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N01.大山川流域

N0101C. 西ゲート越えまで

取材:2012.10
初稿UP:2012.12.12


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1. 概観
地図08.古代峠〜A峰
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 この地図で下の真ん中あたりに「東光寺越え」がある。そこから花緑公園の外周沿い(地図でいえば赤い破線沿い)に分水界をたどって古代峠まで来たところである。ここでは石のトンネルを中心に、地図に見るような変則四差路を形作っている。
 いまたどろうとする分水界は、赤い破線に沿ってA峰へ向かう。この線(赤い破線)は、北尾根縦走路と呼ばれる尾根道で、A峰を経由してさらに妙光寺山の方へ向かう。花緑公園から上ってきた遊歩道はA峰の方へ向かうが頂上は経由せず巻くような形で西ゲート越えの方へ向かう。



地図09.花緑公園概念図
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 古代峠はA峰の中腹に位置する。M15ポイントから来た場合、いったん鞍部へ降りて、登り返したところであり、下のF10ポイント「小鳥の出会い」から来ても登りの途中ということになる。そしてどちらの道もさらに上り続ける。
 地図で見る限り、2つの道は並走しているようだが、遊歩道は尾根道の少し下を巻くようにつけられており、どちらを通っても互いに他を見ることは出来ない。遊歩道は、古代峠と展望台との間はピークの南側を巻くように進み、A峰を経由しない。「A峰」は、いわば各地に見える「三国岳」と同じ意味をなすピークである。地図06の池の名でいえば、桜池へ流れるのが野洲川流域であり、他は、御池と山上ダムとに別れる。とすると流域が3つに別れそうなものだが、どちらへ流れても田中山を巻いて平野へ出たときには、家棟川へ向かって流れることになる。


2. 古代峠
写真42.石トンネル内部
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 古代峠、石のトンネル内部である。例によって「山」の石標がある。他のポイントでは地面が浸食されて、下部が大きく露出しているが、屋根があるここは浸食なし。その代わり石トンネル(古墳)の外側(入口・出口)は大きなステップになっている。「北尾根縦走路」の指標がありすぐ尾根につながっていく。





写真43.巨岩が見える
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 古墳の玄関口すぐ横から尾根道が続いている。木の間から不気味な岩場が見えてくる。大きなマッチ箱のような巨大な岩がいまにもずり落ちそう。もう1枚








写真44.眼下に御池
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 左後を見返すと妙光寺の御池が見える。東光寺越えからずーっと、御池はおろか琵琶湖側への展望はM15ポイントの近くでちょっとあっただけで、ほとんど見晴らしはきかなかった。それがここへ来て、肝心の御池(ほぼ中央で光っている)がはっきり見える。もう1枚(写真44A)。右の斜面は妙光寺山の西面である。遠く水平に光る琵琶湖。その向こう一番高い山が比叡山。



3. 竜松の岩場
写真45.巨岩山上
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 こんな岩がどうしてこんな山のてっぺんにあるのかと思う。岩が上ったのではない。初めからあったところへ、周囲の砂が流れ去っただけなのだ。理屈では分かっても、やっぱり何でこんな岩がと考えてしまう。不思議である。もう1枚(写真45A)。ほんの少し歩いただけでイメージが変わる。巨大なマッチ箱は木に隠れ、中央に竜のような松の木が目立ってくる。あまり大きくないが、形に特徴がありランドマークになる。




写真46.A峰を見上げる
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 森林センター広場からA峰を見上げたところである。右稜線近くに展望台(あづま屋)があり、それとほぼ同じ高さの左稜線上に岩場(写真46A)が見える。それが上の写真45の岩場で、2本の松の木の右側が竜松ということになる。岩と岩の間に根を下ろし、竜のように天空を目指す姿が見える。





写真47.桜池
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 上の写真45、マッチ箱巨岩の手前の岩場を上って、竜松の向こう側に立つ。三上山を正面に見て、左下に桜池が見える。いま歩いてきた北尾根縦走路から左(東)へ落ちた水はこの池へ流れ込み、大山川経由で野洲川へ流れ出る。
 手前に森林センターの広場、四角い「森林わくわく学習館」、ふるさと館などが見える。遠景中央の尖った山が菩提寺山。その右遠く阿星山。



写真48.竜松・三上山
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 三上山、枝振りから見て右が竜松であることが分かる。こういう特徴のある木は、自分の位置を客観的に知るのに便利である。その場所は、写真45Aの右後ろということになる。竜松のアップをもう1枚
 理屈の上からは、三上山から現在地まで続いてきた尾根道が分水嶺ということになるが、地形そのものも判然としないし道も見えない。おおまかにいって左が大山川(野洲川)流域。右が家棟川流域である。



写真49.妙光寺・御池
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 ちょっと遠いが妙光寺・御池が見える。左が三上山のすそ、右は妙光寺山のすそ。左の道が、古代峠・石トンネルからこちらへ続く道、分水嶺である。この道の右側が屋根棟川流域。古代峠から、遊歩道がもう1本、このピークを巻くように左下を通っているが、それは見えない。







写真50.竜松の岩峰から見た三上山
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 竜松の岩峰から見た三上山である。左に花緑公園の桜池、右に妙光寺の御池が見える。山は左が天山、右が妙光寺山、見事な対称形を示している。実は、このパノラマ写真を作るまで対称形のことは思っても見ないことだった。
 本論からはずれるが、三上山の形について触れておこう。
 三上山は西の方、野洲市三上から見るのと、南の方、野洲市南桜から見るのとでは、そのシルエットがおたがいに裏返しに見るように相似形を示す。人間でいえば三上からが右横顔、南桜からが左横顔だと言える。とすれば、正面があるはずで、それがちょうど南西の方向である。いわゆる雌山が雄山(三上山主峰)の中に隠れてしまい、ほとんど見えなくなる角度である。人間の顔を真正面から見るとき、鼻筋がはっきりしないのと同じである。私は、これが三上山の正面だと考えている。
 と、これだけでも他の山にはない特徴なのに、さらに驚くべきことは、その左右に見える妙光寺山と天山、これら二山を含め多姿が、また左右対称形を示すことである。
 そして今回、竜松の岩峰から見た風景は、南西側から見た風景をさらに裏返して見えることになったのである。当たり前だといえば当たり前だが、私にはそれが神がかって見えるのである。
 次は正面から見た三上山の写真である。



4. 正面から見た三上山
写真50A.南西方向、野洲川を越えた栗東市出庭から見た妙光寺山・三上山・天山の実写風景


写真50B.実写風景をもとにしたスケッチ(道本裕忠さん)


写真50C.カシミール3Dによる描写(雌山と主峰との重なりがはっきり分かる)




写真51.A峰山頂へ
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 さて、竜松の峰で時間をとりすぎた。ひょっとしたら竜松の岩峰がA峰のように受け取られていたかも知れない。実はA峰は、ここからさらにもう一つ小さな鞍部へ下り上なおしたところにある。いまの岩峰から距離にして4,50mのところである。






5. A峰・東光寺日陽山
写真52.東光寺日陽山
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 M17ポイント、A峰の頂上である。立札に「東光寺日陽山」とある。初めて聞く名称で、どんな謂われがあるのか分からないが、大山川・家棟川流域を分けるポイントとして実に興味深い。もし樹木がなかったら見事な展望になっただろう。







写真53.家棟川・山上ダム
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 北の方を見ると城山(傾いた台形)が見える。その下に山上ダム。右手前、碁石を並べたように見えるのが希望が丘の駐車場。その向こうが芝生ランド。山ぎわを家棟川が流れ山上ダムに流入しているのだが判然としない。しかし、見えている範囲はすべて家棟川の流域である。







写真54.田中山
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 右の尖った峰がカブト山、左の円い山が相場振山(ハタフリ山)。両方総称して田中山。妙光寺山の続きにある。A峰から見て、御池は妙光寺山・田中山の左にあり、山上ダムは右にある。その両者が家棟川流域というのは矛盾するようだが、2つの池から流れ出た水はこれらの山(妙光寺山・田中山)を挟んで流れ出て、平野へ出て一緒になる。
 大きく見れば上述の通りだが、A峰に立って目前の地形を見る限りにおいては、妙光寺山に向かって尾根が伸び、左が妙光寺御池、右が山上ダムと水系は別れて見える。



写真55.遊歩道へ戻る
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 東光寺日陽山(A峰)から竜松の方へバックし左へ折れると、思いがけなく遊歩道へ出る。古代峠・石トンネルから上ってきたもので、何や、こんなところだったのか、古代峠から尾根筋を登って、岩を登ったのは何だったのかと拍子抜けしてしまう。
 左上、十字架のように見えるのは、北尾根縦走路妙光寺山への道標である。道は遊歩道の最高点であり、西ゲート越えに向かって下りにかかるところである。




6. 展望あずま屋
写真56.展望台へ
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 上の写真の道標に展望台1分とある。山頂を巻く遊歩道は、花緑公園側を巻きながら、すぐに展望台に達する。三上山側へ引き込み線のように尾根が伸び、そこにが展望台がある。麓の森林センターや、ふるさと館前から見えたあずま屋である。







写真57.展望台から
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 たった数mほどの張り出しであるが、その効果は抜群。大きな風景が広がる。正面に三上山、左に桜池から菩提寺山。右に琵琶湖・比叡山が一望できる。

  写真58.尾根筋へ合流
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 その後、遊歩道へ戻ってさらに進む。ちょっとの間、道は尾根筋の右側を巻いていくが、すぐに尾根筋と合流する。写真は左手から下ってきた尾根筋と右を巻いてきた遊歩道との出会いである。




6. 尾根道を行く
写真59.尾根筋を行く
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 尾根筋の上を行く遊歩道。いわゆる馬の背、まさに分水嶺である。左が家棟川、右が大山川である。









写真60.尾根道行き止まり
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 西ゲート越えを目前にして尾根道は行き止まり。道は左右に分かれる。まず左へ希望が丘ユースホステルへのコースを分け、しばらくして右へ森林センター駐車場への道を分ける。その突き当たりにたつ車止めならぬ人間止め。



写真61.尾根道行き止まり
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 道はいったん中段の道に下り、その後、駐車場へ下る。暗い森を通して”西ゲート越え”の道路(希望が丘道路・県道325号)が見える。が、そこへ直接下る道路はない。元来は向こう側の尾根道につながっていたのではないか。希望が丘文化公園開発に当たって、県道325号を通さねばならなくなった。「トンネルを掘るほどのことはないな、切通しで行こうか」。任に当たった設計者のそんな声が聞こえてくる。







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