花と蝶、何度か出てきたテーマである。でありながらこの作品を見ると、何となく新鮮な感じがする。チョウに対するピント、これがしっかりしている。そのチョウを画面の左へ持ってきた。左向きのチョウを左へ持ってくるアンバランス。それを助けたのが、バックに伸びた緑のぼけ。それが右下に向かってすーと伸びて終わる。それが絵のバランスを立て直した。出尽くした古いテーマでありながら、何となく新鮮な感じを受けるのは、このアンバランスの中のえもいわれぬバランス感覚なのだろう。