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S00.野洲川流域南回り概観

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初稿UP:2017.01.22

 この野洲川流域分水嶺・峠巡りを始めたのが2012年12月、その後ほぼ4年の歳月をかけて滋賀・三重県境の武平峠までたどり着いた。当初の予定ではそのまま時計回りに探訪を続けて国道8号野洲川大橋までと考えていたが、武平峠の取材を終えた時点で、北周りをここでいったん終了し、出発点の野洲川大橋へ戻り、南回りで進めたほうが面白いのではないかとふと思った。なぜかという理由は特にない。あえて言えば、流域の終端部から源流部へ向かうほうが流れのリズムが合うような気がしたからというだけのことである。



1.野洲川流域南回り概観

地図001 野洲川流域南回り図  建設省近畿地方建設局琵琶湖工事事務所編 『野洲川改修計画概要』(S58.5)より 写真拡大

 さて、南周りである。出発点は野洲川大橋左岸ということになってはいるが、現実問題としては石部頭首工へ流れ込む宮川流域が最下流ということになる。具体的にいうと名神高速道の野洲川橋付近を通る、栗東市・湖南市の市境を出発点とする。
 阿星山を過ぎたあたりで、滋賀県甲賀市信楽町との町境界線が分水嶺となる。飯道山の近くで野洲川流域が杣川流域に変わる(湖南市域が甲賀市域に替わる)。分水嶺はそのあたりから一気に中を始める。ここから見え県境へ出るあたりが、いちばん困難なところである。
 岩尾山の近くで三重県との県境にである。そのあとは三重県との県境をたどった後、JR草津線を越えるあたりから鈴鹿山脈への登りにかかる。なお南回りは那須ヶ原山と高畑山との間にある770m日根とした。その意味は、様川流域と田村川流域の分水嶺が、その点に集約されることによる。

 時間があれば、この分水嶺探訪の一番最初のところ、「大山川を遡る」を読み直してほしい。大山川は野洲川分水嶺を北周りで見ようとした時、野洲川に合流するうち最下流の川である。これは地図を見ればすぐにわかることで、その時点で確認していた。問題は祇王井川である。この川は野洲川から取水して野洲平野を横断し、家棟川(野洲川の一つ北で琵琶湖へそそぐ川)へ合流する農業用水路である。白拍子祇王が平清盛に頼んで作ってもらったという伝説の川で、元の取水口は国道8号より下流(大山川合流点より下流)の住宅地の中にあった。それはそれで理屈通りなのだが、現在の取水口は石部頭首工になっている。これは大山川合流点より上流になる。これはよく考えるととんでもないことであって、どうしても2つの川がクロスしなければならない運命にある。


地図002 野洲川・大山川・祇王井川模式図
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 野洲川・大山川・祇王井川模式図である。石部頭首工から取水された水が野洲川扇状地へ出るためには、どうしても大山川流域を越えなければならない。実際には三上山山麓近江富士団地のすぐそばで、祇王井川が大山川をくぐっている。時間があれば、大山川の項を読み直していただきたい。

 なぜ、こんな面倒くさいことをむし返したのか。上の野洲川流域図は国道8号野洲川橋(大山川合流点付近)を起点に表示されているが、北周りに関してはそれなりの意味もあるが、南回りに関しては、少しその様子が変わってくることを知ってもらいたかったからである。流域図の南周りに関しては、分水嶺の線が国道8号からしばらくの間は野洲川に沿うようにあいまいに表示されている。その意味は、南回りの分水嶺がはっきり表れるのは、名神の野洲川橋あたり、言い換えたら宮川流域にはいるところからであるということである。



地図003 野洲川・宮川模式図
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 野洲川左岸で野洲川に流入する最下流の川は宮川である。右岸の場合は流出する川(祇王井川)の取水口が流入する川(大山川)の上流というねじれ現象が起こり、立体交差という物議をかもしたわけだが、左岸の場合はそれはない。農業用水の取水口が宮川の流入点の300mほど下流にある。ということで宮川流域の分水嶺が野洲川南回りの分水嶺に当たることになる。







地図004.野洲川流域模式図
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 左は野洲川流域模式図である。上半分の北周り、国道8号野洲川大橋北詰から鈴鹿山系・武平峠まではすでに終了した。当然後半は、野洲川大橋南詰からということになるわけだが、実際問題としては野洲川左岸で野洲川に流入する川のもっとも下流に当たるのが宮川で、石部頭首工堰堤の上流へ流入している。一方その少し下流から農業水が流出する。
 しかし、地形的に見た宮川の分水嶺(単純に言えば湖南市と栗東市との市境)はもう少し下流の名神のルートと複雑に絡んである。
 そして、北周りの大谷川など十二坊山系の水を集めた4本の川に対応するように、南回りでは阿星山、飯道山山系から流れ下る5本の川。この中で由良谷川はかつては直接野洲川に流れ込んでいたが、いまは山間部を出たところで家棟川へ流れ込むように改良されており、2017年現在、まだ工事中である。
 このあと水口市街地の西方、湖南市・甲賀市の市境付近、湖南市三雲で杣川を分岐する(水の流れから見ると野洲川と杣川が合流する)。そのあと水口市街の南部を通過、国道1号白川橋付近で田村川を分岐する(川の流れでは野洲川と田村川とが合流する)。そのあと武平峠までは前項「野洲川源流」でレポートした通りである。





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