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アルバム  NO.03
2010.05.20
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 白鳥やカワセミを対象として数々の作品を残された西岡勝義氏が、先月(2010年4月9日)逝去されました。謹んでお悔やみ申し上げます。
 西岡さんは、2005年4月からコミセンぎおう写真教室(現・風景写真同好会)に参加され、翌2006年冬、白鳥の写真で大ヒット(いちばん左の作品)。以来、野口日出夫さんとコンビを組んで、根気・体力・チャンスを合い言葉に、白鳥やカワセミを狙って、数々の作品を撮ってこられました。ここに作品の一部を再録させていただきます。

'06初ヒット作 2006 2006 2006 2008



 初デビュー  OOT
 幹から細い枝が出て、花を咲かせたのだろう。ピントがピシット来て、花弁の1本1本に至るまでしっかり撮れている。右下の木肌を照らす光もいい。左と下がやや手持ちぶさただから、そこを少しずつカットした方がよかった。左上に僅かに見える空も自動的に解決できる。

 光る湖   NKMR-m  
 夕暮れには少し間がある時間帯らしい。波の反射が湖に広がっている。題の通りの風景である。裸の木と光のバランスがいい。夏場になると葉が茂ってこれだけの見通しはなくなる。左から出てくる岬のシルエットが不気味だから、カメラをあと少し右へ移動させてもよかったか。そのとき木や岬は左は移動するが、キラキラはカメラについてくる。それを動かしながら絵のバランスを組み立てる。

 くれなずむ   HYS
 「くれなずむ」には少し明る過ぎる気がするが、まあしかし夕陽を受けていることは事実。それが桜の色に反映した。近づいてくる人物と桜の花が重なったのがおしかった。もう少し明るい方が分かりやすかったかとも思うが、空の色の変化は見事である。

 芽吹くころ   KDM  
 新緑の森の中へ向かって歩くハイカー。この時期特有のコントラスト。しかし、「芽吹くころ」という題と、人物の動きがどうもつながらない。男性の右肩などいい光を受けているのだが、それが今ひとつ生きてこない。足下の地面の光のせいだろうか。かといってそこをカットするわけにも行かないし。いいシーンでありながら、どこか欲求不満が残る。

 帰り道   NMR
 桜並木の下を手押し車のおばあちゃんが行く。行くのか帰るのか撮影者には分からない。しかしそれを「帰り道」と決めてかかった。なるほど帰り道である。おばあちゃんの頭が画面のど真ん中にある。これは避けた方がいいから、手前と左右をカットする。左の白い車も自動的に解決。

 枝末桜花   KTD  
 枝先の花びら。とくに先端の二輪がいい。右の3つはやや重なりが悪くごちゃごちゃした。といって完全なものは求める方が無理なのだが。バックの色調が桜の花の清楚感とマッチしなかったことと、花びらが飛びかげんなのが気になる。

 クラシックカー   YMMT-k  
 雨上がりの何かの会場らしい。オープンカーに楽しく収まっているのだが、不思議な写真である。この車は止まっているのか走っているのか。車輪までもがしっかり止まっている。だとすると見物人もいないところで、この2人は何をしているのか。いろいろ悩んだけれど結局分からなかった。

 桜の家路  YMMT-j
 川沿いの桜が左からの夕陽に映える。その光の中を男の子が橋を渡って。橋の大きさが絵としてはバランスを欠くが、それは仕方ない。山元さんは小走りの子供がここへ来たときと、狙いをつけていたのだろうか。写真としては橋の上あたりが適当かとは思うが、この場合、「家路」という題で、その齟齬を救った。

 スミレ   MRSK
 スミレをアップすると、こんなに見えるのか。非日常の世界でこのアップの度合いが理解できないが、かなりのアップなのだろう。花の付け根の所にピントがしっかり来ている。指先のように見える赤い部分は何に当たるのか、それを大きく入れたことと、紫色の花の先をカットしたことと、何か意味があるのだろうか。ちょっとわかりにくいところである。

 飛ぶとき   NGC  
 カワセミくん、いままさに飛び立たんとす。いつもながらの見事なショットである。ピントもぴしゃりと来ているし、羽の動きも見事。欲をいえば、左右の羽が重なって、1枚の羽に見えてしまうところか。構図的に無理になるかも知れないが、左上の三角の地面はカットした方がよかっただろう。

 ようやく春  INUE
 井上さん得意のアップもの。見事なピントだ。光が当たる産毛の一本一本までしっかり見える。花びらの上部も白く飛ぶところをかろうじて辛抱させた。バックが黒きに過ぎたことと、左下の若葉には、賛否両論があろう。葉っぱについては、私はこのままでも差し支えないと感じる。

 ひととき  ICK
 不思議な色調である。曇り空だったらしい。全体をグレーを基調に仕上げたのだが、桜の花や、ボート上の人物には、しっかりとした色がある。それでいて全体は淡いグレーというイメージである。たまたまそうなったのかも知れないが、いわゆる桜ものにはないトーンに挑戦した意欲が生きた。

 いただきます  YMD
 いまどきのカラスはこんなこともやりますか。カラスもいろいろと忙しい。あれこれと慌てたのだろう。とっさのことでバックを調整することも不可能だろうし、ピントも不十分だ。場所を見繕って囮を置いて「やらせ」て見たらどうだろう。

 うぐい川の春  IMGW
 見事な桜だ。これは橋の上から撮ったのだろうか。満開の桜だから、これでとやかくいうわけではないのだが、結果的には総花的でつかみ所のない写真になった。赤いユニフォームの中学生がポイントかと思うが、それもただ歩いているだけでもう一つ力がない。何をもってくればいいのかな。

 まどろみ  MTOK
 ピシッとピントが来てしっかり撮れている。しかしそこで話が終わってしまう。やっぱり何かのアクションがほしい。(人間が)どうすれば、(カエルが)どんな反応を起こすか。ヒマなときに研究してみるとアクション版が狙える。

 舟遊び  TNK  
 保津川下りただいま到着というところか。一列に並んだ3艘の舟を真横から見るとどうしても小さく写ってしまう。電車も同じことがいえる。数両連結の電車を真横から狙うと、電車そのものは小さくなってしまう。だから鉄道写真などは、狙いがはっきりしている以外は、横からは狙わない。こういう場所では、舟は脇役として絵を作るとよい。

 赤いドレス   MYT
 「赤いドレス」、そういえば雄しべか雌しべかは分からないが、黒い6角形がバレリーナのようだ。こういう写真を無意識に撮ると、花の中心がど真ん中に来るのだが、これはそれを避けて、少しずらした。意識してずらしたとすれば正解だった。

 うらしまそう   KJM 
 珍しい花だ。鉢植えだろうか。白をバックに室内撮影だろう。正面からのストロボ一発で陰影がなくなったのが残念。室内の明るさが分からないが、窓際の自然光で三脚を使用すれば、もっとニュアンスに富んだ写真になっただろう。おしかった。

 樹   NKMR-k 
 何という木だろう。どこかの公園のようにも見えるが、葉を落とし尽くした大きな木である。並木のようにも見えるし、そうでないようにも見える。主役は右端の大きな木であることは分かる。しかし左半分の木の意味がよく分からない。右半分だけでよかったのではないか。

 春の光を浴びて   SRI 
 シャクナゲだろうか。天気がよかったと見えて、太陽が真上から来ており、しかもコントラストが強い。5月から夏の終わりまで、一日中太陽が高い。そして日差しが強いから、花の撮影にはつらい。花にであったときがたまたまそういう条件だったのだろうが、嫌な条件だった。

 アマゾンりり花   MTNM
 清楚な花だ。上からの柔らかい光がいい。露出もうまくいった。白い花はともすると飛びがちになるが、これは細部まで質感が損なわれていない。暗いバックもいい。左端のつぼみは邪魔だといえば邪魔だが、この場合は変化の一つと考えてもいいだろう。花全体を左へ寄せたのも正解だった。

 花の中で…   MBYS
 花に囲まれた何かの新芽。主役を右へ寄せて、左へボケた枝をもってきた。絵がしっかり作られている。ピントも新芽の葉にピシッときて、写真そのものはしっかり撮れている。あえて気になる点を上げれば、右から2番目の葉っぱがその奥の葉と重なったこと。どちらかへよければもっとよかった。

 舞台裏   ATRS  
 祭りか舞台かのメークらしい。どちらも真剣そのもの。カメラを向けられると気になるものだが、その素振りも見せない。後の毛筆の字、関係があるものなら、それを見せて、メークの意味を知らせる手もあった。

 かなたへ   OBR  
手前のつぶれた部分がよく分からないので、ことの事情がもう一つよく分からないが、海岸の波打ち際を旗に向かっているらしい。先導者が指さしているのが、旗なのか、それとも「かなたへ」というのだから、その向こうに何かがあるのか。結局話がここで止まってしまう。

 早 春   MRKM  
 琵琶湖の向こう、雪をかぶった伊吹山が快晴の空に立つ。右をこれだけ広くとった意図は何だったのか、もう一つわかりにくい。左側の事情が分からないが、カメラをもう少し左へ振りたかった。このままの絵を使うとすれば、右3分の1、上3分の1でカットしてはどうだろう。

 惜 春  TNZK  
 よく見ると縦位置の写真だと分かるのだが、ちらっと見ただけではどれが正位置かわかりにくい。その事情は上下に並ぶ階段の線だろう。可能ならばもう少し右へ寄って、階段が階段だと分かる表現をしたかった。この写真のメインは上半分の抽象的な石畳にあるのだから、階段はもっと小さくてもよかっただろう。

 若葉の芽生え  YND
 砂防ダムか何かから水が流れ落ちる。題を見ると若葉が主題のようだが、この場合は白い水流が見逃せない。両者合わせて「涼」というイメージが湧いてくるがどうだろう。そう考えると右6分の1ぐらいと、上は白波が始まるところまでをカットしてもいいような気がする。題はともかくとして、いい写真である。



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