■南東尾根
撮影場所:野洲市北桜 (地図)
撮 影 日:2013.01.05
年末だったか、年始だったか、とにかく風が強く流れ雲が速い日だった。野洲川分水嶺探訪で菩提寺からの帰り、さくら墓園から北桜へ向かっているとき、三上山の頂上から右下へ向けて、見事な尾根筋が浮かび上がるが見えた。三上山を見続けて30数年、初めて見る尾根筋だった。いや、三上山は見えているわけだから、その中の尾根の一つ、見ていなかったことはない。しかしそのように見えたのは初めてだった。その尾根は頂上から右下へ、具体的に言えば花緑公園植物園の方に向かって、あたかもヒモを張ったように滑らかな曲線となって伸びていた。しかしそれも瞬間のこと、雲の動きが速く、クルマを止めるところを探している間にその姿は消えていた。
その線がもう一度見られるかどうか。チャンスは以外と早くやってきた。1月4日に雪が降り、5日にも降った。といっても道に積もるほどではなく、屋根や田圃が白くなる程度ではあったが。5日の昼前から天気が回復し、ときどき晴れ間が見えるようになった。ひょっとしてと北桜へ行ってみた。雲の切れ目からスポットライトのように降り注いだ光、これがそのときの写真である(頂上部から右下へ、影になっている尾根筋)。南桜からの「とんがり富士」の右斜面はこの尾根筋なのかも知れない。
三上山概念図 国土地理院25000分の1地形図
左は三上山の概念図である。黒の実線が従来から認識していた尾根である。それらはすべて、山頂から見て南西方に集中している。残る270度については単なる扇形だと考えていた。しかし、そこに明らかな尾根が見えたのである。見えているのはどの尾根か。
改めて、いままで無視していた扇形の部分を見直してみた。答えを見てから問題を解くような勝手な作業ではあったが。その結果が、赤い実線である。撮影場所は右下の赤丸の場所である。さくら墓園の外周部にあたる。三上山の山頂部から見れば、北東の方位に当たる。とすれば写真の右下向きのなだらかな尾根は地図で言う南東尾根しかあり得ない。そしてその向こうの尾根は、ここでいう東尾根なのか、それとも単なる扇形上の稜線なのか。これはまた今後何らかの方法で見極めていかなければならないことである。
最後に、同じ北桜からの1枚。見えると言えば見える、見えないと言えば見えない。言われてみれば見えなくもない。人間の愚かさである。
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