三上山物語・U

毎月1日、11日、21日発行
 

2013 07 月/0111・21

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■049  発行:20130701


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■細い道
 撮影場所:湖南市菩提寺 (地図)
 撮 影 日:2013.07.01
 湖南市野洲川右岸に高田砂川という不思議な名前の川がある。湖南市正福寺・十二坊山中から流れ出て、県道27号をくぐったところで、湖南市菩提寺の農地へ出、中郡橋のすぐ下流で野洲川に合流する。とかくと立派な川に聞こえるかも知れないが、実はこの川、わたしが見る限り水が流れているのを見たことはない。天井川で、まさに空(から)の川である。それでいて中郡橋から見下ろすと、きれいな流れが野洲川へ流れ込んでいく。そんな馬鹿なことがあるものかと調べてみると、流れ込んでくる水は、野洲川への合流地点からたった150m上流の地点で高田砂川へ合流する農業用水のものだった。以上高田砂川のことをくどくどと書き連ねだが、この写真の撮影地点がその堤防上だったというだけで、写真そのものとは何の関係もない。
 県道27号菩提寺信号から朝国の方へ500mほど走ると、生田病院の少し手前で高田砂川を渡る。そこから堤防上を350mほど下流の方へ下った地点が撮影場所である。すぐ目の前を国道1号バイパスが走っている。
 田圃の中の細い道は実は農道である。ところがどういう訳かこの農道、高田砂川を目の前にして幅が広がり、幾何学的な普通の農道の常識に反し、えもいわれぬ曲がり方をしてそこで終わっている。写真で見るとさらに手前の方へ曲がってくるように見えるが、画面のすぐ手前で終点である。いずれにしてもこのえもいわれぬ曲がりが、この写真のポイントだと考えている。三上山の左は菩提寺山のすそである。



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■050  発行:20130711


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■野洲川運動公園
 撮影場所:湖南市夏見 (地図)
 撮 影 日:2013.07.01
 前回の「細い道」撮影のあと野洲川運動公園へ回ってみた。湖南市夏見、甲西中央橋下流野洲川左岸に広がる公園である。かつて、このあたりの河床部で象の足跡化石が発見されたことを記念して、左岸の市総合体育館前に足跡化石メモリアルパークが造られている。
 上の写真は、河川敷に造られた公園の中心部ともいうところで、日よけの大きな傘が何本かたっており、そのうちの2本と三上山との組み合わせある。川の流れの向きと三上山の位置が一致し、約8Kmの間何遮るものもない。といっても、遠望は高みに勝るものはない。河川敷の公園よりすぐ後の甲西中央橋に上がればと、誰しも考えるところである。しかし、この橋には歩道が全くなく、橋を渡ることはおろか、橋の半ばまで出向くにも必死の思いをしなければならない。せっかくの風景を前に歯がゆい思いをするところである。



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■051  発行:20130721


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■正面塚その後
 撮影場所:栗東市出庭 (地図)
 撮 影 日:2013.07.19
 1976(昭和51)年、三上山の撮影を始めて以来、ずっと三上山の風景を見続けてきたわけだが、1980年前後の撮影ポイントで、いまも変わりがないという場所はほとんど無い。風景が悪い方へ悪い方へと変化していくのである。自分も風景を破戒して開かれた住宅地に住んでいるわけで、それに対して大きなことを言う資格はない。
 そんな流れの中で、今回はうれしい便り、風景が好転していたのである。国道8号野洲川大橋左岸上流河川敷にある栗東市立パターゴルフ場、そこのいちばん上流の地点が、わたしがいう三上山の正面と考える地点である。そこに小さい盛土があって、楠が1本植わっている。それをわたしは正面塚と呼んでいる。その正面塚の横のわずかな空間からは三上山がみえたが、河床部分に竹薮が茂り視角を狭めていた。たとえば2007年の現場の様子を見てみよう。右端が正面塚、左が例の竹薮。三上山の麓まで見えるのは、両者の間隙からだけだった。だから、たとえばこんな写真を撮ろうとすれば、その間から河原へ降りて前へ出なければならなかった。
 それが今回現場へ行って驚いた、例の竹薮がきれいさっぱり取り除かれていたのである。今回取り上げたこの写真などは、従来だったら竹薮の上に上半身だけを見せた状態でしか撮れなかったところである。この辺りからは三上山が左右対称に見え、なおかつ左右に続く妙光寺山(左)と天山(右)までが左右対称に見えるという特別な景観の場所である。それが堤防上という高みから、手前にパターゴルフする人などを入れて撮ることが出来る。極めて貴重なアングルが与えられたわけである。もちろん作業は河川整備の一環として行われたのであろうが、有り難いことであった。現在の正面塚付近2007年ごろに比べて視界が広がっている。
 この場所から見た最後の竹薮の姿を挙げておく(2013年3月18日撮影)。左に竹薮が見える。なお、三上山では雌山が影になって主峰の手前に見える。前方後円墳の前方部を手前に見る形で、ボンネットバスを前方から見る状態とも見てとれる。この方向が三上山の正面とする所以である。




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