■遠い積乱雲
撮影場所:守山市水保町
撮 影
日:2012.07.09
高く沸き立つような積乱雲が撮りたかった。もちろん三上山と組み合わせて。初めての夏か、2年目の夏。もちろんそれまでにも雲は撮ったことはあった。しかしそれは目の前にあったから撮っただけで、どこからどの雲を撮ろうなどとは考えてみたこともなかった。
高く大きい入道雲。そのころはまだ、対象物を大きく撮るにはそれに近づくことしか知らなかった。考えてみればばからしい話だが、大まじめだった。一生懸命雲に向かって走った。当然のことながら、雲は逃げる。雲に向かって走って、雲を捕まえた話は聞いたことがない。しかしそのときは本当にそれをやった、50CCのヤマハメイトで。走れば走るほど雲は低くなる。これでは駄目なんだと分かったのときには、三上の山麓。入道雲の先が山の斜面からちょっとだけ顔を出していた。
分かってみれば何ほどのこともない。雲から遠ざかればいいのである。逃げれば雲は追っかけてくる。そうして迷い込んだのがここだった。そのころ、堤防の外側の斜面も樹木で覆われていた。しかしここだけはどうしたかげんか外側が見えた。その場所が、いま思うとこの左の堤防上。道が左へ左へと曲がっていく。堤防林の影から三上山が顔を出す。道のすぐ下に細い道が通り、その向こうは畑だった。
いま、その畑は住宅地に変わり、細い農道も立派な道に整備された。左に見える堤防が、その当時のままかどうか。それさえも分からない。多分変わっているだろう。それが証拠に、この草付き斜面への上り口さえ分からなくなってしまっている。
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