三上山物語・U

毎月1日、11日、21日発行
 

2013 01 月/011121

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■031  発行:20130101


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■天山山頂から
 撮影場所:湖南市菩提寺 (地図)
 撮 影 日:2012.12.15
 新年早々さえない写真である。実は「天山から」と称する写真をNO.03(2012年3月21日号)に掲載している。実はこの03号の写真は、天山についてしっかり確かめないまま、いわば行き当たりばったりで撮った写真で、「頂上の岩場へ着いて撮影している間に雲が晴れ出す」などと、いかにも天山山頂から撮っているように書いているが、天山写真倫理委員会か何かがあって、撮影報告を管理していいたら、これは懲罰問題ものだった。
 実は03号の写真は途中の第1見晴岩から撮ったもので、山頂からのものではなかった。ただ、いまとなっては何を書いてもいいわけになるが、その時点では何も知らないまま、うすうすそこを天山山頂ではなさそうだとは思いつつ、山頂はすぐそこぐらいに横着を決め込んでいたのである。
 今回、シリーズ物として取り組んでいる「野洲川分水界峠道探訪」で、たまたまその分水嶺が天山の一部を通ることが分かり、改めてその地形を丹念に読んだ。結果分かってきたのは、第1見晴岩と天山山頂とは、直線距離で約300mも離れているということだった。それが例え20m、30mぐらいなら間違いを指摘されても、「へー、そうでしたか」で笑ってすますことが出来る。しかし300mともなれば笑い話ではすまされない。こんなWebの一文に目くじら立てる人はいないだろし、現に「お前のあの写真は・・・」というお小言も戴いてはいない。しかし、やっぱり間違いは間違い。ただすべきことはただしておこうという次第。

 と、まあいいわけが長くなった。ついでに天山自体のためにもうちょっといいわけを。
 これは頂上直下の上り口。立派なものである。これを登ると平坦な山頂は岩のテラス。十二坊方面などは結構いい絵になっている。格好がつかないのは三上山だけである。こんなしょうもないブッシュを前に、これはアキマセン。救われるのは立派な三角点が鎮座ましましていること。三角点と三上山が一つの画面に収まったのは、これで2例目。他の一つは石部の臥竜の峰だった。



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■032  発行:20130111


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■南東尾根
 撮影場所:野洲市北桜 (地図)
 撮 影 日:2013.01.05
 年末だったか、年始だったか、とにかく風が強く流れ雲が速い日だった。野洲川分水嶺探訪で菩提寺からの帰り、さくら墓園から北桜へ向かっているとき、三上山の頂上から右下へ向けて、見事な尾根筋が浮かび上がるが見えた。三上山を見続けて30数年、初めて見る尾根筋だった。いや、三上山は見えているわけだから、その中の尾根の一つ、見ていなかったことはない。しかしそのように見えたのは初めてだった。その尾根は頂上から右下へ、具体的に言えば花緑公園植物園の方に向かって、あたかもヒモを張ったように滑らかな曲線となって伸びていた。しかしそれも瞬間のこと、雲の動きが速く、クルマを止めるところを探している間にその姿は消えていた。
 その線がもう一度見られるかどうか。チャンスは以外と早くやってきた。1月4日に雪が降り、5日にも降った。といっても道に積もるほどではなく、屋根や田圃が白くなる程度ではあったが。5日の昼前から天気が回復し、ときどき晴れ間が見えるようになった。ひょっとしてと北桜へ行ってみた。雲の切れ目からスポットライトのように降り注いだ光、これがそのときの写真である(頂上部から右下へ、影になっている尾根筋)。南桜からの「とんがり富士」の右斜面はこの尾根筋なのかも知れない。

三上山概念図 国土地理院25000分の1地形図

写真拡大    左は三上山の概念図である。黒の実線が従来から認識していた尾根である。それらはすべて、山頂から見て南西方に集中している。残る270度については単なる扇形だと考えていた。しかし、そこに明らかな尾根が見えたのである。見えているのはどの尾根か。
 改めて、いままで無視していた扇形の部分を見直してみた。答えを見てから問題を解くような勝手な作業ではあったが。その結果が、赤い実線である。撮影場所は右下の赤丸の場所である。さくら墓園の外周部にあたる。三上山の山頂部から見れば、北東の方位に当たる。とすれば写真の右下向きのなだらかな尾根は地図で言う南東尾根しかあり得ない。そしてその向こうの尾根は、ここでいう東尾根なのか、それとも単なる扇形上の稜線なのか。これはまた今後何らかの方法で見極めていかなければならないことである。
 最後に、同じ北桜からの1枚。見えると言えば見える、見えないと言えば見えない。言われてみれば見えなくもない。人間の愚かさである。



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■033  発行:20130121


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■鼻筋尾根
 撮影場所:野洲市三上 (地図)
 撮 影 日:2013.01.18
 前回を読んでくださった方は、何や、同じ話じゃないかと思われるはず。事実、尾根筋の話だから確かにその通りかも知れない。しかし、内容は全く異なる。方向でいえば表と裏の違いである。
 三上山は「円錐形の端正な形」とよく表現される。「端正」は確かにそうかも知れない。しかし少なくとも「円錐形」ではない。鼻筋が通ったいい男である、というのが私の見方である。

三上山概念図 国土地理院25000分の1地形図
写真拡大    左は三上山の概念図である。今回の舞台は三上山の山頂から見て南西方、私がいう正面の話である。そこに位置する雌山を鼻だと考えると鼻筋に当たる尾根が山頂から下って来る。左の地図で赤く示した「鼻筋尾根」である。それをたとえば西側の三上から見た場合、そこに尾根が存在することは確かなのだが、それが普段は見えない。たとえばこの辺りは普段はこのように見える。私自身この写真に見るような途中ちょっと外へ膨れかげんのこの線が、鼻筋尾根そのものだと長く思い込んでいた。雨上がりの直後などに、モヤがかかってもう少し詳しいヒダが見えることもあるが、晴天の日にそれがしっかり見えることはまずなかった。
 1月18日未明に降った雪は、量は少なかったがなかなか解けなかった。午後になっても三上山の斜面にはほぼ朝と同じ状態の雪が残っていた。そして、つかの間の晴れ間。山頂から右下に向かって垂れ下がるように下る暗色の尾根が鼻筋尾根である。山頂から手前に下ってくる尾根が西尾根。人間の顔でいえば右頬骨。鼻筋の上に盛り上がるように見える稜線が南桜へ下る南尾根。左頬骨に当たる。




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