当然枝でつながっているのだろうが、その枝を黒いバックに沈めて、花だけを浮き上がらせた。なかなか細かい技である。私はこういう手法を見ると、1950年代に発売されていたトスかニーニのLPを思い出す。Robert Hupka撮影の舞台(演奏会)写真で、顔と両手、指揮棒だけが、暗闇に浮いているのである。どちらも暗い闇に白いモノだけを浮き上がらせた。同じ発想である。違うのは、梅の写真は話しがここで止まること、トスかニーニの写真はあとに続く。違いは何か、手や指揮棒の先のわずかなぶれだと考えている。