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御代参街道を歩く・G

07.岡本宿から朝日大塚駅まで

取 材 日:2016.04.09
初稿UP:2016.07.18

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地図671.岡本宿から朝日大塚駅まで
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 岡本宿、ガリ版伝承館前の追分(県道41と46号がなすT字路)から近江鉄道朝日大塚駅まで。土山宿から石原宿までをガイドしてくれた例の標識はない。ここからは全くのガイドなし。自分で道を探っていかなければならない。田んぼの中は漠然としていてわかりにくい。集落内は逆に込み入っていて分かりにくい。コース選択という意味で、この区間が一番難しかった。




32. 岡本宿から行者堂まで

地図672.ルート要所図
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写真961.岡本宿追分
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 県道41号、このまま進めば近江八幡の国道8号・六枚橋交差点へ、左を見ればガリ版伝承館が見えるという場所である。
 左の写真は、単純に見るとただの道路であるが、よく見ると左の電柱に、「右折・県道46号始点」との標識が見え、右端にT字分岐していく道路が見える。




写真962.御代参街道の碑.
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 T字路の角に、バス停「ガリ版伝承館」があって、その横に新旧2本の道しるべが立っている。新しい「御代参街道」の碑が旧の「左 八まん道」と並んでいる。これだと御代参街道は八幡へ向かうように受け取られそう。本来は多賀参りの道だから、「右 たがみち」の右側に並べるべきだろう。




写真963.県道46号
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 さてその県道46号である。手前を左右に横切る道ではない。タテにまっすぐ伸びていくクルマ1台の細い道。ウソやろー、これは里道やで、というのが正直のところ。しかしこれがホンマの県道46号である。
 左側、中途半端なところに「八幡道」の道しるべが見える。追分屋跡だという。



写真964.特別郵便局跡
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 上の写真で、右側の広場の向こうに「特別郵便局跡」の碑が立つ(上の写真では電柱の陰になって見えない)。特定郵便局なら分かるのだが「特別郵便局」というのはどんな局なのか。宿場としての機能は明治初期まで存在したらしいから、その時代の郵便制度の用語かなと思うがよくは分からない。下の地図672Aには、”明治初期郵便局開設・岡村武左衛門”とある。もちろん今は写真の通り、普通の民家が建っている。



地図672A.岡本宿追分付近
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写真965.左折
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 少し行くと左側に煙草屋跡というのがあってそこを左折。それまでに「庄屋源兵衛跡」、「尾張屋跡」「角屋跡」、煙草屋を越えていくと「商人宿治左衛門」などの石標が立つ。


 写真966.右折
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 すぐ、家が途切れて村はずれに出る。








写真967.「ようこそ」碑
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 突き当りに背の低い碑があって、「御代参街道 ようこそ岡本宿へ」と刻まれている。ホウこちらが入り口か、出口やと思っていたがと、カメラを構えていると、田んぼの方から帰ってきたおばちゃんが、「写真撮ってるけど、あんた誰や」。
 あんた誰やといわれて、「ワシは八田や」といっても話にはならないし・・・、碑を撮ってることは見ればわかるし・・・。「質問の仕方が悪いぞ」とは言わなかったけど、返事のしようがない。「街道の写真撮ってますねん」というと、「ふーん」といって行ってしまった。怪しいものに見えたのかな。



写真968.県道46号
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 オバちゃんに尋問されて集落を外れる。道は細い川沿いの道に直角に出会う。麦畑の向こうが花盛りである。
 川沿いの道が2本ある。理屈の上で右が県道46号、左が農道である。差はない。地図によると少し進んだところでもう1回右折して、近江鉄道に近寄るように表示されている。そこのところで当然橋はあるだろうし、どちらを歩いてもいいのだが、とにかく県道を行く。



写真969.右折する農道
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 すぐに右折する農道がある。直進して近江鉄道を踏切で越える。この道ではなさそう。御代参街道は右折した後、近江鉄道に出会う前に左折するはず。







写真970.電車が・・・
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 上の農道は曲がらずそのまま直進する。少し行ったところで踏切の警報機が鳴りだす。黄色の電車がやってくる。右から踏切に向かって勾配を上っていく道が、上の写真969に見えている道。






写真971.十字路
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 十字路に出会う。左に橋も見える。その上、遠くの山は三上山に似ているが、これは蒲生野の雪野。日野の正法寺山から見たときは形が左右逆だと分かっていながら、三上山と見間違えた。厄介な山である。日野から見たとき、三上山は雪野山の左に見える。
 電柱のところで右折して前を見たところである。突き当りの森の向こうを電車が通っている。道はそれまでに左へ曲がる。これが県道46号のはず。農道にしか見えないが。



写真972.県道46号
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 上の写真971で右折して、突き当りをさらに左折したところ。最初の細い川と並行に進んでいることになる。道の前方を基準にして、左前に雪野山が見える






写真973.三上山
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 雪野山を見てその左に鏡山(画面右端の裾を広げた山)が見、さらにその左に三上山が見える。それと重なっている小さな山が八重谷山。名神・竜王ICのすぐ近くの山である。三者合わせてパノラマにしておけばよかった。アトの祭り。





写真974.森に入る
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 森に近づいた。写真972で、道の突き当りに見えていたところ。道は勾配を上りながら森の中へ消えていく。が、すぐに向こうが抜けてくる







33. 行者堂

写真975.行者堂近づく
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 森を抜けると、右側に行者堂が見えてくる。雰囲気が想像していたものとは違う。想像以上にスカッとしている。







写真976.行者堂
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 行者堂というからもっと古めかしいものかと思っていたが、結構新しい。灯籠を竹垣で囲んだり・・・・。工業団地誘致のため、平成8年4月3日夜半、この地に移されたという。どこから移されたということは書かれていないが、このあたりで工業団地といえばあそこしかない。近江鉄道・朝日大塚駅山手に開発された工業団地(行者堂横から見た工業団地)である。そのころ、工場が建ってしまうともうここからは二度と撮れないからと、造成中の団地に入り込んで撮ったことがある。「紫に暮れる」と題して『近江富士遊々』に収録した。1997(平成9)年3月の撮影だった。その1年前に遷座されていたことになる。いまとなっては懐かしい思い出で、何か縁を感じる。



写真977.護摩焚き場
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 護摩焚きのあとも残っている。行者堂の正面に飾られた扁額(というのかどうかはわからないが)「高岡山大■行者堂」とある。■の字しっかり調べてこなかったが、多分「大塚行者堂」だろう。間違っていたらごめんなさい。





地図673.行者堂から朝日大塚駅まで ルート要所図
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写真978.県道476号
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 行者堂の前を行く県道46号。先ほど森に入る前、上りになるから森が切れたら三上山が見やすいだろうと勝手に推測していたが、案に相違して西側は森にふたされたまま。その森の手前に咲いていた紅梅。これでは三上山は見えるはずがない。





写真979.大きな木
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 上の写真で、電柱と支柱との間に見える赤い屋根、その上に大きな木が見える。その木に近づいたところである。






34. 五差路

写真980.五差路
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 木の横まで近づいたところ。五差路である。左へ1本。斜め左へ1本。ちょっと右へ振って左へ1本。右へ曲がったまままっすぐ行くのが1本。合計4本、四差路ではないか。イエイエどういたしまして、いま歩いてきた道がもう1本。計五差路、町中にも時々あるが、信号もややこしくなり交通の難所になる。
 ここは人もクルマも来ないから、渋滞の心配はない。しかしどちらへ行けばいいのか。道不案内のものにとって難所であることには違いがない。理屈をこねて五差路と書いたが、進む道だけを考えるのなら歩いてきた道は除外できるし、さらに右折してそのまま直進する道は近江鉄道の踏切を越えていく。これも対象外である。となれば残るのは3本。このうちのどれかである。県道46号というのだから、その案内がないかとキョロキョロしたが道の右角に石標が1基立っているだけ。何かネタはないかと覗いてみたが解読不能




写真981.左折する道
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 行き先は近江鉄道の朝日大塚駅である。早い話が線路と並進するのが理屈に合う。行者堂から今歩いてきた道がその方向である。ここで左折する道は、線路と直角に離れていくことになる。菜の花や桜が咲いて、いい雰囲気だった。道さえ間違いなければこちらへ行ってみたい。そんな雰囲気の道だった。しかし今の場合は除外。




写真982.残りの2本
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 さて残りの2本である。1本は斜め左へ進む道。集落の中へ入っていく(左の写真982)。あとの1本は右へ振って左へ直角に曲がりなおす。結果的には線路と平行に直進する。
 さてこの2本、どちらを選ぶか。最終的には集落の中を抜ける道を選択した。歩いているのは御代参街道で、どう考えても田んぼの中の直線道路は適さない。道が消えてしまったりして、最終的に農道を歩いたこともあったが、そういうことさえなければやはり古い道を選ぶのが本筋だろう。



35. 大塚集落内を行く

写真983.集落へ入る
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 そういうことで集落の中を通過する道を行くことにする。いつもの通りの微妙なカーブである。これだけで旧街道であることが感じられる。まず間違いないだろう。





写真984.サクラ
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 公園のふちに桜の花が咲いていた。これだけでも旧街道の風情がある。もちろんソメイヨシノなら、植えて2〜30年でこれぐらいの大きさになるだろう。だからこれを見てすぐに旧街道に直結させるのは行きすぎだともいえる。しかし大きさではなしに風情というのかな。計算だけでは割り切れない何かが感じられる。



写真985.地蔵さん
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 大きな民家の横に地蔵さんが集められている。道は右へ巻いていくが、それから分かれて地蔵さんの左をまいてくのもある。さてどちらか。舗装の仕方などから、右へ巻くのが本筋のようにも見えるが、このときは不思議に地蔵さんに引かれた





写真986.地蔵さん
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 もちろんこうしてみれば分かるように、古くからの地蔵さんの並びではない。これはいろんなとこで見る地蔵さんの団地だ。横を通り過ぎた。そのあと、いまになって何を感じたのか思い出せないが、ここで道そのものの間違いに気づいた。さっきの右へ巻くのが正しいコースだろう。ぐるっと一回りして、すぐもとの場所に出た。




写真987.右へ巻く
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 改めて出直し。突き当りの大きな家を右へ巻いていく道。


 写真988.集落内を行く
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 このあと距離にして数10mで右側に池が見えて来た。これで正解。朝日大塚駅の手前で右に池が見える。これを1つのポイントとしていたのだから間違いはない。もう1枚



写真989.池近づく
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 重厚な家である。右に見える玄関の白い牛乳ポスト、赤い郵便ポスト。BSアンテナ。これらは上の写真に写っている。歩きながらの写真に連続して写り込むぐらいの距離である。





36. 池に出会う

写真990.右側の池
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 右側に池が見えてくる。今回のコースのポイントにしていた池である。これであとは朝日大塚駅駅を確かめればよい。それで自然に踏切が分かるはず。もう1枚






写真991.池を通り越す
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 池を通り越す。何枚か先から見えていたピンク色の屋根が目の前に見えてくる。もう1枚


 写真992.左側の池
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 林を通り越して、左側の池が見えてくる。弁天島がある。もう1枚







写真993.庚申塚
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 池を通り越した右側、林の中に建っていた庚申塚。古くは村境などに立てられたというが・・・。もう1枚


 写真994.妙厳寺
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 2つ目の池の北側、通に面して風格がある寺が見える。GoogleMapでは妙厳寺とあるが、現場の碑には「妙厳禅寺」とある。禅宗の寺院によく見る山門の形。

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写真995.妙厳寺本堂

 本来の道に戻ってさらに進む。妙厳寺本堂を背後から見る形になる。






写真996.陸橋が見える?
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 さらに100mほど進んだ田んぼの中の十字路である。前方に高架橋が見えてくる。その昔、愛東町あたりから夕陽を撮るのによく通った道である。近江鉄道を越える陸橋だが、この付近に朝日大塚駅はない。もっと手前のはずだ。とすれば、今いる十字路から線路の方へということになるがそこにも駅は見えない。ということはすでに通り越して来たということになる。県道を歩いているのに、駅への案内は何もなかったぞ。
 ボヤいても仕方がない。周囲に人間は誰一人いない。とにかく逆戻りだ。




地図674.ルート間違い要所図
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37. 朝日大塚駅

写真997.踏切が見える
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 結局200mもバックしただろうか。妙厳寺の前の道まで戻って、そこを線路の方へ進んだところが踏切だった。踏切の右に駅が見える。そこを進むと駅の正面へ出る。細い道だけど妙厳寺の前の道をまっすぐ上ってくるとここへ出る計算だ。




写真998.ホーム
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 駅の時刻表を見るとあと5分ほどで水口行きがやってくる。踏切付近で待つことにする。桜川の方を見たところ。クルマが走っているのが先ほど間違いに気づいた陸橋。





写真999.やって来た
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 どちらを向いていようと、何をしていようと、これほど遊ぶに安全な場所はない。クルマはめったに来ない。たとえ来たとしても辺りは静かだから、いくら耳が怪しくても音は聞こえる。電車が来れば警報器。そしてやって来た水口行き電車。




38. 付録:ひょっこり三上山

 この日も、クルマを岡本宿の空き地に置いて朝日大塚駅との間を歩いて往復した。歩いた道は主として県道46号、といえば格好はいいが、実際には農道と同じ、いや場合によってはそれより細いところもある。と同時に道路標識もほとんどない、そんなところである。果たして正しいルートを歩いたかどうか。その時点では心もとない思いだった。特に行者堂からこちらの集落内の部分、2つ目の池の外側にもう1本道がある。往路が間違っていた場合の保険の意味で、帰りはそれを歩くことにした。


地図673A.帰路 ルート要所図
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写真X01.八幡神社
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 往路から見て左側にあった池。弁天島のあった池である。その池の西側を通る道である。県道とよく似た里道である。池の南側に八幡神社がある。ここにも勘定吊りが下っている。もう1枚





写真X02.三上山
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 八幡神社を越えたあたりから三上山が見えだす。往路行者堂へ行き着くまでに見た三上山は、八重谷山が三上山と重なって見えた。それが今は左へ離れて見えている。





写真X03.里道
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 少し歩いて振り返ったところである。奥の森が今見て来た八幡神社の森。振り返って左右が逆になり三上山は左手に見える。何でこんな面倒くさい撮り方をしたか。往路歩いた道が、もし間違っていてこの道が正しい道だとしたら、レポートではこの写真を往路として使わなければならない。というしょうもない魂胆があったからである。だから三上山の写真以外は全部歩いた向き(帰途の向き)とは逆向きに撮っていることになる。



写真X04.集落
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 石垣のすぐそばは空き地になって入る(かつては家が建っていたのだろう)。その空き地を通してみた集落の姿。


 写真X05.三上山
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 遠景はほとんど変わっていないが、前景に柿の木が現れた。下の田んぼより集落が若干高くなっており、見下ろすアングルでみえる。



写真X06.里道
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 さらに進んで、振り返ったところ。八幡神社の森が遠ざかる。上の地図で「帰路」の字のあるあたりである。







写真X07.影
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 時間は午後。左にある建物の影が右へ伸びている。北を向いて撮っていることになる。実際は南向きに歩いている。下手な推理小説のネタにはなるか。無理だろうな。






写真X08.家庭菜園
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 賑やかな家庭菜園である。先ほどの2点よりはほんの少し前進した(南へ・三上山に対して左へ歩いた)。そのため、八重谷山がちょっと右へ移動した。山の動きは正直である。





写真X09.五差路へ
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 さて、この道はどこへ出るのか。綺麗な道やなと見とれながら歩いていたら、あれ?、どこかで見たような。往路の五差路で見た左への道を逆に歩いていた。







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