三上山物語・U

毎月1日、11日、21日発行
 

201212 月/011121

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■028  発行:20121201


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■大山池
 撮影場所:湖南市菩提寺 (地図)
 撮 影 日:2012.11.16
 「名神高速道路菩提寺PA裏の農業用水池」である。三上山の写真を撮りだしてこの方、この池の名前が分からず、すーっとこの呼び方で通してきた。去年だったか、一昨年だったか、菩提寺正念寺住職、芭蕉研究家の乾憲雄氏から、『鈴木儀平の菩提寺歴史散歩』(儀平塾編)なる本を頂戴し、「大山池」なる名であることを知った。色いろと示唆に富んだ本で興味深く読ませてもらっている。
  その本によると、・・・この池が造られたのは、明治21(1888)年で、当初は「土」だけで作られていたが、地震でひび割れし、改修工事の際に池の内側水面のところまで石を貼り、それにより水漏れはなくなった。
 写真、三上山の左と右、堰堤部に一基ずつ見える小さな水門が、野洲市北桜と南桜農地への用水口である。画面右端、トラックが走っている下の暗渠が大山川への排水溝である。これに関しては、田辺朔郎がオランダ人技師ヨハネス・デ・レーケの指導を得て工事に当たった。当初は石造りで、水を一気に落とさないよう、1尺(約30cm)の石を積み重ねて階段状に落としていた。
 戦後、周囲の宅地化が進んだが、大雨のたびに水があふれ、子供が溝に落ちて流される事故もあったという。ために、水利権者の野洲町(現野洲市)南桜・北桜に、「池の水位を1尺下げてくれ」と交渉したが、応じられず、やむなく幅15mだった排水溝を25mに広げることになった。このとき、石積からコンクリートに変わったという。現在も基礎部分に石積みが一部残っているとか。・・・以上、『菩提寺歴史散歩』の本文を八田が意訳。

 写真の撮影場所は、みどりの村自治会館裏庭(地図参照)。普段は水が満ちているが、このときは水が抜かれた状態だった。



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■029  発行:20121211


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■城山から
 撮影場所:野洲市辻町 (地図)
 撮 影 日:2012.12.03
 城山、標高286m。希望が丘芝生ランドの北に見える台形の山である。写真に見るような特異な傾きから、一度見ると忘れられない強い印象を持つ山である。
 左の写真はその頂上から見た三上山。樹木が茂って広い視界が得られないのが残念だが、300m近い標高は結構効果があり、平地から見るのと較べ高度感がある。画面の中央付近、三上山の右下に滋賀県総合教育センター・希望が丘ユースホステル等の建物が見える。その手前に三角形の西ゲート駐車場、さらに手前芝生ランドが横たわる。
 三上山の写真を撮りだして、30数年、いまのいままでこの城山は、ただ単に三上山を取り巻く山の一つだとしか考えていなかった。ところが最近になって、ここからの視点が三上山にとって看過出来ない重要なものであることが分かってきた。
 2006年10月に出版した『近江富士まんだら』に「三上山はどちらを向いているか」という一文を発表し、同年11月に行われた「ふるさと富士シンポジウム」でその内容を報告した。結論だけをいうと、三上山は山頂を基準として北東から南西へ向く対称軸を持っており、その正面は南西(真北を0度として時計回りに225度の方向)を向いている、というものである。南西方向から見た三上山カシミール3Dによる作画(三上山本体と雌山との関係がよく分かる)。
 このようにして正面は決定した。しかし後ろ姿については全く意をはらわず、そんなものはどうでもいいのだと放置したままだった。最近になって、ひょっとしてと地図を見直して驚いた。この城山こそ、私がいう正面地点から見て、全く対称の位置にあったのである(赤い線が対称軸。286mの水準点が城山) 。左右の山(天山・妙光寺山)を含めて見た左右対象の後ろ姿
 ◆城山へは、写真仲間Mさんの同行を得て、国道8号小堤からのルートをとった。道標はあるが結構分かりにくく、私一人では迷ったはず。感謝。


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■030  発行:20121221


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■天山に寄り添う
 撮影場所:湖南市菩提寺 (地図)
 撮 影 日:2012.11.25
 右の山が天山、その左に遠慮がちに三上山が覗くという構図である。天山は、南桜の農地から見るとき、その存在感が際だつ。すなわち、左に三上山、右に菩提寺山を見て立つとき、正面奥に見える山である。
 この撮影場所は、菩提寺PA横の大山池から(前々号12月01日号参照)大山川を名神沿いに約1Kmさかのぼったところ。左がイワラニランド中央公園・住宅地、右が名神、左奥に小さく見える正方形が菩提寺PAの水槽塔、その右の住宅地がハイウエイ・サイドタウンである。
 大山川の流れから見れば、鏡山山麓・希望が丘山中から流れ出て荒川谷を経てきた流れと、名神沿いに八重谷を下ってきた流れが合流するところ。写真はその合流直後を上流から下流を向いて見たところである。
 南桜から、菩提寺平和堂の前を経て、名神竜王ICへ通じる道は、何度となく通っていたが、ここは初めて見る風景だった。住宅地内は何回かは走っていたが、風景が開けるわけでもなく、ましてやその奥のこんな場所から三上山が見えること自体、思っても見ないことだった。



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