、土木文化遺産としての価値もあり、野洲川流域内の河川として取り上げることにした。




地図002.家棟川・由良谷川・大沙川流域図 流域地図  (国土地理院Web地図に加筆)
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 さて、家棟川は阿星山山中を水源として、草津線甲西駅の北東側を通り、旧甲西町市街地の中心部を経て野洲川に流入する。
 由良谷川は家棟川の南東側を流れる川でかつては独立して野洲川に流入していたが、現在は旧東海道の下流側で家棟川に合流。以下下流部は廃川となっている。
 大沙川は由良谷川のさらに南東部を流れる。天井川で現在旧東海道やJR草津線がその下をトンネルでくぐっているが、近々平地化される雰囲気である。












地図003.家棟川・由良谷川・大沙川流域地図  (国土地理院Web地図に加筆)
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 上の地図と略同一であるが、関係部分をアップした。落合川の項でレポートした阿星山の北東部に立つ602峰(麓の甲西駅付近から見て仏さんの顔の下唇に当たる山)を盟主として三角形の流域を作っている。国土地理院のWeb地図を拡大してみるとそれぞれが毛細血管のような源流部を持っている。















地図004.家棟川・由良谷川・大沙川流域立体地図  (カシミール3Dによる作図)
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 野洲川の北方・十二坊上空500mあたりから見下ろした三川流域。上2枚の写真について南北を逆に置き換え、立体表現したものと考えればよい。






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