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地図508.茶畑越え(国土地理院web地図より) 南北に布引山を越えるのが県道183号である。この画面の北西端、西からやってくる182号との供用区間で市町境を越える。標高は214m前後。東西に走る182号にとっては、そこが最高点であるが、183号にとってはそこは決して最高点ではない。その最高点は南の布引山を越えるところ。262m余のところである。そこが市町境になってもよさそうなものだが、183号より西の部分では北へ流れると山川へ、南へ流れると野洲川の本流へ、ということで、どちらも最終的には野洲川流域ということになる。その関係が崩れるのが183号を越えた東側ということになる。日野町域が南下してきて、布引山地の尾根筋が市町境になる。 1. 茶畑越え 写真561.布引山交差点 布引山交差点(私が勝手につけた名前)である。信号がなく公式な名称は不明である。南側から北側を見たところで、交差点のすぐ北(クルマが走っているあたり)が県道183号の最高点かと思われるが、交差する尾根筋が切通になっており、道路だけで最高点を云々しても意味がなっそうである。車が走っているのが県道183号。手前に上がってくるのがこれから訪ねようとする尾根筋道である。 写真562.布引山交差点 同じく布引山交差点。道路としての最高点を越えて国道1号徳原交差点へ向かう車。道路は下りになっている。それと直角に交差する尾根筋道(この後、この道をたどる)。奥に見えているクルマは勾配を上って高原状の尾根筋へ出たところ。 写真563.茶畑 方々に茶畑がある。そんなに寒いとは思わなかったのに、ここでは雪が降ったのかと、よく見ると地面に白いシートがかけられていた。 写真564.茶畑越え・1 「茶畑越え」といっても理解してもらえるかどうか。茶畑はともかく、どこにも峠らしい雰囲気はない。尾根筋のようにも見えない。ましてやここが市町境だとは到底考えられない。ただの平地である。これでいて標高は260mほどの高地である。 写真565.茶畑越え・2 上の写真564は布引山交差点から走ってきて、農道が鋭角に分岐していくところである。左の写真はその農道を見返したところ。道路を含めた左側が甲賀市、ネット沿いの細い溝が市町境、それから右の畑が日野町。これが地図から読み取った私の判断である。もう少し劇的な変化が見られるかと期待したが、何でここが市町境なのか、どう考えても分からない場所だった。 写真566.茶畑越え・3 上の2枚の写真からは「茶畑越え」といいながら、どこに茶畑があるのかと言いたくなる。何か情報はないかと上の写真の道を進む。左側、甲賀市側に茶畑が広がる。尾根とか峠とかいう雰囲気はなくあくまで高原状の平地が広がる。300mも進んで、茶畑が途切れたところで、道が悪くなる。普通の靴ではこれ以上進めないし、進んでも大した情報はがありそうにもない。 写真567.甲賀市側 元の道へ戻る。いま私は東西に連なる布引山地の尾根筋を東に向かって歩いている。道路は日野町域、右側が甲賀市との市町境である。この写真は道路の南側(甲賀市域)。「里山リニューアル事業云々」の標識があるが、活発な活動のあとは見えない。地面一面がササで覆われ、枯れた木が転がっている状態よりはよく保全されているようにも見えるが。 写真568.林の中を行く 林の中を行く。昨夜の雨がまだ乾いておらず、なんとなく光って見える。いい雰囲気である。林を抜けると、右側(甲賀市側)に白い建物が見えてくる。そへ行くまでに見えた右側の風景。 写真569.猫注意 先ほどの白建物の前である。突然、目の前に「猫注意」の大きな文字が飛び込んでくる。掲示板の下で何匹かの猫が昼寝をしている。カメラを向けても眠そうに薄目を開けるだけで逃げる気配もない。そう、確かにカメラで撃たれた死んだやつはいないもんな。タマゴを生産しているらしい。 写真570.茶畑 タマゴ屋さんから道を挟んだ日野町側の茶畑である。というだけで特に取り立てて云々するほどのものではない。それよりもこちらの方が大事かもしれない。タマゴ屋さんのはずれから見えた南側、国道1号側の風景である。これが見えないとつい高原状地形の尾根道を歩いていることを忘れてしまう。 2. 学園越え 写真571.びっくりしたぞ! 写真を拡大してしっかりと見てほしい。公道だと思って歩いてきた道が立派な門の中へ入っていくのである。ここを堂々と通過できるのは、よほどえらい人間か、よほどののんびり屋か。普通の人間ならびっくりする。近づいてプレートを見るのも何となく気が引けて、遠くから様子をうかがっていたら、後ろからクルマがやってきて知らん顔をして通り抜けていった。関係者ではなさそうである。プレートには”滋賀県立淡海学園”とあった。道は間違ったはずはないんだし、先ほどのクルマも通り抜けていったからと自分自身に言い聞かせて入って見る。 写真572.淡海学園バス停 入ったところで道は2つに分かれて、そこがバス停になっていた。と、道を斜めに横切る溝が。ははーんこれやな。先ほど驚いたのは門の位置であって、道が2つに分かれ、左へ分かれていく道が市町境を越えて日野町側へ入っていくのは地図を見て知っていた。この溝が市町境というわけだ。 写真573.淡海学園 右へ行く道には掲示があって、改めて”淡海学園”の表示がある。それはそうだろう。ここに門があれば何も知らない善良な市民を驚かすこともないわけだ。 地図509.国土地理院web地図 まてよ、ここまで書いて、妙なことに気がついた。「茶畑越え」以来、ここまで尾根道をたどってきたわけだが、前項の「182越え」から布引山地を上ってきた市町境が「茶畑越え」で尾根道をまたいだ。尾根道が市町境を越えたというべきかもしれないが、いずれにしてもそこのところで両者はクロスしている。それを根拠にその場所を「茶畑越え」としたのだった 写真574.2本の溝 という経過を経て、改めてこの写真を見る。2本の溝が見える。左側の溝、これはどこの道端にでもあるただの溝である。問題は右側の溝。何の意味があってこのような叢に溝をつけたのだろう。しかもこの溝は写真572で見るように、道を斜めに横断した溝の延長線上を進むのである。これこそ市町境ではないのか。地理院web地図も、昭文社の道路地図も、道路の右からやってきて、叢の中を進むように表現している。これが間違いではないのか。 地図510.ヤフー地図 使い慣れたGoogleMapを使いたかったが、なにぶんGoogleは市町境などが見にくい。それでヤフー地図で確認することにした(二点鎖線が市町境)。何や、左側を通ってるやん。その境界線が日野町側へ張り出していく道を斜めに横切って、まっすぐ学園の敷地内へ入っていく。写真撮影時には市町境に対する意識が甘く、たまたま写っていた溝をつなぎ合わせたが、まさか地図そのものに食い違いがあるとは思っても見ないことだった。こうなればGoogleMapも確かめなければ筋が通らない。市町境の線は、細かい点線で示されている。色は多少強調したがそれでも見にくい。しかしヤフーを見てもらった後だから、同じ表現だということはお分かりいただけるだろう。 地図511.学園西越え(国土地理院web地図より) 以上、大騒動だったけれど、Aの地点にあった「茶畑越え」は、お茶をにごしただけであえなくただの三叉路に。逆に淡海学園敷地内のY字路が「学園西越え」に。西越えができたので、いままでの「学園越え」が「学園東越え」に。諸行無常。 写真575.日野町域 「学園西越え」を通過して日野町域に入ったところである。といって道としては何の変化もない。分岐路を左にとっただけである。少し先に窪地が見える。帰ってから地図を確かめたが、単なる谷筋を横切ったくぼ地のようである。同じ窪地を振り返ってみたところ。右側にガードレールがついているところ。 写真576.この溝は? 道に対して直角方向に曰くがありそうなくぼみがある。それが道まで数mのところで途切れている。何やろな―これは。道の反対側を見るとこれまた水がたまった溝が見える。峠を探しているのに溝がある。けったいな話だけど例の一件から溝には敏感になっている。とりあえず撮っておこうか。これも結局ただの溝だったらしい。 写真577.雑木林 道が緩くカーブして、右側はまばらな雑木林。よく手入れが行き届いている。いい風景だ。古い昔だけど、たしかラジオ歌謡で中村メイ子が歌ってた。”雑木林に月が出た”。これぐらいまばらだと、木と木の間から月が出てもしっかり見える。そうそう、木曽の境峠、夜行バスの中から昇ったばかりの月を見た。林の中を月がバスと一緒に走った。いくら眠っていても不思議に峠にかかると目が覚めた。その境峠が日本海と太平洋との大分水嶺だったとか。それもこんなアホな遊びを始めた理由の一つだ。 写真578.いつしか下りに 梅林が途切れたところで、道はいつの間にか下りに。結局、はっきりした市町境は見当たらなかった。結局はくぼみをこえてから、この下りになるまでの間のどこかに市町境が通っていたことになる。そして例のくぼみは日野川へ通じ、下りにかかってからの地域の水は野洲川に通じることになる。ただしこの下の市場池を経由した水が最終的に野洲川へ通じるのかどうかが不明になることなど、まだ考えられないことだった。 地図512.改めてヤフー地図 淡海学園の敷地に入るところで市町境を越えた。そうしてもう一度またぎなおさなければ甲賀市域へ入れないはず。そこのところがはっきりしない。もう一度市町境がはっきり表現されているヤフー地図を見直した。北東のカーブのところで細い道がT字型に分岐し、道から見て左肩が市町境になっている。ホンマにそんな道があったかな。ウソやろーと思ったけれども、いまはGoogleMapのストリートビューという気持ちの悪いものがある。このようにほとんどクルマが来ないようなところも記録されていて、ちゃんと写っているのである。 写真579.学園東越え こうなればごまかすわけにはいかない。改めてその部分を撮りに行った。平地ではほとんど消えていた2,3日前の雪が、ここではまだ残っていた。梅林の横を過ぎて、右カーブの下りにかかるところだった。道路方向からでは下りが表現できない。改めて直角方向から撮ったのが写真579である。上の地図と照らし合わせると、この道路の左端が市町境ということになる。実際の最高点は写真576の溝付近ということになるのだが、 写真580.淡海学園入り口付近 学園東越えを越えて下ってきた道を振り返ってみたところである。梅林の奥で左に入って行くのが学園の入り口。例の大騒ぎをした学園西越えのところは裏口だったらしい。 3. 市場池(仮称)付近 写真581.市場池(仮称)付近・1 布引山交差点(私が勝手につけた名前)から淡海学園前を通って坂を下ってきたところである(右がその道路)。左下に市場池(私が勝手につけた名前)が見えてくる。地図には名称が記載されておらず現場にも表示はない。何本か立つ松の木が風景を造っている。左、池のふちを走るのは名神栗東CCへの進入路である。逆に池畔道路から坂道を見上げたところ。この奥がゴルフ場らしい。この先一生縁がないはず。 写真582.市場池(仮称)付近・2 坂の途中から市場池(仮称)を見たところ。上の写真にもみるとおり、もともとあった松の木を利用して、うまく風景を作っている。なのだが、ここで風景は二の次、問題はこの池を源として野洲川に注ぐ川である。右の堰堤の一番奥からその川・市場川(仮称)が流れ出る。 写真583.市場池(仮称)付近・3 池畔に下りついて振り返ったところ。左の坂道が淡海学園への登り坂(実際にはいま下ってきた道)。右がゴルフ場への道。 写真584.稲川交差・1 いつの間にか川は道路と並行になって流れ下る。いつか歩いた稲川交差。そのときは稲川から見て「市場川交差」としていたが。名称はともかくこの河川交差、地図では平面交差と読める。しかしそれは微妙な段差がある交差(写真584A)ということは前回レポートした。いま見てもらった写真584Aは市場川の上流(画面奥)から流れてきた水が、ミニ水門を通って稲川の下流へ流れ出ていく。その場合、当然稲川上流からの水もその交差点へ流入するものとして書いていた。しかし本当にそうだったのか。その確認がとれていないことが気になっていた。本当に稲川から水は流れ込んでいたのか。そこのところがもう一つ自分自身であいまいだったことに気がついた。写真584は稲川の上流側からの水が流れ込んでいなければならない面である。いわゆる段差溝の上の壁面、そこだけ色が変わっている。一旦造られたあとで改修工事が行われたように見える。以前はそちら側にもミニ水門がつけられていた。しかし稲川上流からの水はこない。それだったら、水門を残しておく意味がないのではないか。もう封鎖してしまえ。そんな経過が浮かび上がる。 写真585.稲川交差・2 稲川の上流側である。カラカラ、水が流れた形跡はない。しかしそれはいまの時期(冬期)のことであって、必要になれば流れるのではないか。当然そう考えられる。で、この水路が市場川へ落ちるカラクリがどこかにあるのではないかと探し回った。どこにもそれは見つからなかった。稲川上流からの水を受けるには、市場川の上流側に、その口が見つかるはず、それがないのだから、水はつながっていないとしか考えられなかった。 写真586.市場交差点 「市場交差点」。仮称ではない。れっきとした公称、国道1号との交差点である。左右の道路が国道1号。右端にフェンスがついているところが市場川(これは仮称・私がつけた名前)。下流側から国道1号を見たところ。一つ一つの意味は分からないが、とにかくこの川は細かい仕掛けがある。 写真587.立派な橋 この立派な橋を渡ってどこへ行くのだろう。対岸には道はない。まさかは波(花見と打ったつもりだが、ワープロもこの橋が花見に通う橋だとは考えなかったと見える。すごいぞこの変換能力)に行くわけでもあるまいし。とヒマなことを考えている間に野洲川が近づいてきた(国道1号と野洲川間、300m)。 写真588.突き当り おい、ちょっと待てよ。突き当りじゃないか。確かにその予感はあった。地図の上で野洲川への合流点がはっきりしないのである。そういう意味でここははどうなっているのかという興味はあった。”この川の突き当りは”などと、比喩として使う場合はある。しかしまさか、川が突き当りになろうとは考えても見なかった。 写真589.突き当り で、反対側へ回ってみた。突き当りをのぞき込んでみると、先ほどでは見えなかったところに、もう1つ深い穴がある。これがどこかへ通じているらしい。さすが甲賀市、忍者の本場だけのことはある。これがどこかへ通しているだろう。こんな深さで野洲川へつないだら、その途端に水が逆流してきて・・・。もうええ、これ以上は無理だ、素人の能力を超える。 |
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