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写真集『近江富士百景』

1 月 A

Web版初稿UP:2012.02.28
 

 

001.初日の出

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 撮影日:1979.01.01
場所:守山市木浜町

撮影:2003.01.08・1

 1979年の初日の出。三上山の頂上と太陽をあわせるため、年末に2回ほど下見をして、さて本番。360mmの望遠にテレコンバータを2個重ねて待つ。うまい具合に薄雲がたなびいて、太陽の光をやわらげてくれる。
*レンズの長さは360×2×2=1440mm。これが実質的な長さ。ただし使っているフィルムが6×7判で、フィルムの対角線がライカ判(35mm判)の約2倍。そのため35mm換算でいうと720mmぐらい相当する。
 1440mmという長さはカメラブレに対してはきつかった。

CD版コメント
 撮影場所は、琵琶湖大橋ゴルフコースの南側、守山市魚釣り場に面した道路上。 もちろんこのときはまだ湖岸道路もなく、カメラを立てたすぐ横は琵琶湖そのものだった。
 太陽を大きくアップするため、360mm×2×2の超望遠撮影だから、条件は太陽と三上山との延長線上に立つだけ。周囲に何があろうと関係なし。 極端な場合建物と建物との間からでも、とにかく三上山が見えさえすればいいわけである。しかし、超望遠の狭い写角の中に三上山の頂上部を収めようとすると、ここまでバックしなければならなかった。三上山からの距離約10Km。

 

002.樹間朝陽

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 撮影日:1979.01.02
場所:守山市小島町

撮影:2002.09.19・1

 野洲川左岸、旧中山道野洲川橋下流約1.2Kmからの三上山。ここから見ると、冬至前後の少しの期間、三上山と妙光寺山の鞍部から太陽が昇る。昼間見れば何の変哲もない風景だが、冬の裸木を前景として、東の空がかっと燃えるときだけ生き生きとした表情を示す。

CD版コメント
 かつては堤防上に1.5車線の道路があり、 河川敷側にうっそうとした樹木が繁っていた。昔の写真は、その林の切れ目から撮ったものである。その後、20数年経ち木そのものが変化して、特定することは不可能になっていたが、全体の状況はつい最近までそのままに残っていた。
 しかし、今回久しぶりに行ってみて驚い た。木が生えていた河川敷は、木が間引かれ若干かさ上げされた感じで平坦化、しっかりした道路が樹木群の川側の新たな堤防上に作られていた。

 

003.淡海朝陽

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 撮影日:1992.01.02
場所:大津市本堅田一丁目

撮影:2003.01.06・1

 堅田浮御堂の南にある小さな漁港から。空気中の水蒸気の量によるのだろうか、紫っぽい光になる。風が強く、湖面が細かく波立つ。そんな風の中で、一羽のサギが杭にとまって動かなかった。

CD版コメント
 ここへよく通ったのが1980年前後だったから、 この「淡海朝陽」が1992年ということで、ここからの写真としては新しい部類に入る。といってももはや10年以上も昔の話ではある。
 時間的な経過をたどれば、実はこのあと1月5日に、 部分日蝕の欠けた太陽が昇るという(NO.13「日蝕の朝」参照)。その下見をかねて、長らくご無沙汰をしている堅田の漁港へでかけたのであろう。
 さて今回久しぶりに訪れてみると、漁港の形そのものは変化していなかったが、内容はヨット基地になっていた。すぐそばにあった浄水場も「堅田なぎさ苑」という 福祉施設に変わっていた。

 

004.霧に明ける

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 撮影日:1993.01.03
場所:守山市立入町

撮影:2002.09.19・1

 JR琵琶湖線野洲川鉄橋横からの撮影。未明から霧が深い日。上空はいい天気で晴れているのだが、三上山の麓に霧が濃い。日の出の10分ほど前、太陽は三上山の向こうにあり、その光が霧に乱反射して全体が赤っぽい風景となる。

CD版コメント
 JR在来線鉄橋のすぐ上流守山側。ビューポイントの一つとしてよく通ったところである。 新幹線の鉄橋が多少気にはなったが、辛抱できないほどではなかった。私が三上山を撮りだした最初のころ、ここに桃畑があったが、そんな昔のことをいわなければ、河川敷がグランドゴルフ場として整備された以外、 風景の大枠は変わっていない。
 しかし、細かく見ればいくつかの変化はある。川原の樹木が大きくなり、新幹線の鉄橋を隠すようになった。風景の変化は、私にとってマイナスの要素が多いのだが、これは数少ないプラスの変化である

 

005.霧・近江富士

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 撮影日:1993.01.03
場所:栗東町(現栗東市)出庭

撮影:2002.11.29・1

 栗東町野洲川運動公園からの撮影。この日は未明から霧が濃くなかなか消えなかった。好天の日には、ここから手が届くぐらいのところに見える三上山も、このときは肉眼でかろうじて見える程度

CD版コメント
 国道8号の野洲川大橋から左岸を下流へ向かう。 右手に栗東町(現栗東市)野洲川運動公園が広がる。そのいちばん下流側に陸上競技場がある。道路の左側に体育館があるあたり、道路上からの撮影。
 グランドが整備された以外、風景の大枠はあまり変わっていない。グランドが使われているときには、いろいろ制約を受けるが、早朝など、グランドが空いているときはグランド内にカメラポジションを置くこともできる。三上山ビューポイントの一つである。

 

006.夕光・近江富士

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 撮影日:1991.01.03
場所:甲西町(現湖南市)正福寺

撮影:2002.08.21・1

 甲西北中学の北西に広がる冬枯れの田圃。日没間近のオレンジ色の光が美しい。
 甲西町側から見る三上山は、少し右に傾いた感じで立つ。遠くの山は比良連峰。

CD版コメント
 甲西北中学の南側を通って 広域農道が野洲川沿いに通っている。いまでは、県道27号のバイパス的働きをして車がひきもやまない。その道を中学の裏から野洲のほうへ走り、初めてクロスする農道を右へ折れたところからの撮影である。
 三上山の手前に見える新しい建物は、最近建てられた「ケアーセンターこうせい」。(以上2002年8月記)
 このあと、2002年12月に、久しぶりに行ってみると、大がかりな道路工事が始まっていた。国道1号朝国の立体交差から北上してくるバイパスの延長(現1号バイパス)らしい。 昔の風景はいうまでもなく、上の風景も今はない。

 

007.雪の比良

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 撮影日:1978.01.04
場所:甲西町(現湖南市)平松

撮影:2002.08.21・1

 比良に雪が来た。雪の比良を撮るだけなら、琵琶湖の東岸からで十分だが、三上山と比良をまとめるとなると、甲西町側へまわらなければならない。
 これは、野洲川にかかる甲西橋からの撮影。今は、この下流に送水管用の橋が架かり、さらにもう一本、新たな橋(現甲西大橋)の建設工事が行われている。

CD版コメント
 甲西橋は古い橋で一車線の時間差一方通行である。しかし幅1mぐらいの歩道がついていて歩くのに苦労はしない。古い写真の撮影位置がこの橋の上からということははっきりしていたから、 あとは橋の上のどこかということだけ。送電塔と比良山との重なりが決め手となった。
 いまの写真に見えるアーチ橋が上の文章にある送水管用の橋、それと重なって少し見えにくいが、その向こうに甲西大橋が架かっている。撮影以来4分1世紀を経て、川の流れは大きく変わっている。
(Web版追記:2012年現在、甲西橋も架け替えられ新しくなっている。)

 

008.寒光・近江富士

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 撮影日:1991.01.04
場所:守山市川田町

撮影:2001.08.17・1

 快晴の冬の朝。風が強く、透明感の強い風景となる。
 野洲川放水路の川田橋上流からの撮影。三上山の上にまわった太陽が、水面をきらきらと照らす。

CD版コメント
 川田橋から上流へ200mほどのところ、川岸ぎりぎりのところへカメラをすえた。 風景そのものはほとんど変わっていない。ただ、野洲川の流量が季節により、降雨量により大きく変わるので、いつも同じというわけには行かない。昔の写真を撮影したときは、 冬としては流量の多い状態だったような記憶がある。
 冬の朝、ぐんと冷え込んだときなどは、岸に近い方では凍結してきらきらと光る。それがまた美しい。

 

009.大橋黎明

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 撮影日:1978.01.04
場所:大津市今堅田三丁目

撮影:2003.01.07・1

 快晴の朝、東の空がオレンジ色に燃える。琵琶湖大橋西詰めレストハウスからの撮影。
 今は対岸の守山側に高層マンションが建ち並び、橋自体も2本になり、この風景は見られない。

CD版コメント
 昔の写真を撮ったあとも、まだかなりの間、 琵琶湖大橋は1本のままだった。ここからの写真が撮れなくなったのは、橋が2本になる以前に、守山側に高層建造物が建ちだしたことの方が先だった。
  今の道の駅「米プラザ」とほぼ同じ場所に、「琵琶湖大橋レストハウス」という施設があった。両者は内容的には同じようなものだが、 その2階が展望台になっていて、昔の写真はそこから撮った。上の写真も、「米プラザ」の展望テラスからで、高さも昔の撮影位置とほぼ同じである。 しかし、守山側の建物と、橋が2本になった分、橋脚が増えて、どうひねっても絵にはならない。

 

010.寒 い 朝

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 撮影日:1981.01.04
場所:大津市本堅田一丁目

撮影:2003.01.06・1

 肌を刺すような冷たい風が吹きつけ、湖面が細かく波立つ。このような冬型気圧配置の寒い朝には、必ず琵琶湖の上に横雲がたなびく。 これが画面の上でのアクセントになってくれる。

CD版コメント
 撮影現場は、堅田浮御堂の少し南にある小さな漁港である。 20年前に比べて風景の大枠はほとんど変わっていない。しかし、細部を見ればここにも時代の流れを見ることができる。港そのものが、漁港からヨット基地に様変わりしていたし、港の南側にあった浄水場は、いつの間にか「大津市なぎさ苑」という施設に変わっていた。
 上は、昔の写真の撮影現場、漁港の突堤上から見た三上山。琵琶湖を前景とした風景はほとんど変わっていない。

 

011.光るみずうみ

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 撮影日:1980.01.05
場所:大津市本堅田一丁目

撮影:2003.01.06・1

 堅田・浮御堂の南にある小さな漁港からの撮影。日の出前後は雲一つない快晴であったが、1時間もたつと三上山の上に薄雲が現れ、太陽を隠す。柔らかい光の中で、漁網の影がゆれる。
 010.寒い朝と時間的には1年の差があるが、撮影場所はほぼ同じ所である。

CD版コメント
 朝と日中というように撮影条件が全く異なることを考えてみると、ここからの風景はほとんど変化なしと言っていい。相手が琵琶湖だから変わり様がないいえばそれまでだが、それでも変わっているところは変わっているのだから、 私にとっては貴重なポイントである。
 ご覧のように、漁港というイメージはなくなり、ヨット基地になっている。

 

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