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N03.思川流域

N0300F. 思川を遡る・甲賀市域 4

取材:2015.03
初稿UP:2015.05.29


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9.城之橋から城ヶ峰橋まで
地図108.思川流域地図(国土地理院Web地図25000分の1)
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 今回の流域範囲は、県道178号城之橋(じょうのはし)から、国道307号、近江鉄道・水口松尾駅付近までである。川はほぼ県道179号に沿って流れる。その第1部、城之橋から城ヶ峰橋まで。不思議なことにこの区域は人間しか渡れないような小さい橋がかかっている。およそ流域としては変化が乏しい地域だから、これが位置の決定のポイントになった。






写真331.城之橋
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 県道178号、城之橋から上流へ向かう。右岸沿いに県道179号が走っているが、左岸(下流を向いて左側)が歩けそうなので、とりあえずそちらを歩くことにする。写真は城之橋から上流を見たところ。歩いたのはこの写真でいえば右側の堤防である。






写真332.S字カーブ
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 上の写真に写っている木の対岸あたりから見たところ。川は緩いS字カーブを描く。川沿いに電柱が見えるがそれが県道178号に沿っている。








写真333.一の橋
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 一の橋が見えてくる。対岸(右岸・川は画面奥が上流)に大きな石柱が見える。山村神社への入り口である。だらだら坂を200m足らず登って境内を見たところ
 実はこの橋、最初に取材したときうっかりして橋の名前を見逃してきた。これだけの橋だから名前がないなんてことはないはず。名無しでごまかすわけにはいかないからと、後日改めて確認に行った。が、ないのである、ネームプレートが。はがされた形跡もない。初めからついていなかったと考えられる。よく見れば欄干はいわゆるガードレールをくっつけただけ。親柱なんてさらさらない。車が通るれっきとした道だけど橋はお粗末だった。


写真334.県道と別れる
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 交差点から上流へ向かう。数10mで県道は川から離れていく。そのまま右岸が歩けそうなので直進する。分岐のことろをもう1枚。帰りに撮ったので光線がかなり違う。








写真335.二の橋
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 しばらく行くと細い橋が架かっている。名前はない。あとでわかったことだが、このあたりにはこの種の橋が多くかかっている。通れるのは人、自転車ぐらいか。軽トラは無理だろう。もちろんコンバインは無理、あえて言えば耕耘機ぐらいか。







写真336.県道並走
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 いつのまにか県道179号が対岸を並走するようになる。見たところ人間が歩くスペースはなさそう。こちら側を歩いて正解だったらしい。

  写真337.舗装道路合流
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 軽トラなら走れそうな道が左から直角にやってきて合流する。砂利道や草つきの道が歩きやすいという人がいるが、私はやっぱり舗装道路のほうが歩きやすい。ほっとする。





写真338.三の橋
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 三の橋が見えてくる。やっぱり細い橋だが、欄干に当たるガードレールが外へ傾けられていて、軽トラぐらいは通れそうだ。特に曲がり角に当たる手前の方など、継ぎ足しをして両方とも外側へぐいと広げられている。なんとなんと。







写真339.クっと右へ
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 100mほどまっすぐ進んで、くっと右へ曲がる。その向こうに三の橋が見えている。


  写真340.四の橋近づく
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 四の橋が近づいてくる。皆よく似た橋である。対岸では県道179号がずっと並走している。








写真341.四の橋
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 四の橋。上でよく似た橋であるなんて書いたが、ええかげんなことは書くものではない。今度の橋は乗用車ぐらいは通れそうだ。ただし無念無想で通り過ぎること。このようによく似た橋ではあるけれど、みな規格が違う。ここのところが面白い。






写真342.振り返る
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 三の橋あたりから後ろを振り返ったところ。左に見える茶色の小屋が、写真339の左端に小さく見える。画面左端が川。対岸の多くが山。右も山。その麓を道が走る。並んでいる電柱が四の橋への取付道路。







写真343.落差工
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 四の橋上流数10mのところにあった落差工。こんなものが地図には記載されていないだろうとGoogleMapを見たら、なんと載っている。地図のあら捜しをしているようだけど、これが結構面白い。







写真344.一本橋
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 お?、あれは何や。丸太棒を渡したようなものが見える。といっても丸太棒を渡しても仕方がないし、水道管か、それともやっぱり橋か。橋だとすれば一本橋。その昔、二葉あき子が「村の一本橋しゃ恋の橋・・・」なんて歌っていたが。そんなものがこんなところにあるとは思えないし。





写真345.五の橋
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 これがさっきの一本橋か。これはすごいぞ。風が強い日などあおられたらしまい。感心しながら対岸を見ると「水口霊園」とある。なるほどそうか、これがあの世への橋か。閻魔さんがいて「お前は通ったらアカン」とか何とかいう。通してもらったほうがええのか悪いのか。これがとにかく五の橋。と、しばし橋を眺めて感嘆し、後ろを振り向くと取付道路。この道歩いて橋渡って。あの世へ行くのも大変だ。
 とまあ、現実の姿は鉄板の一枚橋。これが地図に載っているかどうか。Google Mapを調べると、載っていた。地理院地図ではどうか。これは不思議。二の橋、三の橋、四の橋、が橋マークで記載されているのに、五の橋だけが普通の道として記されている。クロスして川の流れが明記されているにもかかわらずである。



写真346.貯水池
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 堤防の向こうに貯水池が見える。大きな排水口が見えるが水は流れていない。どこかに水門があるのだろう。

  写真347.城ヶ峰橋
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 貯水池を越えたところでれっきとした橋が見えてくる。親柱を見ると「城ヶ峰橋」だという。ここまで城之橋から1.4Km。






10.城ヶ峰橋から八の橋まで
地図109.思川流域地図(国土地理院Web地図25000分の1)
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 城ヶ峰橋は県道179号の橋で、この区域唯一の恒久的な橋である。親柱があってネームプレートがついているのもこの橋だけだった。地図で見ると両側に大規模住宅地が開発されているが、川に沿って歩く範囲ではそれらがほとんど目につかない、山間の川岸を歩くのと何ら変わりがない。不思議な川である。







写真348.城ヶ峰橋上流
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 城ヶ峰橋から上流を見たところ。真すぐ進んでくっと曲がる。右端に森があって、アクセントになっている。


  写真349.森蔭から上流を見る
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 曲がり角の森蔭から上流を見る。早くも次の橋が見えている。どうも一本橋らしい。









写真350.支流流入
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 森蔭のカーブのところへ支流が流入してくる。いちいち支流まで記録していたらきりがないのだが、このときは中学生が3人自転車でやってきた。突き当りに来た時に狙うと面白いそうだ。相手にさとられないようにと知らん顔をして待っていたが、手前ですーと右へ曲がっていった。何や、何で曲がるねん。あとで地図を調べたら、この向こうに結構大がかりな住宅地が記載されていた。




写真351.近づいた一本橋
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 一本橋が近づいてくる。五の橋の鉄板製とはちょっと雰囲気が違う。なんとなくぼたっとしている。コンクリート製かな。


  写真352.六の橋
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 やっぱりコンクリー製だった。五の橋よりは幅は広い。しかし何かが通った形跡はない。以前は何か意味があったのだろうが。







写真353.七の橋
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 続いて七の橋。後の橋から100mちょっとしか離れていない。渡った向こうは山である。意味が分からない。渡るとすればイノシシか。









写真354.住宅地
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 反対側を見ると低い丘陵地が住宅地になっている。さっき中学生が帰っていった住宅地らしい。瀟洒な小学校の校舎も見える。地図によれば「伴谷東小学校」らしいが。実際には確かめてはいない。







写真355.谷あいが狭くなる
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 対岸の森をまくように右にカーブしていく。左に見える山を近づいてきて、谷あいが狭くなる。もう1枚


  写真356.一般道路に合流
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 一般道路が農地の向こうから寄ってくる。川沿いの草道はこれで終わり。








11.八の橋から源流まで
地図110.思川流域地図(国土地理院Web地図25000分の1)
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 徐々に源流に近づいているはずだが、むしろ市街地に近づく感覚である。国道1号と307号が立体交差する。大規模住宅地への進入路もつながっている。鉄道が走っている。日本中にいろいろな川があるだろうが、源流の近くを電車が走る川はめったのないのではないか。いよいよもって不思議な川ではある。これも例の『近江輿地誌略』、”川上もなし川下もなし”のざれ歌か。







写真357.この先一般車両は
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 一般道はすぐに橋(八の橋)を渡って対岸へ移る。手前の岸には細い道が続いている。よく見ると何やら立札があって、「この先、一般車両通行しないでください」。と、ワシは一般車両じゃないわけだから、通ってもええわけや。







写真358.しだれ桜
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 対岸にしだれ桜。撮影日は3月30日だったが、まだ開花していなかった。上流側からもう1枚。奥に見える橋が八の橋。









写真359.九の橋
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 細いコンクリート橋。風が強い日なら、若いもんはともかく年寄りには渡れないだろう。八の橋を渡った一般道がちょっとの間、川から離れていて戻ってきたところ。もう1枚。九の橋畔から上流を見たところ。







写真360.?、十の橋
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 九の橋から大きく左へ曲がって少し行くと、?、道が通行止めになって、その手前に橋がある。番号でいえば十の橋ということになるが、その向こうにも橋がある。何でこんな面倒くさいことをしているのか。それが分からない。元の橋を渡ればいいものを。とにかく新しい橋をもう1枚
 




写真361.なんとまあややこしいことを
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 対岸の入り口である。「この先一般車両は云々とある」。こんな橋、一般車両が通れるのかな。バイクを一般車両に含めての話だろうか。それならそう書いた方が分かりやすい。あとで何とのう分かってきたのだけど、どうもこの橋は通学専用橋らしい。こんなこと、分水嶺とは何の関係もないことだけど。
 古いほうの橋にナンバーを付けるかどうか。ややこしい話だけど、一応十一の橋ということにしておこう。ナンバーをつけ出した時にはこんなややこしいことになるとは思ってもいなかったし、10を超えるとも思ってはいあなかった。イヤイヤ参った。
 くどいけれども、十一の橋を前景に十の橋を見たところをもう1枚




写真362.車両通行禁止
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 左岸を行く。車両通行止めのポールがあって、どうも通学路らしい。対岸にウメの花をあしらった落ち着いた風景が見える。白い柵の向こうが思川である。








写真363.ウメの木が1本橋
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 ウメの木が2本生えている。川沿いの道から梅の木を別のアングルで。対岸、結構高いところに住宅が見える。


  写真364.十二の橋
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 十二の橋。対岸へ渡るためのものであることは間違いないが、まあ言ってみれば個人の橋という感じ。









写真365.十二の橋畔から上流
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 十二の橋畔から上流を見たところ。水口松尾台住宅地への進入路。源流に近いのだが、そういうイメージはしない。









写真366.十三の橋
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 クルマ道は川から離れて直進し、国道1号と307号立体交差へと向かう。その道を男性が一人下ってくる。逆光で人相まで読めなかったが、近づいてよくよく見れば水口教室のHさんだった。桜が咲き出していないかとのウオッチングだったとか。
 クルマ道から左へ堤防上の道が分岐する。左に見える橋が十三の橋。GoogleMapには表示されているが、地理院地図には表示なし。




写真367.スイセンの斜面
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 国道307号が近い。対岸の斜面にスイセンが咲いていた。スイセンのアップをもう1枚









写真368.近江鉄道貴生川行
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 スイセンを撮っていたら、突然ホイッスルが聞こえて、電車の音が響いてきた。近江鉄道貴生川行きが水口松尾台駅を発車したところ。水源地というと山深いイメージを抱くがここは違う。国道が走り電車が通る。
 道の突き当りが国道307号である。電車につられてシャッターを切ったが、国道を走っている車がゼロだった。電車に遠慮したわけでもあるまいが。その電車には光が当たっていない。参ったな。




写真369.国道と並行
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 上の写真368を見るとそのまま国道の下をくぐるように見えるが、もうちょっと面倒なことをやる。100m近く国道と並行して、写真で「清水金物」とある手前で右に曲がる。

  写真370.国道307号の歩道
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 307号の歩道である。もちろん下は思川。理屈でいえば十四の橋だが、番号付けはもういいだろう。








写真371.近江鉄道をくぐる
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 近江鉄道をくぐる思川源流。先ほどスイセンのところで貴生川行きが出ていった。10分か15分もすれば反対向きが来るだろうと思ったのが間違いだった。今から考えると、何をさておいてもすぐそこに見える水口松尾駅へ行って電車の時刻を調べるべきだった。何分経っても来ない。そこで時刻を調べることに気がついたが、後の祭り。調べに行っている間に次の電車が来たらと考えると場所を離れられない。結局、「忍」の一時、1時間近く待ってやってきた電車がこれ。下の流れが思川源流である。



写真372.源流地帯
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 国道から見て、近江鉄道の反対側である。想像たくましくすれば、秋にはさぞやと思わす風景だが、いまは「荒涼たる」と形容詞をつけたくなるような土地である。
 上の写真を撮るのにエエかげん疲れたし、車を置いてある関係で、このあとまた城之橋まで戻らなければならないし、ということであまり深入りはしたくない。細い道だけれども、イノシシが暴れまわっている様子が読み取れる。今日はいったんここまでとする。





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