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アルバム  NO.13
2010.12.12
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 ある風景   KR
 孔か、窓か。アーチ形の構造が見えるから、最初から設計されたモノかも知れない。事情は分からないがその窓からの風景。性別も不明だが人がひとり。「ある風景」、展覧会などでよく使われる題だが、要するに勝手に解釈してくれということ。たとえば「立ち去る」としたら、そこからずいぶんドラマが生まれそうなな気がするが。

 波 紋   TJMR
 もともとの水面のさざ波と、ボートの波が干渉してきれいな模様を作った。現場にいてこの細かい波がきっちり見えたかどうか。瞬間を止める写真の強さだろう。画面上面の淡い光で奥行き感が表現できている。右上に見える桟橋ようのものは、もう少し大きく入ってもよかったか。

 滑 走  NGC  
 陸上競技のトラックを見るような横線に沿っていま飛び立とうとする白鳥。横からの太陽光を受けて、何と優美な姿。これは「滑走」ではなくて「ダッシュ!」だろう。いつもながらの見事なピントである。

 雨あがり  INUE  
 何かの枝かツルに雨上がりの水滴が光っている。井上さん得意のアップモノだが、いちばん奥の大きな水滴が、半分影になったのが惜しかった。手前から大中小と並んでいたのに。まあそれは仕方ないとして、バックのボケ、その色彩の組み合わせの新鮮さにひかれる。

 三上のずいき祭  ICK
 2人の男性が向き合って、単なる談笑ではなさそう。祭の公式行事の1シーンか。写真としては、あれもこれも取り入れすぎ、五目飯状態になった。地元の祭で、事情が分かりすぎるための切り取りにくさだったのだろう。こちら向きの人物を主体に左下だけで絵を作るべきだった。

 割れ目から  YMD
 山田さんは人が絶対に撮らないものを狙って、作品に仕上げる特殊な能力がある。コンクリートの割れ目から芽を出したアサガオ。路面に写った陰とともに、何ともいえない風情を感じる。おそらくとっさのスナップだろう。あれこれひねくり回すと訳が分からなくなる。道端ウオッチングを続けてほしい。

 目覚め  IMGW
 夕日にも見えるが、「目覚め」というのだから朝日だろう。突然浮き上がったカイツブリに目覚めを感じたのか。それとも上端の鳥たち全体の目覚めなのか。もし後者だとすると、上下に分かれて、しんどかった。浮き上がった輪が残っているのだから手前の一羽だけで絵ができたのではないか。

 石 段  MTOK
 これはきつい石段だ。右のご婦人など青息吐息というところ。左側をトレーニング中の運動選手が颯爽と追い越していく姿があると面白かったが、世の中うまくいかんモノだ。写真としては屋根から上はいらなかっただろう。カメラを後退させて、望遠で狙うと階段がもっと起きてくる。

 堅 忍  TNK
 竹の生命力を見るような凄い根っこが露出している。その昔、町なかに竹屋さんがあったころ、このような根っこを使った竹製品家具があったのを思い出す。
 葉の緑の色の冴え、これは臨場感があって良かったが、ピントが浅く、根っこの描写に若干物足りなさを感じる。右側はピシャッと来ているが、左側がほんの少しだがずれているように見える。

 顔   KJM 
 階段に子供がいたので、その子の顔かと思ったが、よく見るとそうではなかった。左側の木が顔に見える。見る人の目をこのモンスターに引きつけるためには、何か演出がいるだろう。子供を手前に入れて、指をさしてるところとか。たまたま撮った、別の意図をもった写真でありながら、それを見た人がモンスターに驚くということもあるが、いまの場合はそれとは違い、撮影者がモンスターを意識していることを見る人に感じさせなければならないので話がややこしくなる。

 一人旅   NKMR-k 
 青い上着の男性が、落ち葉の階段を上っていく。中村さんはこれに「一人旅」を感じたらしいが、旅というには、ちょっと雰囲気が違うような気がしないでもない。それはともかくとして、木の葉っぱは新緑に近く、地面は茶色で晩秋を思わす。この不思議なちぐはぐさが気になって仕方がない。

 コスモス   SRI 
 コスモスのアップ。花の中心部にきちっとピントが来ている。花弁の構造を見分ける知識はないが、この複雑な構造の中に、星の形をした何か?まで見える。多分風もあっただろうに、それをきちっと止めたところが見事。  あと、花びらの色にしっかりとした艶があれば文句なしだった。

 神 木   MTNM
 なんとまあすべての枝が、好き勝手な方向に曲がりくねっている。こういうのを見ると、神さんも案外勝手気ままなんだなーと思ったり、逆に神さんだから許されるのかなーと思ってみたり。写真としては、曇り空だから何とか収まりがついたのか。これで天気がよくて、コントラストが強かったら、お手上げだった。

 収穫の跡   MBYS
 刈り終えたあとの田圃に、稲束が並べられている。横一線が断続的に3本並び、まん中の1本だけがカギ形に曲がっている。その手前の1束が、ヒツジの後ろ姿に見える。全体としてみた場合、結局これがメインになるのだろう。これをど真ん中では困るが、ほんの少し中心部へ近づけ、絵を作り直す。あとは光線。束のエッジが光る夕方の斜光線を待つ。この場合奥の民家は必要だったかどうか。

 白樺林   ATRS
 どうしてこれだけ細い木がこんなに伸びたのだろう。中央の紅葉が主役で、両側の2本がそれを挟んで目立っている。右側だけで良かったのだが、左側も対抗馬として譲らない。難しいところ。曇り空らしく、林全体が何となくくすんで見えるのが、細いシラカバには幸いした。

 棚田望遠   MRKM
 黒いかたまりは、一瞬雲の影かと思ったが、そうではなく森の部分らしい。ややアンダー気味でこのような描写になったのだろう。棚田と森のコントラストを大きくするのが意図だったのかも知れないが、森の陰影が読みとれるぐらいに、あと少し明るくてもよかったか。

 雨上がり   TNZK
 「雨上がり」というのだから、ポイントは左下の葉っぱに散らばる水玉だろう。こういうのをメインにするには、水玉の1つ1つがはっきり読みとれる大きさであることが必要になる。画面を大きく引き伸ばして初めて生きてくる素材だろう。飛び気味の水面が気になる。

 蜘蛛の糸   YND
 水滴をつけたクモの糸。これがメインらしいが、一言でいえば緑が強かった。糸を強くするには、結局光だと思うが、バックとの関係も考えなければならないし、全体のバランスも問題になるし、ことは簡単ではない。被写体すべてにいえることだが、肉眼で見るとけっこう強く感じる。それを如何に冷静に読みとるかにある。

 水秋樹   OOT
 難しい題だが一般用語だろうか、それとも太田さんの造語なのか。対岸の描写を最低限にとどめて、林の反映で絵を作った。上下逆像がきっちり写っている写真はよく見るが、これは細かい波で、上下方向に流れるように写り、印象派の絵画を思わす絵となった。下部の露出オーバーがなければ文句なしだった。

 クローズアップ   NKMR-m  
 花の部分のクローズアップ。正体が分からなくなるのは仕方ない。しかし、何のためにアップしたのか、それがもう一つ分からない。それと本体の赤より強い黄色のつぼみも気になる。アップのテストかとも思うが、だとすると全体に小さなブレがあるのが気になる。

 ゆきあいの空   TKHT  
 「ゆきあいの空」とは、夏の終わりから秋の初めのころの空のことだとか。なるほど、空をテーマにしたらしいことまでは分かったのだが、これはこれは勉強になりました。そういえばそういう空だ。山ぎわ中央の架線柱も写材としてポイントになっているから不思議である。

 すこやか  HYS  
 青空とコスモス。この時期の定番だが、手前の花を大きく空へ抜けさせ、青空を敬遠して太陽へ向けたのが成功した。花のベクトルは左向き、それをあえて左へ置いた。そのアンバランスが生きた。不思議な手法である。
 このあと教室で訊ねたら、ワイドレンズ、ノーファインダーでの撮影だったとか。

 山荘の朝   KDM  
 まん中に立つ黒い幹。その横から微妙な曲がりを見せる柵。これを黒くまとめて、その奥に朝日を受ける山荘の壁。これはあくまで雰囲気造りということで、最小限にとどめた。そしてその奥のうすいモヤ。すべてが朝の山荘を演出している。手前にあるはずの道か水路か、要するに下部にも思いが広がる。
 教室での後日談。山荘に見えたのは、醒ヶ井養鱒場の産卵場だったとか。題にやられた。マイッタ!。

 彼岸の光   NMR  
 彼岸花を無造作に三輪。単なるスナップに見えるが、なかなかどうして結構手が込んでいる。まず三輪を2対1に分けたこと。木葉漏れかと思うが、スポットライト風の光を花に当てたこと。当然のことながら周囲は暗くなる。題を見ると「彼岸花」とはなっていない。「彼岸の光」あくまでテーマは光だったわけだ。いい写真だ。

 辻回し   TJ  
 一般観衆がここまで近寄れないから、多分望遠だろう。鉾の車輪一つと、人物でまとめた。ポイントはミケランジェロの彫刻を思わす腕の筋肉。テコがもう少し分かりやすいと良かったのだが。それと全体の色調が霞がかかっているようで、透明感にかける。望遠撮影の結果かとも思うが、画像処理の仕方で締まるのではないか。
 教室での後日談。これは大津祭で、ここまでは近寄れたのだろいう。鉾だというと祇園祭だと思いこんでしまう単細胞。これもマイッタ!。

 観音正寺より三上山を望む  YMMT-k
 題の通りだが、題を通り越して現場説明になった。  トリミングしていないとすればかなり長いレンズだ。手前の城山の斜面の陰影まではっきり見える。よほど見通しがよかったのだろう。夕方の光らしく、日中の明るさはない。そんな中で長いレンズ。しっかり撮れている。構図としては、左から下がってくる濃紺の山稜の処理が問題になる。

 石 仏  YMMT-j
 名前は忘れたが、諏訪神社近くの石仏だ。背後に人物を入れたのは正解だった。とにかくこの石仏は人物がいなければ大きさが分からない。曇り空、それも日中だろう。光がはっきりしない。石仏の正面と側面は明暗の差があるはずだが、それがあいまいになって、立体感が不明瞭になってしまった。

 キバナ   MRSK
 この色は最近目立つようになった。余り歓迎すべき色ではないが、村崎さんはそれに挑戦した。ピントが来た主役を上へ持ってきて、いちおうの形はできた。そこから上が手持ちぶさたで、上と右を切って、再構成したら良くなるだろう。



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