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N05.稲川流域

N0501. 稲川川をさかのぼる・1

取材:2015.11
初稿UP:2016.02.10


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 稲川を遡る。下流の大山川以来、「遡る」シリーズでは、歩ける部分は「可能な限り歩く」を原則にしてきたが、山川の後半部分でその原則が崩れた。歩けない部分が多く出てきたし、歩けるとしてもほとんど変化がない単調な流れが多くなった。いつの間にか、「クルマで行けるところはクルマで」が原則になっていた。今回もその形を採ることになる。

地図504.稲川合流点付近(地理院地図より)
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 合流点。地図の上では、国道1号「大野西」交差点から下流側へ800m余り下流の点である。実際に現場へ行ってみると草が茂っていたりして、肉眼での見極めはまず無理である。河川敷にサーキットのような細い道が示され、その枠内に田んぼのマークが示されているが、素人には分かりにくいものだった。
 大野西交差点をくぐって大きなS字を描いているが、そのあとは南土山の頓宮あたりまでひたすら東を目指す。


1. 大野西交差点
写真501.東海道水口宿碑 
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 「大野西」交差点。鈴鹿峠・土山方面から草津に向かうとき、国道1号がバイパスを分岐する交差点である。この交差点以西の旧1号は県道549号と名を変える。交差点のたもと県道549号(旧1号)沿いに石庭を形どったモニュメントがある。白い柱に「井」形の桟を巻き付けて何やら書いてある。が、これが読めたら神業である。神さんになりたい人はここをクリック。誰が考えたアイディアか知らないが、天気のいい日には絶対に読めない。もちろんこれは本稿とは何の関係もない。こういうアホなことをやっていると、神さんがちゃんと遊んでくれるという話である。


写真502.大野西交差点
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 神さんと遊んだあと大野西交差点を見たところ。赤信号で止まっているのが県道549号。左のトラックがバイパスを走ってきて1号へ入っていくところ。道路の向かい側、道沿いに10m足らずのガードレールがある。よく見ると右側にも。何かいわくがありそうだ。







写真503.県道をくぐる 
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 稲川が県道549号をくぐって出てきたところである。上のガードレールが写真502で右側に見えていたもの。ヨシが生えていてほとんど水面は見えない。暗渠の中の水面がかろうじて見える。







写真504.下流を見る
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 県道上から下流側を見たところ。写真には写っていないが、画面左は甲賀バラスという会社の敷地で道路と同じ高さで、これが自然の堤防になっている。右岸のみに堤防が築かれているが写真でははっきりしない。画面奥の竹藪の向こうが野洲川である。






写真505.合流点へ1
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 地図504を見ると大野西交差点の下流側河川敷にF1レースのサーキットのような線が見える。この意味が分からなかった。記号では道路を意味するが、河川敷になんで道路なのか。まさかここでオートバイレースをやるわけではなかろうし・・・・、これが分からなかった。もちろんそれに囲まれた中の記号を読めば、田んぼだということはすぐにわかったのだが、そこまで知恵が回らなかった。写真がサーキットと間違えた農道である。
 遠景の山は飯道山である。最初、比叡山か音羽山かと思ったが、そうか、飯道山か。随分南へきていたわけだ。



写真506.合流点へ2
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 サーキットの真ん中辺に両側を結ぶ直線が見える。その部分である。ちょっと細かい話だが、この道路の突き当り、藪の手前に向かって道が高くなり、左右に短くガードレールが見える。その下を流れるのが稲川かと思ったが、それでは理屈に合わない。右岸の堤防だから、川そのものは堤防の向こう側のはずだ。そこまで行ってみれば判ることだけど。





写真507.合流点へ3
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 堤防に行きついて下流の方を見たところである。ガードレールがついていたのは細い溝だった。この堤防が右岸で、いまカメラは下流へ向いているから、稲川はこの堤防の左側のはず。








写真508.合流点へ4
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 少し上流側に竹藪の切れ目がある。そこから野洲川本流を見たところ。流れは遠くそれまでに稲川が流れているはずだけど姿は見えず。恐らくこのブッシュの間を流れているのだろう。しかしよく考えてみるとけったいな話だ。稲川の左岸がない。先ほどは甲賀バラスの敷地が天然の堤防だったわけだが、それはとっくの昔に終わっている。GoogleMapで見るとこの写真で見えるあたりで合流しているように見えるが、国土地理院のWeb地図ではもっと下流のように表記されている。こんな広い河床での合流点など、ひと雨降れば変わるのだろうから、細かいことをとやかく言っても意味はないのだろうが。



写真509.合流点へ5
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 下流側を見ると、ところどころに陽が射しているところがある。藪の切れ目だろう。ということでそこまで行けば情報があるかもしれない。で、下ってみたが、見えたのはこの写真1枚だった。日が照っていたから見えたものの、そうでなかったら、流れそのものも見えなかったかもしれない。野洲川本流はずーと遠くを流れているから、これが稲川だろう。ということは実際の合流点はまだ下流だということになる。




写真510.合流点へ6
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 地図504のサーキットの左端に川原へ降りる道がある。そのあたりまで行ってみたが、肝心の稲川そのものが見えなかった。雑草の背が高くそれに隠れているのだろうけれど。
 そんな川原に「鵜の飛来防止杭」となる棒が立っていた。まさかたった1本ではないと思って辺りを見渡したが、これ以外には見つからなかった。こんな杭1本で鵜の飛来が防げるのか。分からん話である。  




地図505.稲川合流点付近(地理院地図より)
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2. 上流へ・花枝神社裏ま
写真511.1号BP暗渠
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 先ほどの神さんの庭園へ戻って、県道から1号バイパスの暗渠を見る。川幅は下流の県道の暗渠よりも広い。こちらが上流側である。上流がいくら広くても、下流側が狭ければ意味がないと思うが、これも分からない話。







写真512.大野西交差点を北へ
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 1号バイパスをくぐっていったん左へ大きく曲がった稲川は、その後右へターンして国道1号と並行する向きに流れを整える。その間ちょうど半月の弦に当たる部分を2車線の立派な道が走っている。突き当りに白い立派な建物が見える。稲川はちょうどその前へ出てくるはずだ。






写真513.オー・デュ・ブール
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 白い建物の前へ出る。「土山町 オー・デュ・ブール」とある。なさけないかな全然意味が分からない。何かの宿泊施設のようにも見えるが、それにしてはひとの気配がない。入り口の橋にも同様の名がついている。大層な話である。この橋は誰が渡るのか。
 帰ってから、その名前で検索してみた。公共下水道終末処理場・農業集落排水処理場の意味だという。それならそうと日本語で書けよ。大事な施設ではあるのだろうが、それにしても立派な建物だ。



写真514.上流を見る
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 長ったらしいフランス語(だと思う。確信ナシ)の橋から上流を見たところ。対岸の白い建物は何とかブールの続き。
 私はそんなことより、堤防上の道の方が気になる。舗装道路である。ただし「ここは河川管理用堤防道路です。一般車両の通行はご遠慮ください。必要により通行される場合には、路面不良や竹木倒壊が発生している場合がありますので、十分注意して走行してください」との標識が立っている。ご覧のような好天である。緊急事態が発生しているわけでもないし、遊びに違いはないが、”必要により走行”しようとしているわけだし、倒れている木にぶつかるほど耄碌もしてないつもり。要するに走ってもええけど事故が起こっても責任を持ちませんよというのが見え見えの文章だ。まあエエやろう。



写真515.丘の上
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 途中、対岸(稲川の立場からすれば右岸)の丘の上に建物が見える。個人の家のようでもあるし、公的な施設のようにも見える。牧場のような雰囲気である。上がっては見なかったが、一日中、こんなところで仕事ができたらいいなと思わせる雰囲気だった。

  写真516.竹藪にぶつかる
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 少し行くと竹やぶにぶつかる。それに沿って右へ曲がり左へ切り返すと右にまた竹藪が見えて来る。








3. ファブリダム・A
写真517.ファブリダム
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 両側竹藪のトンネルをくぐったところで、ファブリダムが現れる。例の祇王井川で見たやつだ。そのときは珍しかったが、こうしてあちこちの川を歩いていると、方々で見かける。思川には2基あったし、・・・山川にはなかったかな。祇王井川以外で、これでたしか3基目。影は右後ろの竹藪によるもの。上流右岸が公園になっていて、あずまやなども見える。




写真518.山側をみる
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 写真517に見えている橋の上から山側を見たところ。右側(上流側)が公園である。公園の川沿いに立札があって、「ホタルの宿今宿保全隊」の名で”環境にやさしい農業に取り組み、稲川のホタルを守っています”とある。







写真519.橋から上流側を見る
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 上流側。左が公園。川が小さなダムになり、両岸には桜。手入れも行き届いていて、看板の通り周辺の風景を大事にしていることが伝わってくる。

  写真520.山本神社
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 県道183号が近づいてくる。その手前左手に神社がある。GoogleMapでは山本神社とある。







4. 県道交差
写真521.県道183号交差
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 県道183号と交差する。右が国道1号・徳原交差点。左が布引山を越えて日野町へ。交差点に立って徳原交差点方面を見たところ。手前の橋が旧東海道。その下をくぐったところが徳原交差点。日野へ向かうトラックが信号待ちをしている。反対方向、布引山から下ってきたトラック。





パノラマ写真 P1 写真拡大

    県道183号は国道1号徳原交差点まで、そのあとは広域農道と名称を変えさらに南進する。野洲川を渡り、河岸段丘状の斜面を上ってくる。その一角(野洲川左岸)から撮ったパノラマ写真である。その主旨は画面一番奥、左から右までほぼ水平に続く布引山地の稜線を見てもらうためである。手前の林の前後を野洲川が流れている(流れは見えない。写真の真ん中付近に河川敷のヨシ原が見える)。その奥の稜線との間を稲川が流れ、稜線(布引山地)の向こう側左半分を山川が流れている勘定になる。




写真522.マラソン標識
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 土山マラソンの標識が立っている。このあたりの地名は地図505には「片山」とあるが、先ほどの神社が「山本神社」だったし、ここも山本稲川とある。山本というのが通称なのかもしれない。マラソンコースに従ってさらに進むと、落差工が見えてくる。







5. ファブリダム・B
写真523.ファブリダム
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 落差工を越して少し行く。・・・と?、もう少しのところで見過ごすところだった。ファブリダムである。最初見たときは単なる落差工に見えた。しかし、先ほどの方がパンチが効いている。大したもんではねえやと、ふと岸を見ると何かけったいなものがへばりついている。見てくれも悪い。こんなもの外しておけばいいのにと、さらによく見るとそれがファぶりダムのしぼんだところだった。通り過ぎて振り返ったところ。もう1枚、対岸へ回って全体を見たところ。画面奥に茶畑が見える。




写真524.さらに上流へ
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 茶畑のそばの橋でマラソンコースは右へ折れていった。左の写真524は、その上流である。ファブリダム満水時の水面線が岸に残る。

  写真525.さらに直進
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 上の写真で軽トラが走っているあたりである。道路は地道になるが、川はさらに上流へ直進する。






写真526.農道と交差
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 舗装された道路と交差する。と書くと大層な交差点を思わすが、写真に見るような一車線の農道である。次のパノラマ写真はこの道路を右へ、集落近くから布引山地を見たところである。

  写真527.さらに直進
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 道はだんだん怪しくなるが、川はわき目もふらずに直進する。花折神社の森が近づいて来る。









パノラマ写真 P2 写真拡大

  布引山地(稲川と山川の境に横たわる山地)を見たところである。野洲川・国道1号はカメラの背後にある。中央に写っている農道が写真526で稲川と交差した道。同じような農道が何本もあってどこで撮ったのか記憶が怪しくなる。Google Mapの航空写真をチェックして、道路わきにある高圧線鉄塔をアリバイにした。



6. 花枝神社
写真528.花枝神社
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 花枝神社は国道1号に面している。森は深いけれど入り口はこじんまりとした神社だなと思っていた。もちろん今までは前を走り抜けるだけで森に入ったことはなし。森の幅いっぱい分だけ、国道沿いに一車線の駐車スペースがある。今回初めて車から降りてみた。奥行きはずいぶん深い。遥か彼方に拝殿が見える。本殿には新年のしめ飾りが(撮影:2016年1月2日)。






写真529.神社裏
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 境内を通り越して森の裏へ出る。前回のところから途中どうなっているかわからないが、川幅もそのままに直線でやって来るのが見える。写真529は、国道からやってきた農道が稲川をまたぐところ。







写真530.神社裏
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 しかしその川幅もそこまで。橋の下でくっと曲がった流れは細い溝に変わる。ただし直線であることは不変。これが人工の川である。神社の境内ぎりぎりを通って上流へ。






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