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03.思川流域

0302F. 分水嶺・細道越え、R307越え

取材:2015.07
初稿UP:2015.07.31


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  地図703.細道越え 要所拡大地図(国土地理院Webマップ)
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 日野越えからさらに県道178号を日野の方へ進むと、「日野町中山→」と表示がある交差点に至る。「日野町中山」という交差点ではない。「日野町中山はあちらですよ」という交差点である。いわゆる旧道は集落の中を通っていたのだろうが、バイパスは文字通りそばを通り抜けた。当然四方には何もないという交差点が出現した。
 その交差点は県道と県道とがクロスしている。相手は県道180号である。その道は甲賀市域へ入ると急に細くなる。市町境に続いていく道は広く甲賀市側には住宅地も広がっているようである。しかし、一度も行ったことのない場所である。まったく事情が分からない。







11.細道越え
写真721.「日野町中山→」
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 「日野町中山→」交差点。日野町方を見たところである。左方に中山集落がある。右へ分かれて県道180号が市町境へ向かう。車が走っている写真を2枚撮っていたが、うかつなことにその場で確認をしなかった。その2枚は信号灯が消えて写っていた。LEDに変わってから要注意、教室でも現場での確認を呼び掛けているのに、大失敗。ということでかろうじて点っていた1枚。クルマなし。




写真722.県道180号
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  交差点を右折。細い道である。それは地図でわかっていたこと。蒲生GCの標識はあるが、車が来る雰囲気ではないから大したことではないだろう。









写真723.蒲生GC
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 交差点から1.4Km、途中、農作業の軽トラが1台止まっていただけだった。そうしてちょっとした広場へ出た。道は細くなってまっすぐ続いている。左にゲートがあって「私有地につき、通り抜けお断りします」とあり、その右に蒲生GCの標識もある。ああここが標識にあった蒲生GC・・・。私有地につき云々はよくある話なので、ああそうかと気にもとめなかった。
 ここが細道越えそのものでないかと気がついたのはそのあとだった。ゴルフ場への私道が地図には公道と記載されていたのである。通り抜け禁止とあるから通り抜けることは物理的には可能なのだろう(通り抜けができない道をつかまえて、通り抜け禁止の看板を出す馬鹿はいないだろう)。現に地図には日野町へ抜けられるようになっている。行けば抜けられるのだろうけれど、やめた。




写真724.細道越え

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それよりもまっすぐ伸びている細い道には、木の葉に隠れて「甲賀市」の標識が立っている。間違いない、ここが「細道越え」そのものなのだ。右上に県道180号の表示が小さく見える。何かの裏らしい。ズボラな標識だ。表へ回ってみると「日野町」とあった。間違いない。対向車もきそうにないから、ここを通り抜けようかとも思ったが、エエ年してと笑われそう。やめた。





12.R307越え
地図731.R307越え 関係地図(国土地理院Webマップ)
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 「日野越え」から南東に向って市町境が伸びる。日野水口丘陵を横切っていく形だが、ゴルフ場が点在し、素人の私などが地図上で分水嶺をたどること自体不可能である。たとえば、地図の上では「細道越え」から「R307越え」までしっかりした道でつながっているが、実際にはゴルフ場の敷地とかで通り抜けはできない。
 さて、「R307越え」は、水口から日野へ近江鉄道沿いを走る国道307号の峠である。並行してもう1本、日野水口グリーンバイパスが走るが、これからたどろうとするのは旧307号のほうである。  






地図732.R307越え 要所拡大地図(国土地理院Webマップ)
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 地図で見るように大小の池が点在する。その中でひときわ目立つのが国道307号沿いの細長い池である。農業用水で地元では名前はあるのだろうが、私が調べた範囲では地図上では無名。ここで取り扱うためにはそれでは困るので、とりあえず「三日月池」としておく。私のイメージでは薄い凸凹レンズの断面を想起するので、「レンズ池」としようかと思ったが、一般的でないような気がしたので止めにした。
 「細道越え」から南東に下ってきた市町境がその三日月池畔に妙な形で出てくる。現場に立てば何かが見えてくるかもしれない。




a. 地図上の位置
写真731.市町境
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 国道307号の甲賀市・蒲生郡日野町の市町境である。右端に見える裏向けの標識には言うまでもなく「甲賀市」とある。左側から市町境をたどってきた道路が下ってくる。画面右外は三日月池の南西端である。通行量も多くその上歩道がないので撮影には気を使う。これも道端の溝をまたいでの撮影である。






写真732.三日月池
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 三日月池は北東から南西に長く、その長さは220mほどである。北東端にクルマが2台ほどでいっぱいになる空き地がある。そこから市町境付近を見たもの。池の突き当りに市町境の標識が見える。そこが上の写真の場所である。
 国道は池に沿って水平に走るが、市町境の手前左へカーブしだすあたりから下りになる。






写真733.市町境(日野町側から)

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 三日月池の南西端あたり。市町境の手前から水口町方面を見たところ。左へカーブしながら下りになる。国道には歩道がなく、三日月池側にはガードレール。池畔にはネットが続く。撮る場所も対象物も難儀な場所である。
 「甲賀市」の標識の部分をアップする。池沿いのネットも一緒にカーブしていく。ネットは池に沿っており、一応水平と考えられる。それに対して道のガードレールが徐々に下っていく様子が見える。




写真734.市町境もう1枚
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 甲賀市の標識の下に機械小屋が見える。ただし、標識は手前、小屋はその奥池のはずれである。その小屋の裏で道の反対側に「冠水注意」の立て看板がたっていた。なんでこんな分水嶺ともいえる場所で冠水なのか。不思議に思ってメモ代わりに1枚撮ってきた。その立て看板である。機械小屋の反対側であるから、右側の交通標識のそばに見える白いものがそれらしい。”それらしい”では話が進まないから、その部分をアップしてみた。「水」の字が見えるからまちがいはないだろう。
 三日月池から流れ出た水はすぐに国道をくぐって池と反対側へ出る。そこはヨシが茂る湿地である。とはいうもの道は左の方(水口方)へ向かって下りである。何でこんなところが冠水するのか。不思議だった。でもアップした写真をよく見ると、なるほどなーと分かるような気がしてきた。立て看板のところは日野から水口に向かって下り。そのあと車が走っているところが水平。その向こうに短い上りが見えるのである。これが堰堤の働きをして水の流れを塞いでいるのだろう。



写真735.尾根道へ
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 R307越え。手前が国道307号。そこへT字路様に下ってくる道である。尾根道へというと大げさだが、上の高台に開けた住宅地への連絡路でもある。90度、食い違った方向から見ると道の勾配が分かる。みちの両側は木が生い茂り穴倉に入っていく雰囲気である。







写真736.住宅地への道
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 勾配を上り切ると、森の中を行く穏やかな道になる。クルマの数も少なく、私が知る限り、人通りは皆無であった。といってもわずかな時間ではあるが。









写真737.入り口の坂の上から
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 引き返して、入り口の坂の上に立つ。穴の向こうに国道が走り、その向こうに三日月池が見える。さらにその向こうを近江鉄道が走っているが線路は見えない。電車が走れば見えるはずだが、よほどしっかり計画を立てないと電車を見ることは難しい。






写真738.流出口
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 三日月池の水口側(思川流域)への流出口である。上の写真734で甲賀市の標識と機械小屋が妙な重なり方をしている。その左の交通標識のポールとネットの上端線とが交わるところで堤防が切れて橋が架かっている。もう1枚、写真733にも見えている。その部分のアップ。左の写真はその流出口を外から見たところである。これから分かるように池の水は間違いなく水口側(思川流域)へ流れ出ている。




地図733.三日月池 要所拡大地図(Google Map縮尺変更不可)
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 その流出口を左の地図に示した。三日月池の南西端、国道と近江鉄道線路に挟まれたところである。
 南西側の状況は分かった。あとは反対側である。最初クルマを置いたところが池の北東隅に当たるわけだが、よく見るとその場所は近江鉄道の踏切につながる道だったらしい。もし踏切が現役ならばそんなところへ車を置けばヒンシュクものの場所である。だがいまは閉鎖されており通行不能。反対側の状況が読めない。踏切をひょいと渡ればいいものを大きく迂回しするはめになった。




写真739.電車が行く
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 国道から見て三日月池の反対側の農地へ回る。軽トラ1台の砂利道を下っていたとき、林の奥からカタカタン、カタカタンと軽い電車の響きが聞こえてくる。貴生川行きの電車が走り去っていく。時計を見ると50分過ぎ。確か水口松尾駅(今の場所から2Km余り下流側)の発車時刻が毎時54分だったはず、と考えると大体理屈合っている。対向してくる電車がもう1本来るはずだが、その時刻は覚えていない。あと1時間か。ここで待つのはつらいなー。




写真740.踏切の跡
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 踏切の跡につく。線路の向こうが先刻車をおいていた場所である。渡れば2,3秒のところをぐるーっと迂回をしてきたというわけ。車をおいた場所からは池が見えたが、ここへ来るともう見えない。不思議な場所である。







写真741.国道が見える
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 山影の国道を走るクルマが見える。電車のレールもわずかに見える。でも池は見えない。画面を拡大してしっかり見れば画面左端あたり、ネットの向こうに見えることは見えるのだが、ミドリの中で緑を映しているのでまさに保護色、一切見えないのと同じである。







写真742.細い川
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 さて水口側には流出口があり調節小屋もあるが、こちら側にはない。田んぼのふちをよく見ると、線路(といっても線路が見えるわけではないが)との間に細い川が流れている。流れの方向から見たのでかろうじて見えたが、これと直角方向では見逃しただろう。さて水はどちらへ流れているか。






写真743.流れない川
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 近づいてみると、?、どう見ても水は流れていない。U字溝がぬっと突き出てきて、そこからちょろちょろと水が垂れている。どう考えても池から流れてきたとは思えない。その奥にわずかに線路が見える。もっともこの場合、電車とは何の関係もないことだが。この写真を撮ってそのまま帰ってきた。

 そのあとで考えた。この写真は池から10mぐらいの場所である。たとえば琵琶湖へ流入する川でも河口近くでは流れが止まる。当たり前の話である。川筋をせき止めたダムでも上流の部分では川は止まる。小川の流れが止まっていたということは、さらに上流から流れてきて、池を間近にして流れが止まっていだのだろう。だとすればどこか別の場所から流れてきたはずだ。R307越え(日野町と甲賀市との市町境)がこの池の水口寄りだから、いずれにしてもこの池周辺が地形的に最高点であろうと考えていた。それが甘かったらしい。  




写真744.三日月池源流
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 市町境にある三日月池。その池のさらに上流があった。はっきりした山岳地帯ではないから、等高線を読むこと自体簡単な話ではない。しかし今の電子地図はポイントをクリックすると標高が読める。測ってみると間違いなくP池の方が10mほど高い。間違いなくP池から三日月池に向かって水が流れ込んでいるはず。
 画面右上に見える堤防がその池である。流れ出る水そのものは見えなかったが、ちょろちょろと水の音が聞こえ、その水路が池の方から階段状に下っていた。P池全体を下から見たところ。(階段状になっている田んぼの一番上の堰堤)。ガードレールの向こうが流れ出る水路である。地図で見ると池の向こうの森が市町境であり、その向こうを日野水口グリーンバイパスが走っている。堤防に上がり池の面を見たところ



b. 実際の峠
写真745.上りが見える
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 国道307号、三日月池を右に見て走っている。カメラの後ろが水口。前方(画面奥)が日野方面である。道路は水平。と簡単にいうけれども実際水平に見えるかどうか。幸いこの部分については客観的な補助データが準備できた。対岸からの写真である。田んぼが高くなっているところからカメラの水平に注意して撮影した。私自身カメラの水平保持には苦労した。どうしてもカメラが傾くのである。さいわい今使っているオリンパスE4には内蔵水準器がセットされている。こういう場合は助かる。
 白いクルマが走っているのが国道。その手前に三日月池がある。右は樹木に遮られているが、それがこの写真745の右の林。ということで、今の場合、先頭の青いクルマが走っているのが水平。後2台が下りということになる。いわゆるR307越え(日野甲賀市町境)はカメラの後ろにある。そこから水平にやってきた国道がさらに上りに差し掛かるという勘定である。要所だけをアップする。写真では大した上りに見えないが、体感的には結構上りを感じるところである。国道は左へ曲がっていくが、T字路になっており、「下迫→」の標識が見える。



写真746.T字路
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 上り切ってT字路から振り返ったところである。白い軽が坂を下っていく。右の林の陰のところから水平になる。黄色の中央線が国道。左へ分岐して下迫にいたる。

  写真747.「下迫→」交差点から
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 下迫→交差点を過ぎて道は水平。右へカーブしていく。










写真748.直線道路
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 天理教会前の直線道路である。上の写真747のカーブを曲がり切ったところである。右に半分だけ見えているのが道端に止めた私のクルマである。その後ろから撮ったのが左の写真。現場で見た範囲では水平だったが、写真にしたとき水平に見えるかどうか。電柱を基準としたアリバイ写真である。もっとも電柱が鉛直に立っているとしての話だが。





写真749.蚊に食われたような
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 天理教会前の直線道路である。上の写真では突き当りのところがはっきりしないので、反対側へ出た。まっすぐ進んだ道が最後のところで蚊に食われたようにちょっとだけ膨れているのがお分かりいただけるだろうか。ちょうど軽が走っているところである。その前のクルマはコブを通り越して勾配を下りにかかっている。とってつけたようなこのコブが気になるのである。





写真750.日野側から
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 で、この部分を反対側の日野側から見なおしてみよう。といっても、あいかわらずの道の写真だけれども。この道を下りといわれるとガクッと来る。見て分かる通り登坂車線付の上りである。登坂車線の外にもう1本余分があるのでそこへ車を止めた。
 さて上り下りの表現がいかに難しいか。身に染みて感じるところだが、これは上りだと納得してもらうしかない。で、その坂を上り切ったトラックは水平道路を走っていると考えるのが常識。ところそうは簡単にいかないのが世の中。こういうアホなことをやりだしたおかげで、自分のものの考え方がいかにええ加減なものだったかということが分かるようになった。坂を上り切った向こうは下りのこともあれば、水平のこともある。今の場合はさらに上りが続く。勾配が緩くなっただけである。上り切ったところは勾配の変わり目だったわけ。




写真751.三角点のピーク
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 並木の外に細い道があったのでそこへ出る。水平と見間違えた道路をトラックがライトをつけて下ってくる。ライト見えるかな。並木の木と右側の民家との間だけど。今の場合それはいいとして、見てほしいのは正面の小山。地理院地図で207.4mの三角点があるピークである。







写真752.蒲生GC入り口
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 その三角点のすぐ下にちょっとしたT字路があって、そこを右折すると蒲生GC入り口とある。裏口は前項「細道越え」で追い返されたところ。こちらは畏れ多くも正門である。その入り口に立って下の国道を見る。長いトラックが日野へ向かって下っていく。決して水平ではない。







写真753.例のコブを裏側から
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 写真749で見た蚊に食われたコブである。それを反対側から見ているわけ。749で下り坂の向こうに見えていた森がゴルフ場入り口の森だったことになる。このゴルフ場から見て国道と反対側の207mのコブとを考えると、国道の部分は切通しになっているが、それ以前は尾根が続き、その尾根こそが実際の分水嶺だったのではないかと考えられる。
 余談だが、その切通し作業のときに、もっこ1杯分を残したのがこのコブではないか。それにしても妙なコブを残したものだ。大きな岩が下にあって掘り起こすのも面倒だし、はつるのも手間がかかる。ええい面倒だ土かぶせとけ・・・。建設会社の皆さん、もし間違ってこれを読まれても立腹なさらないでください。これは私の空想です。イヤイヤホンマ、この空想を本気にしたくなるように、このコブを越えたところでクルマはスーッと沈むのです。  




地図734.R307峠付近地図(国土地理院Webマップ)

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  本稿では最初国道307号の峠を三日月池畔の市町境としたが、実際の道路を走ってみると天理教会前、地図でA点からB点まで約400m続く直線道路の標高が最も高い。上では207mのピークと、B点近くのほんのちょっとしたコブへのこだわりとから、そのコブを分水嶺と考えたが、実際はピークが必ずしも分水嶺の通過点とは限らない。そういうことを考えて、要するにAB点間のどこかが分水嶺だったのだろう。たとえば、307号と天理教会の建物の間、現在は広い平地(手前に点々と見える柵の手前が307号)だが、一つの小山だったものを切り開いたようにも見える。
  そして近江鉄道である。日野から水口に向かって三角形に広がる山間農地の底を南下してきて、現在の天理教会の下をトンネルで抜けた。1900年・明治33年のことだという。この清水山トンネルこそが、まさに日野と水口の境であった。これが実際の分水嶺だったと考えられる。

 そこで何か情報はないかと、”近江鉄道 トンネル”で検索してみた。と、このトンネルは近江鉄道で2つあるトンネルのうちの一つで「清水山トンネル」というのだとか。ちなみにもう1本は、彦根・米原間の佐和山トンネルだという。例の”三成に過ぎたるものが2つあり・・・”の佐和山城址の下をくぐるやつである。地図では納得できるが現物をまじまじと見たことはない。トンネルというものは人前には姿を見せないものなのかもしれない。



c. 近江鉄道・清水山トンネル小記
写真754.電車が来た
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 さて日野・水口間の近江鉄道はほとんど国道307号と並走している。しかし峠越え付近では忽然と姿を消す。左の写真は日野方面からやってきて一旦雲隠れし、再び姿を現したところである(電車は画面奥へ。水口へ向かう電車を後ろから見ている)。どうなっているのかと地図を見ると天理教会あたりの下をトンネルで抜けてきている。
 この写真は、地図734の迫栄橋から三日月池方面を向いて撮ったものである。このあたり特有の山間農地が広がる風景である。ところが橋の上から反対側を見ると線路は深く谷底を走り、その上に天理教会の巨大な建物が見える。地図では線路の両側が切通しと表現されているが、写真ではカーブの外側にその様子が見える。残念ながら視界が狭くトンネルの入り口は見えそうで見えない。国道307号からは雲隠れと見えるのも当然といえる地形である。




写真755.広い山間農地
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 トンネルの北側、国道307峠の日野側への下り口付近。農道から日野方面を見たところである。田んぼの中を架空線の支柱が2本ずつ並んでいるのが見える。と書いても絶対に見えない。ここまで伸ばせば何とか見える。しかしその意味が分かってもらえるかどうか。そこを電車が走っているとわかっている人だけが、ああ電車の・・・と分かるぐらいのものだろう。と、こんなわけのわからないとをいくら書いていても仕方がない。現場へ急ごう。




写真756.踏切へ
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 早い話が、電車は田んぼの谷底を走っているのである。国道からはその谷底まで下らなければならない。といって国道から谷底が見えるわけではない。これはかなり下ったところから踏切を見たところである。踏切を一番低い田んぼまでまたこれだけ上りかえすわけ。
 踏切の注意書き。これがまた親切というか、くどいというか。見よ!、聞け!。これは警報器の音を聞けということではなさそう。電車の音を耳を凝らしてしっかり「聞け!」、電車はそこまで来ているぞということだろう(踏切からトンネル側を見たところ)。めったに来ないのだけど、たまに来るやつが怖い。




写真757.谷底を走る
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 上で見てもらった写真755 , 写真755Aの種明かしである。まあとにかくこんな田んぼより低い谷底を走る鉄道線路は見たことない。目測だけど田んぼの面より数mは低い。鉄道を掘り下げたのか、田んぼをかさ上げしたのか。私にはその過程を読み解く能力はない。







写真758.田んぼから見下ろす
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 地図で見るように踏切から見て、トンネルへは少し右へカーブしてあと直進するその奥だ。だから踏切を通り越して数m進んだところでトンネルの入り口が見えるだろうと読んでいた。しかし実際には写真756に見るように木が密集していて見通しゼロ。奥を少しでも見通せるようにということで、写真756の画面左上の田んぼへ上ることにした。池の向こうの農道を下り踏切を越えて上り返して畦道伝いにやってきたところ。




写真759.谷底を走る
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 貴生川行きの電車が谷底を走ってくるところ(画面奥が日野方面)。山沿いの住宅が国道沿いの曙団地。その手前を国道が走る。別所の踏切を渡ってからここまで登り一方である。田んぼも道路に沿って標高を上げてくる。鉄道は水平か上りか。勾配標識がないかと探したが見当たらなかった。こうしてみると、掘り進んだとすると幅に余裕があり過ぎる。自然にこんな地形はできないだろうし、やっぱり田んぼを積み上げたのか。しかしなんでそんなしんどいことをやったのか。



写真760.国道を見る
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 田んぼのふちから国道の峠付近を見たところ。真ん中の白塗りの2階建て、その手前が国道。対向車が正面衝突しそうに見える。その左草つきの土手のそばを農道下ってくる。これが先ほど下ってきた道。下り切ったところあたりから撮ったのが写真755。池の向こうの側面が茶色の田んぼ、そのあたりが現在地とほぼ同じ高さか。手前に電車の架空線が見える。






写真761.トンネルを抜けて
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 踏切御警報機が鳴りだして、切通しの向こうから黄色い電車がやってくる。こうしてみると雑草の背が高いから、左の木がなくても下からの撮影は無理だったろう。遠くにトンネルの出口が見えるという構図はアウトだったが、初めて現場へきてこの場所が見つかったのだからまあヨシとするか。1枚おまけ(踏切通過)





 国道307号を横切る市町境は、いわゆる三日月池の南西端(水口寄り)付近である。一方、三日月池へは北東側、いわゆるP池からの水が流れ込む。明らかにP池は野洲川流域ということになる。さらに三日月池畔のから天理教会前にいたるためには上りを経なければならない。そして蒲生GC正門付近のコブを最高点として日野川流域へ流れ下る。
 以上のようなことから、分水嶺は市町境とは別のルートをたどっていると考えられる。その経路としては、国道307の天理教会前の水平直線道路のどこかを越えて、近江鉄道清水山トンネル上を経由、P池の北東側を通過して、グリーンバイパス付近で市町境にいたるルートを想定している。いずれにしても、ゴルフ場、住宅地、宗教施設、鉄道と人工的な変化が重なり、等高線を読むこと不可能(もっとも地図を読む能力そのものが怪しいのだから何をかいわんやだが)。




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