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S01.宮川流域

S0102B.五軒茶屋越え・B

取材:2016.11・12
初稿UP:2017.01.22


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3.五軒茶屋ランプ
写真108.五軒茶屋ランプ 
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 わずかににカーブしながら五軒茶屋ランプへ。右へ行けば甲賀・四日市へ。左すれば、名神へ入って大阪へという段取りだが、わざわざこんなところから入ろうというもの好きはおるのだろうか。もう1枚。見えている高架橋が一見名神に見えるが、これは1号バイパス。名神はこのまだ先である。バイパスの下をくぐるのは、今レポートしてきた道の延長。簡単に言えば旧東海道の上道ということになる。




地図017.五軒茶屋ランプ (国土地理院Web地図に加筆)
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 五軒茶屋橋から地図の破線のコース、名前でいうと上道経由で五軒茶屋ランプの手前まで来たところ。野洲川沿いの下道経由だと平坦な道を1.3kmほど歩けばいいだけだが、こちらは約2Km、その上に峠越え。大変だった。
 その遠回りが、五軒茶屋橋畔の案内板によると、1685年から1871年まで、約200年足らず続いたのといのだから驚く。たとえば草津、大津と経て、山科へ抜ける逢坂越え、そこそこの峠だが、こちらは抜け道がない。旅人も初めから腹を決めている。ところがこちらは違う、まっすぐ行けば1Kmちょっとで抜けられる。悩ましい場所だった。
 その後140数年、「五軒茶屋」という名も地図から消えたその直後、今度は平成の大動脈として五軒茶屋越えが復活する。そしてそれより50年前、昭和の大動脈「名神高速」が同じところを越えている。何とも不思議な峠である。



写真109.五軒茶屋ランプ
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 カメラが立っているのがいわゆる上道。もちろん道路は広げられ整備されている。高架橋、トラックが走っているのがバイパス本線。小野ランプへ向かっている。その下を上道がくぐっていく。くぐった後は見にくいが、Sカーブ経て細い道に続いている。この部分は「上道」がそのまま残っているのではないかと考えられる。その先が「五軒茶屋越えA」につながるのだが、こちら側からでは表現が難しい。ここでは一旦打ち切り、逆向きにアプローチすることにする。




4.五軒茶屋越えA
写真110.名神下隧道
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 上道が名神の下をくぐるところである。上で述べたように五軒茶屋ランプの本線をくぐってから名神の方へ歩いているのだが、どうも写真になりにくい。そんなことで、ここでは名神側から五軒茶屋ランプの方へ歩いたように編集する。
 そいう意味での隧道からの出口である。歩いているので何の心配もないが、クルマだと対向車が来たらちょっと心配。実際にはほとんど車を見ることはないが。




写真111.上り坂
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 隧道を出てすぐに上り坂。右側に池があって、それの水平線がありがたい。勾配がよくわかる。









写真112.直線道路
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 上り切ったところでくくっと曲がって、後は直線道路。一見水平に見えるが、工場の敷地を水平と見なすと、ほんのすこし上り勾配である。といってもここはもう人工的に整地されたところで、あれこれ考えても大した意味はない。
 あとで分かるが、この突き当りが「五軒茶屋越え」のA点である。





写真113.五軒茶屋越えA
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 メイン道路は右へ曲がる。脇道のような細い道があと少し伸びて右へ曲がる。曲がった先が細く本線高架の下へ続く。もう1枚。先ほど進もうとして、逆に見ていた細い道である。この周辺で「上道」の面影を残す唯一の道である。






5.五軒茶屋越えB
写真114.池 
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 A点と本線との間に細長い池がある。地図で見ていたときは、のんびり魚釣りでもできる池かと思っていたが、なんのなんの、コンクリートで固められ、柵で防護され、その外にネットが張り巡らされていた。これが現代の池。






写真115.本線のそばから
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 A点から池を左に見て、本線を見たところである。池の向こうを左右に堤防状に横切るのが本線。クルマを待ったがやってこない。開通はしているが使用頻度はまだまだ低い。左の方、遠く阿星山が見えている。







写真116.A点を振り返る
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 池のふちを本線まで移動して、振り返ってみたところ。突き当りがA点。その右奥にピークが見える。これが地図017の画面ほぼ中央に見えるピークだろう。この周辺はほとんど採掘されてしまっているが、わずかに残ったピークということになる。






写真117.五軒茶屋越えB
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 A点から池の裏側を経て出てきた市境である。上の写真116の突き当りを左に曲がったところ。本線の道路でいえば、小野ランプから石部ランプ向き。具体的にいえば野洲川へ向かう向き。それの側道である。画面の右側、陰になっている部分に立って標識を見る。写真116で見えていた市境のピークは左外になる。
 立体交差近くまで進み、振り返ってB点を見たところ。一番高くなったあたりに立つ横長の標識のところ。ここだけだどうして高くなっているのかわからないが、池との関係でもあったのだろうか。 工事で元の地形は失われているが、あえて言えばこれが唯一の痕跡ともいえそう。




6.五軒茶屋越えC
写真118.五軒茶屋ランプ 
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 本線高架橋と上道との立体交差。クルマが側道を走って上道を横切ったところ。私は、クルマのあとを追う向きに側道を歩いてきた。左へ曲がれば先ほどの細い道を経てA点へ。右折して本線をくぐれば先ほど上ってきた上道を経て五軒茶屋橋へ。







写真119.五軒茶屋ランプ
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 直進するのが本線へのランプウエー。実際の道路を見るとどちらが直進か判断に苦しむ。右左で判断するしかない。左・側道、右・本線へ。標識の上部、白地の部分に「五軒茶屋ランプ」の文字が見える。







写真120.下り
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 石部ランプ(野洲川畔)まで一気に下る。まさに”五軒茶屋越え”から下り。突き当り、屏風のように立つのが十二坊連峰。









写真121.反対側
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 もう一度立体交差をくぐりなおして元へ戻る。五軒茶屋橋から長い坂を登り詰めたところである。左の写真は立体交差の手前に立って右側(野洲川・十二坊の方)を見ていることになる。このとき(2016年11月)はまだ一部工事中で歩道は通行不可だった。見えている道路は側道。





写真122.ランプウエー分岐
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 同じ場所から回れ右をして、小野ランプ側を見たところ。本線へのランプウエー分岐点ぐらいまでは上り。そこでいったん水平になる。その後本線への道は再び上りになるが、側道はそのまま水平になるように見える。







写真123.五軒茶屋越えC
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 ランプウエーを分岐して少し行ったところ。「栗東市」との標識が見える。「五軒茶屋B」から本線を越えて来た境界線である。画面左下が側道、本線への上っていくのがランプウエー。本来は地形上何か意味のある線が通っていたはずだが、現状では見ること不可能。ただ目に見えない線を見るだけである。本線上の市境標





写真124.振り返る 
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 C点あたりから側道を振り返ったところ。画面中央を横切るのが、旧東海道・上道。この部分だけが少し高くなったいる。本線は盛り土されて、こういう微妙な起伏は見えないが、側道については本来の地形の影響を受けているのだろうか。






7.再びB点へ
写真125.側道
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 市境C点から600mほどほぼ水平に側道が続く。しかし、その間、中ほどでほんの少し勾配が変わる。その変化は写真にも写っている。多分どちらかが水平で他方が上りか下りなのだがそれが分からない。たとえば左の写真、手前の影の部分と奥の日なた(本線の擁壁が照らされている)の部分、勾配が変化するのは間違いない。しかしどちらが水平かと問われるとそれが分からない。もちろん影と日なたの境のところがどちらから来ても最高点というとこもある。現場にいて肉眼で見てもわからないし、写真で見ても判断はできない。



写真126.側道
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 本線の擁壁が奥のほうでコンクリートで白く輝いている。その手前に横断歩道が見える。そこから一気に下りになる。ちょっとわかりにくいが黒いクルマが沈み込んでいく。その手前が水平なのか下りなのかそれが分からない。







写真127.側道
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 たとえば左の写真は、横断歩道のところに立って、今歩いてきた側道を振り返ったところである。この写真と上の写真125を比べてみる。どちらを見ても手前が水平で奥が下りに見える。
 この600m、全体を通してほぼ水平なのであろう。しかし途中でごくわずかの勾配の変化があることも事実。どちらが水平であるとの判断もできないというところ。




写真128.本線をくぐる 
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 先ほどの横断歩道のところで、両側の側道がトンネルでつながっている。左の写真はトンネルの中から反対側を見たところ。名神が目の前を走っていて驚く。いつの間にか並走するようになっていたらしい。影と日向の線のところが側道。横断歩道を越えてすぐ擁壁沿いに右へ曲がる道は名神沿いに行く道。出口に近づくと右の方に栗東環境センターの建物が見えてくる。




写真129.側道
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 トンネルをくぐって改めて石部ランプ(野洲川畔)の方を向く。突き当り十二坊が高い。









写真130.ランプウエー合流
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 右側からランプウエーが降りてくる。側道からは一旦停止で合流する。ゆるいS字カーブの先に、「湖南市」の標識が立見える。五軒茶屋越えB点である。









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