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N02.独立小河川

N0200. 独立小河川概観

取材:2013.03
初稿UP:2013.03.27


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地図01 野洲川流域図  建設省近畿地方建設局琵琶湖工事事務所編 『野洲川改修計画概要』(S58.5)より 写真拡大

 前項の大山川と、次項の思川に挟まれて、比較的小さな河川が何本か、直接野洲川へ流れこんでいるエリアである。野洲川と平行に伸びる十二坊連山のふもと上流側から、甲西大橋すぐ上流へ小砂川、同じく下流側へ大砂川、中郡橋畔へ高田砂川、頭首工に直接注ぐ大谷川である。河川はすべて独立し、直接野洲川に注いでいる。地図03参照
 私はこれらを「独立小河川」と呼ぶことにした。かつての映画界で、松竹、大映、東宝などの大会社に対抗してキラリと光る名作を作り出した独立プロダクションからのイメージである。
 地図にはもう1本、車谷川というのがあるが、この川は思川に注ぎ、野洲川へ直接合流していない。他の4河川とはちょっと条件が異なるので、独立小河川には含めていない。次項、思川の項で取り上げる。




地図02.大谷川・高田砂川・大砂川関連地図  国土地理院Web地図より
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  西に菩提寺山、東に十二坊、2つの山に挟まれた菩提寺地区。これは一般的な地形を見ての表現であるが、川の流れでいうと、”北に大山川、南に野洲川、これら2つの川に挟まれた”ということになる。したがって、単純に見れば大山川の支流が菩提寺地区を流れて野洲川に注いでいるように考えられる。が、現実はそんなに単純ではない。たとえばこの菩提寺山東面に目を凝らすと北側半分は北流して大山川へそそぎ、南側半分は野洲川へそそぐ。それが大谷川である。そのためには、大山川と大谷川との分水界がなければならない。下の写真がそれである。
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 この大谷川が独立しているためには、大山川と境を接しなければならない。「谷」と「山」、まさかふざけてつけた名だとは思わないが、どこかの合い言葉のような、その境はどこにあるのか。
 地図を見ても明確な線はない。記憶をたどってみても、いわゆる旧県道22号の新しい菩提寺の中心的な平和堂。そこから従来の菩提寺集落へ向かう道。記憶ではすぐに下りにかかると思っていた。とすれば当然大山川はそこを流れ下るはずである。しかし現実にはそうはなっていない。実際はどうなっているのかと走ってみた。驚いたことに記憶とは正反対、一旦登りにかかるのである。そして菩提寺共同墓地、菩提寺小学校あたりを最高点として、そこから一気に下るのである。その傾向は、新しい県道でも同じだった。写真は菩提寺共同墓地あたり。パトカーは最高点を越して、平和堂のほうへ向いて下りにかかるところ。



地図03.大山川との分水嶺  国土地理院Web地図より
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  十二坊連山の尾根筋には”十二峰林道”が市町境と並行に通っているが、それを越える峠はない。西の端を越える”八重谷越え(前項)”と東の端を越える”十二坊温泉越え”があるが、前者は大山川流域、後者は思川流域である。そういう意味で、この独立小河川流域にはこのレポートのテーマになる峠は存在しない。しかし、気になり出すとそのままで通り過ぎるわけには行かない。最初、大山川流域の「つけ足し」で行こうと考えたが、読み込んでいくうちに”つけ足し”ではすまないことが分かってきた。いくら小河川であっても1つの流域を作っている「独立国」である。それをつけ足しでは失礼だろう。独立国としての矜持もあるはず。新たに1項目を設けることとした。



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