写真ミニ講座・9

ISO感度とは?

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 デジカメ教室で、「ISO感度て何ですか」という質問を受けた。一瞬言葉に詰まった。さて、どう答えていいものやら。

 もう1つ、例の「露出計算尺」の話をしていたときのこと。「"ISO感度を100から200にする"のと、"マイナス1補正"とは同じですか」という質問。こういう類の質問が出ること自体、「露出計算尺」の御利益かも知れないが、質問としてはこれも想定外。

ISO200
露出補正ナシ
ISO100
露出補正ナシ
ISO100
補正マイナス1


 考えてみると露出は確かに同じになる。上の3つは露出計算尺の一部である。中央がISO100,露出補正ナシ。左がISO200、露出補正ナシ。右がISO100,露出補正マイナス1。
 ISO100を基準として考えよう。まん中の結論のように、絞りF=4.0、シャッター1秒。ISO200に上げると1ステップ上がるから、F=4.0ならシャッターは1段上がって1/2秒になる。
 ISO100のままでマイナス1段補正をするとF=4.0のままとして、シャッターを半分にすればいいわけで1/2秒。質問者の指摘の通り両者同じになる。しかし、これが同じだったら、何も面倒くさい露出補正なんてことは必要ないわけで・・・、さて困ったぞ。

 上の図のように3つの円筒形容器がある。上から水が注がれていて、水の速さ、蛇口の面積は3つとも同じ(蛇口の面積をレンズの絞りと考える・絞りはすべて等しい)とする。
 まん中の容器の底面積をS(ISO100)として、水を注ぎ初めてから1秒(シャッタースピード)で、容器の上端まで水が満たされたとし、それで適正露出が与えられたとする。
 このときISO200の容器は、底面積Sの1/2と考えればよい。感度を底面積に置きかえることに抵抗があるかも知れないが、水を注いで見れば分かるはずである。この場合、水面はまん中の容器より2倍の速さで上昇するはずである。したがって、水面が容器の上端(適正露出)に達するまでの時間は1/2秒(シャッタースピード)。感度とはこのように、同じ量の水を入れたときの水面上昇の速さだと考えればいい。当然のことだが、ISO400なら、底面積が1/4、水面上昇の速さは4倍になるはずである。
 一方、ISO100のままで、-1ステップの補正をするということは、底面積をそのままにしておいて、シャッタースピードを1/2にすることだから、水面の上昇の速さはまん中と同じままで、時間が半分になるから、水面は適正露出の半分までしか上昇しない。
ISO200
露出補正ナシ
F=4 1/2秒
ISO100
露出補正ナシ
F=4 1秒
ISO100
補正-1
F=4 1/2秒



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