三上山物語・U

毎月1日、11日、21日発行
 

2014 年 02 月/011121


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■070  発行:20140201


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■見えない星が
 撮影場所:野洲市南桜 (地図)
 撮 影 日:2014.01.27
 今年の1月1日号にインターバルタイマーを使って撮った星の動きを見てもらった。車が駐められてその横で三脚が立てられる場所という不純な動機で探した場所だったが、三上山が東に見えるという位置関係で偶然にもオリオンが写っていた。ピントも多少怪しいしまだ試作段階だが、とにかく星が動いた。こうして写ることがわかってくると、北極星を中心とした北天の日周運動が撮りたくなる。ということで三上山から見て真南に当たる南桜野洲川沿いの農地へ出かけていった。
 素人の浅はかさ、行ってみてはじめて気がついた。日が暮れると東のほうには明るい星が散らばっている。にもかかわらず北のほうには何も星は見えない。星に詳しい方なら、「そんなこと当り前じゃねえか」ということだろうが、私にとってはそうではない。小学校時代、何年生だったかは忘れたが星座の勉強をした。大熊座にひしゃくの形をした北斗七星という7つ星があって、最後の6つ目と7つ目の星の距離を5倍した位置に北極星があるという。ホンマにそんな見え方がするのだろうかと外へ出てみたら、目の前にそれらの星がきらめいていた。戦争中で灯火管制下の京都市内は山の中と同じだった。銀河が天を斜めに横切っていた。その通りとは言わないが、1つや2つ明るい星はあるだろうと考えていたが、まったく星の姿は見えなかった。考えてみれば小学生の時の北斗七星は夏、今とは季節が全く逆。ほとんど真上にカシオペアが見えたが、カメラの視野では遠く及ばない位置だった。
 さてどうしたものかと思案したが、せっかく出てきたのだし、とにかく撮るだけはとってみようとシャッターを開けた。ISO感度250、絞り5.6 シャッター速度10秒, データ数350枚。1時間30分強の間、飛行機が点滅して飛ぶ光は明るく見えたが、星は全く見えなかった。
 帰って合成してみて驚いた。全く見えなかった星が写っている。それに引きかえ何度か行き来した飛行機はほとんど目立たないのである。受光素子が感光するメカニズムは素人の私に説明できるはずもないが、たとえば走っている人を撮った場合、早く動いている手や足は写らない場合がある。それとは逆に地面についている脚などは写る。ほとんど動かないように見える星からの光は、そのエネルギーが受光素子に蓄積されやすいのだろう。北斗七星が南西の空に回ってくる夏の夜が楽しみである。




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■071  発行:20140211


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■雪は魔術師
 撮影場所:栗東市出庭 (地図)
 撮 影 日:2014.02.06
 2月5日に雪が降った。気温が低く山の雪もほとんど溶けなかった。所用で草津へ行った帰り、中山道野洲川橋にさしかかったときたまたま太陽が照りだし、三上山のいわゆる鼻筋尾根が見事に浮き上がって見えた。あわてて家へ帰りカメラをもって出直した時にはすでに最初見たときの輝きは失われていた。そんなことで、結局その日は雪の合間を見て中山道野洲川橋から新幹線鉄橋までを往復、収穫があったような無かったような、中途半端な気持ちで終わった。
 5日夜分にまた雪が降ったらしく、6日の朝には屋根の上にも山にも新しい雪の色が見えた。太陽が照りだしたので、昨日の続きをと家を飛び出した。現場へ着いた時にはもう曇ってしまっていたが、最低限鼻筋尾根だけは見えた。場所は栗東市野洲川運動公園の松の木が途切れるところである。天気のいい日には、ここから見た山はいわゆる「八の字」富士で、雌山は本体に吸収されてしまってよほど注意しなければ見えない。上の写真のように、本体と雌山が2つに分かれて見え、なあお勝鼻筋尾根が浮き上がって見えるのは、まさに雪の魔術によるものである。




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■072  発行:20140221


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■高原みたいなところ
 撮影場所:草津市青地町 (地図)
 撮 影 日:2014.01.29
 何日か前のこと、うちのシャチョウが「きょう畳屋(懇意にしている草津のNさん)さんに車に乗せてもらったとき、今まで行ったこともないところを通った。高原みたいなところで、向こうに三上山が見えて…」という。ボクは相手がシャチョウであろうどこかのオッサンであろうと、そういう話は信用しないことにしている。大概の場合実際に行ってみると話の通りであったためしがない。確かに山は見えるのだが、ほとんどの場合、山よりは邪魔もののほうが多い。
 で、話は立ち消えになっていたのだが、つい2,3日前、くだんの畳屋さんがうちへやってきた。「こないだ車で通った三上山が見えるところ、どこだった・・・」と蒸し返してきた。聞いてみると「旧東海道沿いの場所だけど、草津川と金勝川が合流するところで、…」という。三上山が見えるというのは話半分としても、そこへ行っていないことは確かだった。金勝川沿いの旧東海道は走った記憶があるが、その「高原みたいなところ」は未知の場所だった。
 今は冬枯れで風景は単純だけど、これが春になって緑が濃くなれば、たしかに「高原みたいなところ」と言えなくもない。一言でいえば、金勝川と草津川の合流地点をポイントとして、もう少し広く言えば、L字側に流れる金勝川と他の2辺が名神と草津川に囲まれた正方形に近い長方形ということになる。その中へ入るためには、それらのバリアを越えなければならない。近くまでは行きながら、結局ここを知らなかったのはそのような事情による。
 そこにいましっかりした道路がつながりかけている。草津駅のほうから来た道路が橋でつながり、このエリアを通り抜ける。これが開通すると大きく変わるのだろう。道路はすでに出来上がり、橋が開通するのを待つばかりの状態である。




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