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知らずに越えた大分水嶺

--- 09.県道466号越え ---
(群馬県・長野県)
2010年10月

初稿作成:2024.01
初稿UP:2024.03.20


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00.このとき越えた大分水嶺
地図00-09.県道466号越え

 今回のこのルート、なにがなんだかわからずに走り抜けた。もともとは渋峠から志賀高原を抜けるつもりだった。それが何を勘違いしたのか、万座温泉で左折をしたらしい。もうその辺りで土地勘が狂っていた。そこの所は詳しく後述する。
 結果的に県道は間違いなく大分水嶺を越えるのだが、その峠の名称が分からない。地名や県道466号で検索しても判らなかった。最初からそこへ行くつもりで走っていたわけではない。それを後から調べようというのが土台無理な話だった。



03.渋峠・不越余談
  a.幻の碓氷峠

 渋峠を越えるつもりで走っていて、うっかりミス。渋峠は越えられなかったというアホみたいな話である。「013 上信越自動車道八風山トンネル(長野県=群馬県)」の項。妙義山へ行こうとして八風山トンネルを抜けた。このトンネルが大分水嶺をくぐっていたという話だが、そのあと妙義山からの帰りの話。
 国道18号旧道で碓氷峠(大分水嶺)を越えたとばかり思い込んでいた。折角ここまで来たのだから、旧線のあのアーチ橋を見たい。いや、”見たい”ではなしに、”見た”と思いこんでいた。ところがそれが怪しいのである。そこを通っていないのではないか。というのは、その日の写真に「アーチ橋」の写真がないのである。
 下は、当日撮影した最後の8枚である。ナンバーを見て分かるように、持ち出したり消去したりしたものはない。下2桁の番号が「52」は言うまでもなく妙義山の最後の1枚。これの撮影時刻がが10:45。次の「53」が13:24。その間、昼食を含めてざっと2時間半の時間差がある。妙義山から2時間そこそこを走って、このような噴煙を吹きだしている場所はどこか。

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 当日は、その日のうちに帰るつもりだったから、妙義山から東へ行くはずはない。帰りこんな煙を噴き上げている場所に寄った記憶はない。それよりも、そのときの忘れられない思い出がある。ちょっとしたクルマでのトラブルである。
 碓氷峠の国道18号旧道を走っていて、撮影のため、山側(進行方向の右側)にちょっとした駐車可能な空地がありそこへクルマを止めた。記憶では、このとき旧信越本線のアーチ橋を撮ったと思い込んでいた。撮影終了後、クルマを出すにあたって、その前が切通しの急カーブで対向車が飛び出してくる恐れあり、直線の余裕のある場所から出ようとクルマをバックさせていて、山側に何段か積んであった土嚢にバンパーをコツンとぶつけた。見れば直径10cmほどの部分が円形にぺこんと凹んでいた。「ウラからちょっと押し返したら戻りそうやな」と思っていたが、次に見たときは戻るだけではなしに、今度は反対にその部分が餅を焼いたときのようにプッと膨れていた。ワシのミスや、しゃーないな。
 そのトラブルがアーチ橋の撮影だったと思いこんでいたのだが、それが記憶違いだったとしたら最後の7枚はどこなのか。特に下2桁「57」などは、碓氷峠旧道にそっくりなのだが肝心のアーチ橋の写真がない。その部分だけをどこかへ移動させたのではないか・・・、と確かめたが、データのナンバーはきっちり揃っている。どう考えてもこの噴煙を噴き上げている場所が思い出せない。やっぱりここは”18号の旧道やで”といいたいところだが、その写真には3枚とも綺麗に白樺が写っている。碓氷峠には白樺はなかったはず。記憶を否定することばかりが見えてくる。難儀なことである。

  b.「万座空吹」です
 万策尽きて4,5日悩んでいて、そうや彼に訊いてみよう。私が勤めていた高校の卒業生で布施クンという。現在、諏訪湖近くの茅野に住んでいて、ときどき信州の写真を送ってくれる。ひょっとしたら、彼なら何かヒントを送ってくれるかもしれない。
 早速、返事が来て、”場所は「万座空吹」です”という。万座?、えらい自信満々やな。ホンマかいな。長野県東部に限定して、「噴気の上がる温泉地」で検索すると、「万座温泉」が見つかり、地図から「万座空吹」が出てきたので、逆に「万座空吹」で検索したら、私が送った写真と酷似した写真が出てきた。間違いない、これで決まりだという。そうか、そんな検索の仕方があったのか。世の中進んどる。何も悩むことはなかったのだ。


04.県道466号越

 自分が記憶しておけば済むものを、布施クンまで引っ張り出して、”万座空吹”へ寄ったことが分かってきた。その”万座温泉”がキーになって、記憶の彼方に消えかかってきたことがよみがえってきた。そうかあれがこのときのことだったのだ。
 万座温泉から志賀高原を経由して長野へ出ようとして、渋峠へ出たつもりでかなり手前で県道466号へ入りこんでしまったのである。しかもそれに気がついた時には、引き返すには二の足を踏む距離を走っており、結局、走り抜けて須坂へ出たのだった。
 正しくは「長野県道・群馬県道466号牧干俣線」というそうだ。その県道をトレースしなおしていて、・・・?、よくみるとその県道466号が、大分水嶺を越えていたのである。まさに”知らずに越えた大分水嶺”の見本のような話だった。
 左の地図でいえば、地図の右(東)方、”浅間・白根・志賀さわやか街道”を南から走ってきて、「万座空吹」へ寄った。そしてさらに北上、渋峠で左折したつもりで、何を考えていたのか、「分岐」とある三差路で県道466号へ入ってしまったのである。いまこうして見ると、群馬・長野県境の大分水嶺沿いの興味深い道路である。しかし、そのときは大分水嶺なんて何の関心もない。途中で間違いに気がついた後も、本気で地図を確かめる気もなく(カーナビなんて面倒なものはうるさいだけだと、そのときは搭載していなかった)、どこへ出るのやろうなと、のんびり走り続けたのだった。
 地図で「ニアミス」とあるのは、県道が大分水嶺を越えそうになって越えないところである。もちろん実際に走っているときはそんなこと微塵も気にしていない。三か所あるところの1つ目のところでは、地図では「万座峠」とあるところで、県道から分岐した細い道が実際に峠を越えて”七味温泉”とやらにつながっている。現場に「七味温泉」への標識があったかどうか、いまとなっては何の記憶もない。もしあったとしても、そこへ行く気はないのだから、見向きもしなかったはず。あとの2か所も同じようなことでハラハラさせるだけ。しかし 4回目になって本当に超える。「09.県道466号越え」とあるところである。対向車が来ればおっとっととブレーキを踏まなければならないぐらいの道である。峠を越えれば長野県上高井郡高山村、いま走って来たのが群馬県吾妻郡嬬恋村という勘定になる。到底これが大分水嶺越えだとは思えない場所だった。このあと道は案内にあったように須坂へ出た。大分水嶺はというと、このあと四阿山を目指して南下していく。
 という間抜けた話であるが、碓氷峠の旧道を走ってバンパーをへこませたのは、これとは全く別の日の話だったらしい。



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