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N02.独立小河川

N0204. 小砂川

取材:2017、04
初稿UP:2022.03.22


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 小砂川・データが消えた話

 いわゆる小河川グループとして、もう1つ川があることを見逃していた。甲西大橋。旧甲西町の名を冠した橋のうちで、もっとも下流に架かる橋である。その甲西大橋の下流に注ぐのが前項の「大砂川」、上流側に注ぐのが、これからとりあげる「小砂川」である。

地図01.大砂川・小砂川地図  国土地理院Web地図より
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 間抜けた話だが大砂川の取材が終わった時点で、これら”小河川グループ”はすべて終わったものと決め込んでしまった。”小砂川”の存在が飛んでしまっていたのである。まだ1号バイパスがなかったころ、何度も県道27号を走っていながらその存在を見逃していた。いや、26号は以前の話で、現在は1号バイパスがこの川を跨いでいるのである。それでいながら見落としていた。

 あれはいつのことだったか、見落としていたことに気がついて、何かのついでのときに追加取材をした。確かサクラの時期のことだった。そこまでの記憶があり間違いのない取材だったのに、その時のデータがどこへ行ったのか、見つからないのである。”ついでの仕事はアカン”、ウチのヨッちゃんがよく言う言葉である。まさにその通り。以前なら、なくなったものは仕方がないとあきらめて、クルマでひとっ走り、改めて取材をすればそれで済んだのだが、クルマは昨年(2012年)3月、唐戸川の取材を終えたところでやめた。だからそれもできない。
 なくなったものはあきらめるしか仕方がない。コロナのこのご時世が改まって、自由が利くようになればまた何か考えよう・・・・と思っていた矢先、きのうのことである。『三上山日乗』を書くために、湖南市の例の旧東海道や草津線がトンネルで抜ける”大砂川”のデータを探していて、その横に・・・?、”小砂川”とあるのに気がついた。同じ”大砂川”が湖南市に2本流れている。右岸が湖南市正福寺、左岸が湖南市吉永。どちらも小さな川で、わたしはそれらを北周り・南回りともに”独立小河川”の中に含めていた。まさに小河川どうし”大砂川”間違いだったのである。(以上、2022.03.21記)




地図02.大砂川・小砂川地図  国土地理院Web地図より
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写真01.国道1号小砂川橋
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 野洲川畔、甲西大橋右岸、国道1号バイパス”正福寺東”交差点から、上流へ約200m弱にある”小砂川橋”である。カメラの後ろが国道、将来的には片側2車線が予定されているだろうが、現在のところは片側1車線。その道路が堤防の上を走っている計算になり、その背後は野洲川河原である。前方、ずっと奥の青いトラックが2台止まっているところが県道27号。その奥、日が陰ってアンテナが建つ山頂が十二坊。手前の橋はサイクリングロードらしい。




写真02.サイクリングロードから上流を見る
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 サイクリングロードの橋から上流を見たところ。小道のように見えるのがいうまでもない河道である。滋賀県の川のほとんどが、好天が続けばこうして砂の道になる。奥の橋が県道27号。
 上の地図では、十二坊山頂のアンテナは2本見えるが、Google Mapの航空写真では4本見える。どれがどれだかよくわからない。




写真03.サイクリングロードから下流を
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 同じサイクリングロードの橋(こすながわばし)から、振り返って下流側を見たところ。陰になっている橋がいうまでもない先ほどの国道1号・小砂川橋。その向こう側は野洲川。遠景の山、横に広いピークが阿星山。あの稜線が野洲川流域の分水嶺。その向こう側は栗東市。といっても、このこのレポートの出発点野洲川大橋の左岸畔も栗東なのだが。





写真04.県道27号
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 川沿いを歩いて県道27号へ出る。国道1号バイパスができるまでは、野洲から朝国までの野洲川右岸はこの県道1本だけが頼りだった。いまはぐんと交通量が減った。「花園」とあるのは地名である。橋の名称は確認を失念した。
 県道を左折、甲西大橋北詰へ出る。撮影場所は、交差点の南東側にあったコンビニの駐車場。県道1本だったころはよく繁盛していた。それがバイパス開通で交通量激減。このときすでに閉店していたかどうか、はっきりした記憶もないが、とにかく昔はこんな状態ではなかった。



写真05.山に向かう
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 交差点を右折すると、十二坊の裾への上りになる。クルマではあっという間に通り過ぎてしまうが、自分の足で歩くと結構な登りである。”十二坊温泉きらら”への案内が立つ。

写真06.小砂川橋
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 カーブを曲がり切ったところで橋を渡る。ここを歩いて登るのはこれが最初。クルマで通っていたときは何か橋があるのは分かっていたが、ただ漠然とちょっとした谷をまたぐのだと思っていた。それが、・・・立派な橋で、川は「小砂川」だという。大砂川が終わった時点で、この川があることを失念していた。それに気がついた後は、地図で学習はして来たた。しかし、ここまで来てもこの下が小砂川だとは実感はわかない。


写真07.光る川筋
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 歩道がないのでのんびりはして居れない。橋の上から谷間を覗くと、川筋が光っている。もう源流に近い細い川。葉が茂りだすと見えないところである。桜のこのころのいまがが最後のチャンスだった。
 と思いながらふと考える。細い川だけど水は確かに流れている。下の県道のところで、確かめてくることは忘れたが、サイクリングロードから見たときは、水の1滴も見えずカラカラに乾いていた。ここでは川が細いとはいえこの水である。この水はどこへ消えるのだろう。おそらく平地へ下りたところで砂に吸われて地下水になるのだろう。例えば本体の野洲川自体、夏や冬、雨が降らないときに白く干上がった姿を何度も見たことがある。天井川の本来の姿なのだろう。



写真拡大 写真08.黒い十二坊

 顔を上げると、まだ芽を出さない木々の上に、十二坊のピークが黒かった。どういうわけか、きょうはこのピークに光が当たらない。



写真09.新小砂橋
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 これ以上登っても変化はなさそう。反対側へ渡って下ることにする。橋の名称は”新小砂橋”とあった。

  写真10.三上山
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 下る途中、真正面に三上山。クルマでは何度も通っていながら、ここから三上山が見えることなどまったく気がついていなかった。電柱が邪魔になってほめるほどの風景ではないけれど、撮るならば日没のころに来るべきところだった。



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