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アルバム  NO.12  
2005.12.18
スライドショー




風とススキ  HYS
「オレは川原の枯れススキ」、野洲川の川原だとか。この向うの様子が分からないが、これで堤防いっぱいいっぱいかな。 そんなことが気になるのは、「三」の字構図の第一画が何とも窮屈で、奥行きが感じられそうで感じられないから。
 ススキの線がすべて水平方向に平行で、「三」の字の一画一画で視線の流れが止められてしまう。 もう少し斜め方向から見て、S字に連なるアングルが見つかるとよかったんだが。 そうすれば、「うしろ姿のしぐれていくか」という奥行きのある世界に入っていける。 このままでは山頭火が右から左へ通り過ぎるイメージになっている。もっとも作者の狙いはそこにあったのかもしれないが。


 

湖東三山金剛綸寺三重塔  MTNM
 人がたくさんいるのを、葉っぱで隠して苦労の跡が偲ばれます。塔がそこにあって、もみじの木があって、 人がいて、アングル的にはどうにもならないのだろうが、右の白い木は邪魔になる。木の右側はまったく魅力はないのだから、 木の左側だけで勝負できなかっただろうか。と同時に、左側の葉のまばらな木が陰になっているのがもったいない。 太陽は右後ろにあるようだから、どうしてこの木が陰になっているのかよく分からないが。


トンネル  MRYM
正直に言うと、今回の鉱山跡の作品中、この作品のコメントが最後になった。どうにも書きようがなかったから。 何とも落ち着かない。困ったなと思いながら、ディスプレー画面を上下にスクロールさせていたら……?これはという絵にぶつかった。 元凶は黒い正方形の上に見える台形の明るい部分だった。写真を上へスクロールしていって、この台形をカットすると落ち着いたいい絵になる。 この鉱山がどれぐらい実働したのか知らないが、その年月の光と影。いい写真になる。 ついでに、あともう少しカメラをバックさせると、 影の中に見えている緑の樹木が消える。こうすればさらに強い写真になる。


 

時の流れ  MRKM
長いレンズで奥行きのある部分を圧縮した。その結果、左側の鋸状の光と影が面白くなった。 拡大してみるとよく分かるが、手前から2本目の柱にピントが来て、あとはアウトフォーカスになっている。 レンズが長いと被写界深度が浅くなって、往々にしてこういう情緒的な描写になるが、この場合はもっと絞り込んで4本とも全部にビシッとピントを持っていったほうがよかった。 となると、当然向うのススキにもピントが来てしまうのだが、かまわないのではないか。


紅 彩  YMD
 山門の一部を添景にして、今を盛りの紅葉を主役に。うまいまとめ方です。リバーサルフィルムを使って、 色調も文句なし……と書いて、次はどう書こうかと画面をにらんでいる間に、何となく落ちつかなくなってきた。 なぜだろうかと考えたのだが、結局は、石積みや山門の柱の下部が中途半端なところでちょん切られていることかなと思う。 この場所からでは、左右はこれでぎりぎりのところでしょう。とすれば、この幅で縦位置にして石積みを全部入れてみたほうが安定したのではないか。


 

紅葉真っ盛り  YND
山門と紅葉をタテ位置でうまくまとめました。山の上の空が明るくとびかげんなのと、カメラが若干傾いているのが気になるが、 まあ許容範囲内というところか。
 それ以外に「こうすれば」という点を2つ。カメラの高さは右の床机の上面と同じ高さだから文句なし。 あと床机の足近くまでカメラを上に向ける。(要するにあと少し土の面を少なくしたい。空が明るすぎて、 カメラを上へ向けるのを躊躇したとのことだが。)もう1点は、門の向うの木、魅力のある木だから、もう少し真ん中よりに持ってきてもよかった。


廃墟の窓  IKTN
 直角方向に交わった2つの壁の窓。手前の窓の外から室内を見て、その内側から向うの窓を通して外を見るという、 鏡の中の鏡を見るような手の込んだ構図。作者にそこまでの意図があったのかどうか分からないが、もしあったとすれば、 ワイドで手前の窓に近づいて、向うの窓を小さくして、その分室内の壁や天井を写し込む手があったのだが。
こういう場合、ピントをカメラ任せにすると、中抜けを起こすから要注意。 


 

 廃 鉱  IMGW
ススキを前景にした廃鉱の入り口。NDさんの作品とほぼ同じポジションから撮られている。 不思議なことに題名まで、字は異なるが「廃鉱」と「廃坑」。そしてどちらもこの鉱山跡を情緒的にとらえている。
 みんなで一つの場所へ行っているのだから同じアングルが出てきて不思議はないのだが、作品の傾向、 題まで似てくるとなると、写真とは恐ろしいものだと思う。その場の風景をとらえる感覚が作品に出てくるのである。
NDさんの作品と共通していえることは、廃鉱跡を第三者の目で叙情的にとらえていることである。


 島の夜  UEN
舞台の一場面を見るような、懐かしさが感じられます。いちばん左、電柱と重なっている人物が きっちり写っていたらよかったのになー。手前の電柱から差し込むゴーストが気にならなくもないが、 この場合は、向うの電柱のライトとともに情感を強めているとも言える。


 

 秋の夕暮れ  OOMC
日没直後、西の空に見える三日月。このあと30分もしない間に沈んでしまう。これは二重露出でごまかすわけにわいかない。 そんな細い月をワイドで狙った。当然月は小さくなるのだが、けっこう存在感があるのだから不思議です。 もう少しカメラを上へ向けて琵琶湖を狭くしてもよかったか。
右上の飛行機雲のなれの果ての方向が異質。もっとも、雲の向きは作者の責任ではないが。


 京の寺  KS
藁葺きの三角屋根とその下の丸窓。不謹慎だとしかられるかもしれないが、じっと見ていると一つ目小僧に見えてくる。 それはともかくとして、下が切れてしまったのがいかにも不安定。邪魔ものがあったのかもしれない。
ここ2,3回の黄瀬さんの写真を見ていると、対象物だけに絞り込もうという気持ちが見えてくる。 意識的なのか、無意識なのか分からないが、その意識を持つことは決してマイナスにはならない。 それを乗り越えたら何かをつかむことができる。


 

要 塞  TNK
 題をつけるのに苦労しました。そういえば、その昔そんな言葉がありましたね。「二百三高地」や「シンガポール」。
 朽ちかけたコンクリート壁。それにおあつらえ向きの面方向のなでるような光線。細かい凹凸が見事に浮き上がりました。 このままのコントラストを保って、大きく伸ばしても迫力のある写真になるでしょうし、 小さいままふちのマットを幅広く取って額に収めても部屋のアクセサリーになるでしょう。
 画面の右はずれがどうなっているのか分からないが、この画面で見る限り、もう少しカメラを右へ振って、 左端の黄土色の部分はカットしたほうがよかった。


ライトアップ  TG
ライトアップは、目で見ればきれいなのだが、写真に撮るとコントラストが強すぎて困る。 兵主大社の場合、池の反映に意識が行くのだが、このようにどうしても絵が上下に分かれてしまう。


 

アイカモ  NSOK
鳥の瞬間の姿を見事にとらえました。着水の瞬間なのか、飛び立つ瞬間なのか、勉強不足でよくは分かりません。 レンズの長さもワイドではないし、べらぼうに長いとも思えないが、もう一つよくは分からない。 いずれにしてもかなり速いシャッターを切ったことは確か。ほとんどブレもなく見事に撮れています。


紅葉狩りのひととき  NGC
題名から見ても分かるように、作者の意識は紅葉にあるようだが、この絵では、もみじよりも池の面のほうがはるかに魅力がある。 モネやルノアールやシスレーを中心とした印象派の色使い。もみじの枝を添景として、絵を作り直したらいい作品になったでしょう。 いずれにしても左上のしろくとんだ部分はカットしなければ。


 

廃 坑  ND
 IMGWさんの作品で脇役だった遠景のタンクとその前の黄葉を主役に抜擢した。 その結果IMGWさんのでは気にならなかった右の松の木がのさばってきた。これは何とも魅力がない。 タンクの右3分の1をカットしてタテ位置にしたらどうだろう。そうすればIMGWさんとはそっくりさんになってしまうか。 どっちがどっちのそっくりさんかは別にして。