1.野洲川流域概観
地図01 野洲川流域図 建設省近畿地方建設局琵琶湖工事事務所編 『野洲川改修計画概要』(S58.5)より
左の地図01で、太い緑の線で囲まれたのが野洲川流域。太い線自体が野洲川流域と隣の流域との分水嶺である。これからやろうとすることは、この緑の線、川をまたがない1本の線について、それを越える峠道を訪ねようというものである。
初めるに当たって、野洲川の流れの概略を見てみよう。源流は鈴鹿山脈・御在所山南西斜面(左の流域図の北東角、ただしあとで述べるが、御在所山の山頂は野洲川流域から、ほんのわずかにはずれている)である。途中、野洲川ダム・青土ダムを経て国道1号の南土山へ。ここで野洲川源流の南方、鈴鹿山脈西斜面から流れてくる田村川と合流する。一方、甲賀市南部の水を集めた杣川が、JR草津線沿いを流れて、甲賀市水口町柏貴あたりで野洲川に合流してくる。
その後さらに湖南市甲西町で思川が流れ込み、最後に国道8号野洲川大橋あたりで大山川が合流する。これが合流の最後である。かつてはその後すぐ、野洲川大橋の5Kmほど下流の野洲市竹生で南北2流に別れていたが、現在はそのまま野洲川放水路を経て琵琶湖へ注いでいる。
地図02 野洲川流域図
右の地図02は、本流・野洲川と、2本の支流、田村川・杣川の流域を色付けしたものである。ライトブルーが野洲川。淡いピンクが杣川。ライトグリーンが田村川である。と、このように3つの流域に分けられるのであるが、作業を始めた時点では、そんなことは何も考えずに、野洲川大橋北詰からスタートし、となりの日野川流域との境をたどった。それはそれで結構楽しく、いつの間にか鈴鹿の武平峠に達していた。目分量で全体の約4割ぐらいが終わったことになるが、そのままぐるりと一周することでいいのかとふと気になった。もう一度出発点に戻って、逆回りも考えられるのではないかと。そして最後は旧東海道を歩いて、鈴鹿峠で締めようと。
地図03 分水嶺仕分け図
あれやこれやと考えた末、分水嶺を次のように分けることにした。各河川の流域の分け方とは少しずれるが、次の3つである。
*北周り → 出発点、国道8号野洲川大橋右岸畔から、北側を流れる日野川との境の分水嶺をたどって三重県境まで。県境近く、綿向山を少し過ぎたところから県境までの間、相手の流域は愛知川が対象となる。
*南周り → おなじく野洲川大橋左岸から栗東市・甲賀市信楽町との境をたどって三重県との県境へ出る。そのあと鈴鹿山脈那須ヶ原山と高畑山の中間にある770m峰まで。妙なところが境になっていることに疑問を持たれる方もおられるはず。その意味は本文でどうぞ。
*鈴鹿県境稜線 →北周り分水嶺滋賀三重県境稜線との交点(鈴鹿山系御在所岳山頂直下)から、上述の770m峰まで。
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