不思議な写真である。日傘をかぶった女性が、大正末期から昭和初期の姿で、じっと立っている。何をしているでもない。川の向こうは塀、川には鯉が何匹か。イベントか何かの撮影会かとも思うが、ただ立っているだけでそこから何も出てこない、不思議な写真である。モデルも急に半世紀以上も後戻りさされて、とまどっていたのだろう。撮る方も難儀したのではないか。