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03.思川流域

0302E. 分水嶺・日野越え、一本松越え

取材:2015.07
初稿UP:2015.07.31


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  地図701.日野越え・一本松越え 関係地図(国土地理院Webマップ)
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 前項「蒲生越え」は、地図上の位置、道路の最高点、田んぼの最高点が食い違い、本来川の流れがいったん途切れるはずの分水嶺で、両流域の川がつながっているという理解に苦しむ状況だった。そこを越えた後も分水嶺はゴルフ場が点在する中を抜けていくが、おそらく地形はかなりの範囲で人の手が入っていると考えられる。そんな事情でとにかく地図上の市町境をたどることとした。  





地図702.日野越え・一本松越え 要所拡大地図(国土地理院Webマップ)
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 今回の対象道路は県道178号、国道1号伴谷口交差点から日野町三十坪に至る道路である。日野町わたむきホールでお世話になっている写真教室への往復にこの道路を使う。ここが市町境かとの意識は持っていたが、ここが野洲川と日野川の分水嶺であるとは思ってもいなかった。丘陵地帯の地形判断の難しい地域である。
 地図を見ると水口町から日野町へ向かうとき、日野越えに至る少し手前で、細い道路が北へ向かう。そんな道あったかなというぐらいの道だが、昭文社の道路地図を見ても東近江市鈴の近くへ続いている。よく見るとこれが市町境をまたいでるのである。大した道ではないのだから、そのまま無視してもいいのだろうが、案外こういうところに面白いネタがありそうな気もする。歩いたとしても大した距離でもなさそうだからと、新たに対象に追加することとする。地図で「一本松越え」とあるのがそれである。



9.日野越え
写真701.不詳川沿い
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 思川・城之橋畔で分岐して谷あいを遡ってきたところである。川の名称は、私が調べた範囲では不明。現地で橋の親柱を調べればすぐにわかるだろうと考えていたのが甘かった。結局、この流域に親柱のあるような橋はなかったのである。仕方なし、川の名前を「不詳川」とした。ここは水口台交差点から不詳川沿いの山間農地を遡り、日野町へ向かって大きく右へ曲がるところである。(森の間に見えているのが綿向山)。




写真702.不詳川
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 県道から見た不詳川(上流から下流を見たところ)。ずーと遠くに見えるのが水口台交差点あたり。川と並行にさかのぼってきた道(田んぼを隔てた反対側の山蔭を走る)が、大きく90度カーブを切って、川と直角にクロスするところである。こんな川であるから道を暗渠でくぐる。車で走るとき、川とクロスする意識はない。当然親柱はなく川の名前はわからない。左の森の向こうが桜ヶ丘住宅地である。




写真703.日野へ向かう
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 曲がり切ったっところ。不詳川とのクロス地点からみたところ。白いクルマが日野へ向かう。道路は水平である。黒いクルマの右に見える堤防(遠いのでわかりにくい)が、桜ヶ丘への連絡道路。








写真704.桜ヶ丘入り口
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 右、ガードレールが切れているところが、桜ヶ丘への入り口(もう片方の入り口が水口台交差点近くにある)。道路は水平である。









写真705.日野越え

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 緩く左へカーブしてすぐ下りになる。田んぼと道の関係を見て分かるように下りになりだして少し走ったところに「日野町」の標識が立っている。日野越えである。分水嶺としては若干首を傾げたくなる位置である。この道を見て、左のクルマの陰の田んぼの様子を想像すれば、誰が考えれも一段高くなっていると考えるはず。田んぼに番号がついているわけでなし、見ただけでは区別がつきにくい。さいわいこの写真で見えている田んぼの横に白いポールが立っている。1つの目印として次の写真を見てもらいたい。




写真706.田んぼの高さ
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 田んぼ側から見た「日野越え」である。前を行く黒いクルマを後ろから赤いクルマが追っている。田んぼと併せて見ると道が下りになっていることは一目瞭然である。奥にもう1台白の屋根が見えているが、これは先行するクルマ(反対に上ってくる車かもしれない)、ちょっと判断がつかない。いずれにしても道が下りになっていることは間違いない。さて田んぼと道の関係である。白いポールの田んぼ、これが「日野越え」に一番近い。この田んぼが手前の田んぼより高いのである。手前の田んぼは道路より低い。




写真707.田んぼの並び
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 白いポールの横をトラックが上ってくる。見て分かるようにその田んぼが一番高いのである。もともと自然の状態でここが一番高かったのだろう。いつごろ開かれた田んぼかわからないが、田んぼを作るときに、自然の高さをひっくり返すことはまず考えられない。逆にしたのは道路の方だろう。これは前後の関係などから今の工事力なら考えられない話ではない。
 いまこの写真には3枚の田んぼが写っている。右向こうの田んぼが一番低い。道路の高さは田んぼの高さとは一致しない。たとえば地理院地図だとか、GoogleMapを使うとその位置の標高が読み取れる。これを使えば任意の場所の標高が一発で読み取れる。これはありがたい、道路の高さと田んぼの高さの差が読める、そう考えたが実際はそれほど甘くはない。ガイドによると、その点を中心とする10m四方の平均の標高を示しているというのである。イメージとしては地球の表面を一辺が10m四方の田んぼを敷き詰めたように区分けし、その田んぼの高さを示していることになる。いま見ている田んぼは一辺が10mよりは少し大きいが、この田んぼをクリックすれば標高が出ると考えればいいのだろう。



写真708.道路の峠
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 もう少し上(後方)から見ると、2台の車がの後を走る黒いクルマのあたりが一番高いように見える。分水嶺はここだろうと考えたくなるのだが、実際の自然の稜線は一番高いダンボの近く(画面左端あたり)を通っていたのだろう。







10.一本松越え
写真711.一本松越分岐
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 日野越えの準備で地図を読んでいて、峠のすぐ手前に細い道があり、それが市町境を越えて東近江市鈴あたりへ抜けているのに気がついた。そんな道あったかな。半信半疑だったが、現地へ行ってみると確かにあった。これがその分岐点である。手前の舗装道路は県道178号、右が日野方面。
 細い砂利道で分岐後すぐ緩い上りになる。ついでだが、写真に見える手前の田んぼが写真706に写っている手前の一段低い田んぼ。



写真712.砂利道を行く
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 砂利道だけど路面の状態は安定しており歩きやすい。歩き出してすぐ乗用車が1台追い抜いていった。軽トラならわかるけれどこんなところを乗用車が・・・、ときどきビジネスマンが山影へ車を止めて昼寝をしていたりすることがあるので、今回もその手だろう。でも車を止めるところがあるとも思えないが。






写真713.分岐
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 と、分岐点へ出る。道路の状態から考えて絶対右である。でもこんな分岐があったかな。私は家を出る前にPCで予習するだけで地図は持って出ない。もちろんスマートホン・タブレットとやらは手にしたこともなし。道を間違えての失敗は日常茶飯事、分からなければ帰ってくればいいのだし、そこから得ることの方が多いと考えている。
 と、やせ我慢を張ったけれども、ここはやっぱり右。




写真714.うん?
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 右へ曲がりかけてびっくりした、すぐ突き当りで砂利採取場か、はたまた砂利置き場か。さっきのクルマが止まっていた(写真には写っていない)。そういうことやったんか、昼寝やと疑ってごめんね。







写真715.左へ
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 で、あとは左しかない。といっても実際は直進だけども。とたんに道が悪くなる。道というのは使えば傷んでくるが、使わなくても悪くなる。難儀なものだ。その後心配したほどでなく高台状の水平の道になる







写真716.松の木越え
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 上り切って道が水平になる。地図で県道のT字路からここまで大体300mぐらいと読んでいたので、まあそんなものだろう。ちょっとした松の木が立っている。そうや、この峠越えの名前が決まっていなかった。「松の木越え」にしよう。半分枯れかけているようにも見えるが、ほかに名のつけようがないからまあエエか。





写真717.下り
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 水平な道が数10m続いてあとは下りになる。何か建物が見える。もうちょっと下ると建物がはっきり見えてくる。もうこれで峠を越えたことは間違いない。









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