■見えない星が
撮影場所:野洲市南桜 (地図)
撮 影 日:2014.01.27
今年の1月1日号にインターバルタイマーを使って撮った星の動きを見てもらった。車が駐められてその横で三脚が立てられる場所という不純な動機で探した場所だったが、三上山が東に見えるという位置関係で偶然にもオリオンが写っていた。ピントも多少怪しいしまだ試作段階だが、とにかく星が動いた。こうして写ることがわかってくると、北極星を中心とした北天の日周運動が撮りたくなる。ということで三上山から見て真南に当たる南桜野洲川沿いの農地へ出かけていった。
素人の浅はかさ、行ってみてはじめて気がついた。日が暮れると東のほうには明るい星が散らばっている。にもかかわらず北のほうには何も星は見えない。星に詳しい方なら、「そんなこと当り前じゃねえか」ということだろうが、私にとってはそうではない。小学校時代、何年生だったかは忘れたが星座の勉強をした。大熊座にひしゃくの形をした北斗七星という7つ星があって、最後の6つ目と7つ目の星の距離を5倍した位置に北極星があるという。ホンマにそんな見え方がするのだろうかと外へ出てみたら、目の前にそれらの星がきらめいていた。戦争中で灯火管制下の京都市内は山の中と同じだった。銀河が天を斜めに横切っていた。その通りとは言わないが、1つや2つ明るい星はあるだろうと考えていたが、まったく星の姿は見えなかった。考えてみれば小学生の時の北斗七星は夏、今とは季節が全く逆。ほとんど真上にカシオペアが見えたが、カメラの視野では遠く及ばない位置だった。
さてどうしたものかと思案したが、せっかく出てきたのだし、とにかく撮るだけはとってみようとシャッターを開けた。ISO感度250、絞り5.6 シャッター速度10秒, データ数350枚。1時間30分強の間、飛行機が点滅して飛ぶ光は明るく見えたが、星は全く見えなかった。
帰って合成してみて驚いた。全く見えなかった星が写っている。それに引きかえ何度か行き来した飛行機はほとんど目立たないのである。受光素子が感光するメカニズムは素人の私に説明できるはずもないが、たとえば走っている人を撮った場合、早く動いている手や足は写らない場合がある。それとは逆に地面についている脚などは写る。ほとんど動かないように見える星からの光は、そのエネルギーが受光素子に蓄積されやすいのだろう。北斗七星が南西の空に回ってくる夏の夜が楽しみである。
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