三上山物語・U

毎月1日、11日、21日発行
 

201401 月/011121


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■067  発行:20140101


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■オリオン昇る 
 撮影場所:野洲市三上 (地図)
 撮 影 日:2013.12.30
 正月の風景というと初日の出と相場が決まっているが、今回はちょっと趣向を変えて星の写真を。
 いつのころからかはっきりした記憶はないが、天文関係の雑誌などに、星の日周運動の写真が目につくようになった。夜空に星が輪を描くやつである。もちろん日周運動そのものなら、フィルム時代からあった。早い話が、カメラを三脚に固定して、ピントと絞りを適当に指定して、空に向けて開けっ放しておけばいいわけで、特別難しいものでもない。ただその時に星よりも明るい人工的な明かりが入り込むとそれが1時間、2時間の露出をトータルするとむちゃくちゃ明るく感じでしまう。写真としてはその部分が飛んでしまい絵にならなくなる。だから星の写真は暗い山の中と相場が決まっていた。
 ちょっと様子が違うか、この写真は野洲川の川田大橋からの撮影で、十六夜の月が頭上にありその明るさだけによる撮影である。しっかりしたことは忘れてしまったが、2〜3分の露出だったはず。画面中央に星がわずかに動いて写っている。2〜3分ぐらいだからこれが成り立つわけで、1時間も明ければ空全体が明るくなりすぎ、写真にはならなかったはず。
 ところが昨今の日周運動の写真は、東京の明るい夜景を前景として、星が回っていたりするのである。星が輪を描くにはやはり最低でも1時間の露出は必要だろう。東京の明るい夜景を1時間も開けっ放しにしておけば、露出オーバーもいいとこで写真にはならないはずである。どうも解せない話である。
 解説によると、インターバル合成とかいって、数秒から数10秒の露出を単位として、それを何10回、何100回と繰り返して、それを合成するのだという。そんな機能、わしのカメラについてたかなと、解説書を確かめても全くのノータッチ。ワシのカメラではアカンらしい。半分あきらめていたのだが、いろいろ探っていくうちにインターバルタイマーなるものを使えばできることがわかってきた。『インターバル合成』という言葉は、何語か知らないがわかりにくい言葉である。しかし『インターバルタイマー』なら、なんとなく分からないでもない。何秒かの一定間隔でシャッターを切っていくということだろう。
 上の写真は、そのインターバルタイマーを使ってのテスト撮影の1枚である。場所も何も考えずとにかく練習してみようとやりだところへ、思いもかけずオリオンが昇ってきた。ちなみにこの写真を、200枚ほどを合成するとこんなものが出来上がる。カメラブレもありまだまだ試作の段階。




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■068  発行:20140111


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■殿山公園から 
 撮影場所:甲賀市甲賀町和田 (地図)
 撮 影 日:2014.01.07
 甲賀市甲賀町和田殿山公園。JR草津線油日駅から南西へ直線距離で600mほどの場所である。実はこの場所、別項の「三上山日乗」と同時に1月11日にUPするつもりでいたが、延び延びになり1月18日に書いている。そんな事情で日乗とは若干の時間差があることをご承知いただきたい。
 日乗にも書いたが、ここは全く初めて、大げさに言えば人生初という場所である。去年の夏ごろだったか、水口教室に来ているTさんが三上山の遠望写真を持ってきた。きけば甲賀町和田の何とか公園ということだった。和田へは二、三度行った記憶があるがそんな展望所はあったかなという思いだった。和田集落の中心部と思われるところに案内板がある。それをもとに地形を勘案すると登り口はすぐに見つかった。何も知らずに探すのと、あると知って探すのとの差である。その時の記事を1月11日の「三上山日乗」に乗せた。
 さて、ここからである、時間差が問題になるのは。きのうの夕刻、守山市に住むFさんがやってきた。3,4年前からひょっこりやってくる。私の写真集『近江富士遊々』を頼りに、遠距離の撮影困難な場所、たとえば京都の小塩山だとか飯道山だとかを訪ね歩いて、撮影地の現在の状況をフィードバックしてくれるありがたい人である。そのFさんが「殿山へ行ってきゃはりましたね」という。「うん、行ってきた」。「ちゃんと見えましたやろ」、「・・・?、あんた知ってたん?」。「何ゆうたはりますのん。初めて来たときに写真見せましたやん」。「ほんまかいな。そんなことあった?」。「ほんまですやん、ボク、あの辺の生まれやから・・・と、話ししましたやん」。
 それが思い出せないのである。甲賀地方の出身とは聞いていたが・・・。最近とみにアタマのほうが怪しくなってきたとの自覚はあるが、そこまできれいに忘れるとは。この一文はFさんへの慚愧の念と、私自身への忘備録のつもりである。
 上の写真は広めに撮っているため三上山が小さく写っている。これが長めで撮ったものである。遠景の山はいうまでもなく比良山。三上山の手前、左から下って来るのが三雲の烏が岳。白い高架橋が新名神である。その手前の集落は土地勘がないのではっきりしたことは言えないが、草津線甲賀駅周辺の街並みかと思われる。
 上の広い写角の写真に戻る。手前の農地を横切る川が杣川。三上山の右、丘陵の向こうに盾を伏せたように見えるのが十二坊。右端に白い大きなビルが見える。ビルのレタリングではおぼろげながら「大正薬品工業?」と読めるが、GoogleMapでは当該の建物は記載されていない。ビルも新しいからたぶんまだ改訂されていないのだろう。何でこんなことにこだわるかというと、実はもう一つの撮影ポイントとして、県道4号「山崎」交差点がある。そこからの写真にこの建物が写っているのである。そうか、山崎交差点から殿山公園までは、草津線の両側に分かれていることもあり、遠く離れたところだと思っていたが、こんなに近かったのか。実際両者の間の直線距離は約500m、思ってもみない近さだった。
 公園から下りて周囲を少し回ってみた。平地からも三上山が見えた。なんや、こんなところだったのか。そういえばいつか来た時もこの風景は見た覚えがある。電線があるからということでボツにした風景だった。電線のある道路まで行けばいいじゃないかという考えもあるが、そこまで行くと三上山そのものが見えなくなってしまう。難儀なものである。





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■069  発行:20140121


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■天井川遺構 
 撮影場所:湖南市夏見 (地図)
 撮 影 日:2014.01.07
 1月16日と17日の両日にわたって、『三上山日乗』において湖南市夏見の天井川遺構について触れておいた。それはそれで一つの記事だけれど、写真がどうも気に入らない。私の場合、記事としては天井川遺構だけれど、写真はやはり三上山を主体にしたい。17日の写真の場合電車が山を食っている(撮影位置地図)。教室でいつもいっている「どちらが主役や」という話である。これ以上条件的にどうにもならないのならそれはそれで涙を呑むしか仕方がない。しかし思い返してみると、考え方次第では山を大きくできそうである。
 山を電車より大きくするには、17日の撮影場所より遠ざかればいいのである。要するに電車より離れたらいいのである。例えば電車から50mの場所から、100mの場所へバックしたとする。電車からの距離が2倍になったわけだから電車の大きさは2分の1になる。100mぐらいバックしても、山の大きさは変わらない。その組み合わせを望遠で撮る。小さく見える電車をもとの大きさに撮るとすると、山は2倍の大きさに写るという勘定である。
 写っている天井川遺構はきっちり確認したわけではないが多分由良谷川という小さな川の跡であろう。いずれ野洲川流域分水嶺めぐりでレポートすることになるはずだが、国道8号野洲川大橋をスタートして、いまようやく十二坊を湖南市側へ下ったところである。このあと鈴鹿峠を回って、こちらへ回ってくるのはいつになるか。というよりここまで回ってこれるかどうか、それが怪しくなってきた、そんなところである。





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