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SZ00.鈴鹿県境稜線

SZ00. 野洲川鈴鹿稜線

取材:******
初稿UP:2020.11.05


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地図01.野洲川流域地図  建設省近畿地方建設局琵琶湖工事事務所編 『野洲川改修計画概要』(S58.5)より
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 野洲川源流部右岸分水嶺が、御在所山の南で鈴鹿県境稜線に出合う(下の地図02では「右岸分水嶺出会い」としている)。その点が御在所山ないしは武平峠だと話は簡単なのだが、現実は両者の間、御在所山から4分の1を過ぎた鈴鹿稜線上という、中途半端な地点である。で、武平峠までの残りの稜線は、鈴鹿県境稜線であると同時に右岸分水嶺として経過することになる。
 武平峠を越えると田村川源流に出合うまで、野洲川源流左岸となる。県境稜線は、峠の前後、何の関係もなくそのまま県境稜線として南下する。



地図02.野洲川右岸分水嶺出会合付近地図  国土地理院Web地図に加筆
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 野洲川源流域の右岸分水嶺は、「北周り」の項でレポートした。といっても自分の足で歩いたわけではない。地図の上でその線をたどっただけである。そこへ行くとこれからたどろうとする県境稜線は、登山のコースとして整備されているようである。要するにその気になれば歩ける道である。しかし現実には、この区間はかろうじて峠を単発的に訪ねただけで、残念ながら、稜線として歩くことはできていない。2012年、この探訪を始めた時点で、「命がある間にそれが終われるものかどうか、それすらやってみなければ分からない。これが出発の辞である。」とええカッコをしているが、いのちの方は何とか持ちこたえているが、残念ながら体力が間に合わなかった。いま考えると、体力が残っていた時点で、この稜線を真っ先に歩いておくべきだった。








0. 大分水嶺のこと

 さて実際に動きだす前に、ここで余談というか、本論というか、大分水嶺の話である。実は野洲川流域の分水嶺峠めぐりというアホなことをやりだしたのは、滋賀県という地域が日本列島の大分水嶺に絡んで非常に特殊な位置にあることだった。北海道は省くとして、青森の津軽半島・竜飛岬から、本州を太平洋側と日本海側に分け延々と続いて来た大分水嶺が、琵琶湖の北東方三国岳にいたる。ここまでは話は単純である。天から落ちてきた雨粒が太平洋か日本海かのどちらへ流れるかだけである。ところがこの三国岳へきて、俄然、話はややこしくなる。この三国岳という名前の山は方々にある。要するに今流にいえば、3つの府県が境をなしている位置にある山。たとえば次の地図000の、福井、京都、滋賀の境にもあるが、いまの場合は福井県、岐阜県、滋賀県の交点にある山である。それ以外にも、たとえば北アルプスの”三俣蓮華岳”もそれに因む(岐阜県、長野県、富山県)という。話がずれた。先ほどの三国岳に話を戻して、福井県の雨は日本海へ、岐阜県のそれは太平洋へ流れる。では滋賀県は?。
  

地図000.野洲川源流・武平峠付近地図
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 その三国岳の北西側にある栃ノ木峠に「淀川の源」という大きな碑が鎮座している。瀬田川を除く滋賀県内のすべての川は琵琶湖へ流れ込む。この栃ノ木峠は滋賀県の最北端ともいうべき位置にある。そこから流れ出る水も例外ではない。琵琶湖を経て大阪湾すなわち瀬戸内海に至るのである。
 大分水嶺は、この瀬戸内海をどう解釈するかで話が大きく変わる。広義に解釈して瀬戸内海を太平洋の一部だと考えると、先ほどの三国岳に達した大分水嶺はそのまま滋賀・福井県境を西進して中国地方に達し関門海峡に至る。ところが瀬戸内海も一つの海だと解釈すると話は大きく変わってくる。いま述べた中国山地を貫く分水嶺、これは変わらないが、それ以外に太平洋へ流れるか瀬戸内海へ流れるか、これを見極める必要性が生じて来る。具体的に言えば、伊勢湾へ流れるか大阪湾へ流れるかである。その分水嶺が簡単に言えば滋賀県と三重県の境をなす鈴鹿山系である。太平洋でも、日本海でもない瀬戸内海流域なるものを新たに考えなくてはならないことになる。その第2大分水嶺ともいうべき山嶺が鈴鹿山系であり、その一部が野洲川流域分水嶺と重なっているのである。ここでいう「武平峠」はまさにその第2大分水嶺を越える峠なのである。





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