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N02.独立小河川

N0202. 高田砂川

取材:2013.03
初稿UP:2013.03.27


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地図01.大谷川・高田砂川・大砂川関連地図  国土地理院Web地図より
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 次は高田砂川、妙な名前の川である。菩提寺地区の東、正真正銘の十二坊南斜面を水源として、中郡橋(石部と菩提寺をつなぐ県道22号)のたもとへ流れ出てくる。その間、古いところでは県道27号(野洲甲西線)、新しいところでは1号バイパス(水口栗東道路)がそれを跨ぐが、いつ見ても水が流れている気配はない。














1.高田砂川

 大谷川の東の流域、十二坊南面の水を集めて、野洲川中郡橋畔に注ぐ。


写真01.高田砂川河口
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 野洲川にかかる中郡橋(石部と菩提寺をつなぐ橋・県道22号)の菩提寺側から、上流を見たところである。流れている川は高田砂川。奥が上流である。このあと橋の下を流れて野洲川に合流する。当然下流側に立てば合流点が見えるはずだが、それが出来ない。実は、この橋は歩道が独立しており、本橋の上流側に位置している。ここで回れ右をしても、本橋が見えるだけで流れは見えない。




写真02.県道27号高砂川橋
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 県道27号(野洲甲西線)が菩提寺から岩根へ向かうところで「高砂川橋」を渡る。実はこの川で親柱がつくような橋はこの橋だけである。上の中郡橋については、野洲川への合流は、間違いなく橋より下流であるが、橋としては野洲川の中郡橋ということで、高田砂川は無視されてしまっている。その次の橋は農道であるが、欄干はガードレール兼用で親柱はない。次は1号バイパス。ここは道路が大きく川を跨ぐだけで、橋としての実体はないといった方がいい。残るのがこの橋。
 こんな橋に何故こだわるのかというと、川の名前と橋の名前。先ず川の名前が親柱には「高砂川」、橋の名は「高砂川橋」となっている。前項でも述べたとおり以前使っていた地図には、この川の名が「高田砂川」となっており、何度も参考にしている『鈴木儀平の菩提寺歴史散歩』にもその記述がある。昔の地図は、『滋賀県都市地図』だったと思うのだが、行方不明になっていくら探しても見つからない。古い地図を捨てるはずはないのだが、残念ながら今は記憶だけということになる。証拠がなければ、現実を信じるしかないわけだが。


2.県道から上流へ
写真03.県道から上流・1
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 県道から上流側を見たところである。左遠くに見える住宅が北山台。前項で大谷川・「東の川」をたどって、その下の縁を歩いたところである。高田砂川自体には水は流れていない。もう1枚。左の写真で松の木の対岸あたりから上流を見たところ。対岸(右岸)の道は森で塞がれてしまう。





写真04.県道から上流・2
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 県道から400mほど上ったところで、段差工があり水が見える。歩いた範囲で、動いている水が見えたのはここだけだった。この水はどうして消えるのだろうか。伏流水になるのだろうか。とにかく下流には水はない。







写真05.県道から上流・3
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 上とほぼ同じ場所から上流を見たところ。大きな変化もなさそうだし、今回の場合は分水嶺は十二坊の稜線としてはっきりしているわけで、深入りしても意味がない。ということで、ここで退却とする。






3.県道から下流へ
写真06.水たまり
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 県道から下流を見たところ。白く光っているのは水たまり。流れている様子はない。雨が降らなければ消えてしまうのだろう。それ以外水の流れはどこにも見えない。


  写真07.県道を振り返る
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 右岸を下る。上の写真に見える2本目の電柱のあたりで振り返ったところ。軽トラが走っているのが県道。








写真08.カーブ
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 川はゆるく左へ曲がっていく。水は全く流れていない。


  写真09.三上山
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 上の写真、奥の森の手前。右側、斎神社の森の向こうに三上山が見えてくる。手前、左に大きな山が菩提寺山。








写真10.1号バイパスが見えてくる
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 さらに左へ曲がり小さい橋が見えてくる。その向こうに1号バイパス(トラックが走っているところ)。水は流れた形跡すらない。


  写真11.橋を渡って左岸へ
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 小さな橋を渡って左岸へ出る。右岸をそのまま進めなくもないが、左岸の方が歩きやすい。


  写真12.1号バイパスが近づく
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 左岸を下る。1号バイパスが近づく。






写真13.三上山
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 上の写真で右端に見えている森の横から三上山が現れる。左が菩提寺山。


  写真14.農業用水
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 上流を向いて右側から農業用水が近づいてくる。下の地図は高田砂川近辺である。上流部は堤防の表現はあるが川としての記載はない。これはある意味、正しい。まさにその通りである。そして「湖南市」と大きな字で記載されているあたりから農業用水が流れ込む。それがこの水路である。




写真15.高田砂川堤防から見た1号バイパス
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 高田砂川堤防から1号バイパスと側道を見たところ。画面奥が岩根・三雲方面。山は十二坊のすそ。もう1枚(写真15A)。1号バイパスにぶつかる高田砂川堤防と農業用水路。


  写真16.三上山
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 1号バイパスが高田砂川を渡るところ。農地から10mほどの高さになる。その高みから三上山を見たところ。風景はその高さを無駄にしない。山は凛として立つ。






地図02.高田砂川・農業用水関連地図  国土地理院Web地図より
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 上の写真を見てこの地図を見ると、なるほど農業用水が合流してと納得するが、実際には全く不可能な話である。高田砂川は天井川で、農地よりかなり高いところを流れている。農地と同じレベルのところを流れる農業用水が合流できるはずはないのである。もう1枚(写真14A)。高い高田砂川と低い農業用水路。用水路は高田砂川の外を並行して流れる。










4.1号バイパスをくぐる
写真17.1号バイパスををくぐる
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 バイパスを越えるといえば簡単だが、実際は万里の長城である。ぐるっと大回りをして戻ってくることになる。もう1枚。並行する農業用水もくぐってくる 。


写真18.右へカーブ
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 バイパスを背に南側(野洲川方面)を見たところ。右へ大きくカーブする。








  写真19.バイパス・クロスと三上山
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 1号交差と三上山。手前は側道。本線は遠いため、背の高いクルマしか見えない。


  写真20.天井川
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 農地を横切る天井川。その向こうにバイパスの道路標識が見える。








写真21.高田砂川と十二坊
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 国道1号バイパスと野洲川との間に広域農道が1本通っている。バイパスが開通するまでは通行量が多かったが、いまは通るクルマはほとんどない。その農道が高田砂川を越えるところから上流側を見たところ。右側(川から見れば左岸の外)を農業用水が流れてくる。バイパスの上流側で合流(写真14)してきたものである。写真クリックでパノラマ写真に替わる。右端に農道が見える。バックの山は十二坊。この川が南斜面の水を集めていることがよく分かる。




写真22.農道から下流を見る
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 さて、振り返って下流を見たところである。川に水はない。農業用水は左側を流れている。冒頭で述べたように、中郡橋の下では流れは1本になっている。2本はどこかで合流しているはずだが、それがはっきりしない。農業用水は突き当たりで右に曲がっているようにも見えるがよくは分からない。何とも気色が悪い。遠吠えしていても仕方がない、ということでとにかく現場まで行ってみることに。
 途中、小川の名誉のために1枚。水路は一見どぶ川に見えるが、決してそうではない。透き通った綺麗な水である。


写真23.農業用水の突き当たり
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 農業用水は突き当たりで右折していた。


  写真24.合流点
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 右折したあとの農業用水。高田砂川の様子がよく分からない。








写真25.合流点
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 下流側へ回ってみて、やっと全貌が見えた。左上、砂山の右に見えるのが、農道の橋である。写真22では、この橋の上からこちらを見ていたことになる。橋からまっすぐ草が割れているところが、流路ということになるのだろう。この調子だと水が流れるのは梅雨時ぐらいか。






写真26.さらに下流を見る
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 さらに下流を見る。草が生い茂ってはっきり見ることは出来ないが、藤森工業の敷地にそって流れていく。橋がかかっているように見えるが、中郡橋から見るときには、そのあたりまでは見えていないのだろう。中郡橋の下で合流しているのは、豪雨の緊急時以外は、実質的には高田砂川からの流れではなく、農業用水であることは間違いない。





写真27.中郡橋から見た合流点
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 中郡橋は歩道専用橋が上流側についていて、橋の上から下流側は見えない。しかし、ここはやっぱり合流点を見なかったら話は終わらない。クルマの合間を見て、車道橋へ入り込み下流の合流部を見たところ。
 欄干を真上から見た形になり妙な感じだがお許しを。奥の広い水面が野洲川本流。手前(画面下部)波消しブロックの間で水面が光っているのが高田砂川。もう1枚




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